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令和時代の新しい悩み!?ハラスメントを“受けている”ことではなく”してしまっていないか“強迫観念に怯える人が増加

令和時代の新しい悩み!?ハラスメントを“受けている”ことではなく”してしまっていないか“強迫観念に怯える人が増加

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

ジェンダーの平等や、人や国の不平等をなくすことはSDGsの目標にも掲げられていますが、今や誰もが公平に生きやすい社会の実現のために「セクハラ」や「パワハラ」をなくすのは当たり前という時代です。

そんな中、今悩む人が増えてきているのは”「セクハラ」や「パワハラ」を受けている”ことではなく、”自分が「セクハラ」や「パワハラ」をしてしまっているのではないか”ということについてだと言います。

自分は大丈夫!?様々なハラスメントワードが誕生

株式会社 Smart 相談室が運営する、法人向けオンライン対人支援サービス「Smart 相談室」は、2021年10月のサービス開始から、導入企業は約200社を越え、6000 回に上るオンラインカウンセリングを行ってきました。

その「Smart 相談室」によれば、昨今の傾向として「ハラスメント」に関する相談は全体的に増えてきており、その中で“自身がハラスメントをしてしまっているのではないか”と不安に感じている方からの相談も発生しているのだとか。
部下への指示の出し方について、「自身の行動がハラスメントになるのか判定してほしい」、と不安に怯えている方や、「過去に言い方がキツかったことがあり指導を受けた経験があるが、その過去を持ち出されて社内で攻撃されてしまった」という相談など、ハラスメントの加害に対する心配や不安の声が上がっているようです。

近年では、ハラスメントを代表する「セクハラ」「パワハラ」だけではなく、文章の最後に「。」を使うことにより高圧的な印象を与えてしまう「マルハラ」など、これもハラスメントだったのか、というような様々なハラスメントワードが誕生しています。そのことにより、世の中のハラスメントに対する危機意識が高まり、被害者の声がとても強くなってきています。同時に、“ハラスメントの加害者になりたくない”という強迫観念に怯え出す人も増えてきています。

職場でハラスメントをしないために心がけたいこと

自身がハラスメントの加害者にならないようにするために、日常生活でどのような意識を持って行動すれば良いのでしょうか。

多くの方の相談を受けてきた 「Smart 相談室」は、職場で注意したいポイントは3つあると言います。

まず1つ目は、ジェンダーについての無自覚発言をしないよう、価値観のアップデートを図ること。「同性愛者は普通ではない」、「女性らしく」 、「男性なんだから」。どれもジェンダーへの配慮のない発言で、言われて良い印象を抱く方は、恐らくいません。それでもこうした発言がなくならない背景には、各々の価値観が影響しています。 多様化する現代社会において、私たちは今、自分自身を大切にし、相手を思いやることが求められています。今まで培ってきた価値観を当たり前にせず、アップデートしていくことは 非常に大切です。

2つ目は、心と時間に余裕がない時こそ、強い語気と態度に注意することです。

多忙を極めている時に、仕事を依頼した部下や後輩に、「締切に間に合いそうにありません」、などと言われると、つい大きなため息がもれ、眉間にシワが寄り、口角が下がる等、表情が険しくなることがあります。更に、つい、強い口調や大きな声で「何で間に合わないの?」と言ってしまったら、言われた側は、自分に非があると理解していても、脳に組み込まれた自己防衛の影響で逃げたくなってしまいます。落ち着いて、締切に間に合う策を練ったほうが、事なきを得ることは多くあります。余裕がない時こそ、深呼吸をする、お気に入りの飴を舐める等、自分の気持ちが落ち着くことをしてから行動しましょう。反射的に出てしまいがちな強い語気や態度の抑制に繋がります。

最後に大切なのは、「良かれと思って」は、余計なお世話になることがあると理解しておくことです。
「良かれと思って」が相手にとっては「余計なお世話」となり、双方のミスコミュニケーションでハラスメントに繋がる可能性があります。相手を理解したいと思う気持ちから、 出身校や家庭の事情等を詳しく訊くことを、相手は不快に感じているかもしれません。悪気は毛頭なく、良かれと思って訊いたことでも、マイナスな印象を持たれることがあります。 価値観も考え方も、人それぞれ。人間関係を築く上でその質問をしなくても差し障りがない時には、質問するのを止めておくことも大切です。

社内でハラスメントへの共通理解を深め、風通しの良い職場をつくることが大切

Smart 相談室の産業カウンセラーの北原由佳氏によれば、ハラスメントへの危機意識の高まりから「部下や後輩への指導・注意ができない、しづらい」との声を聴く一方、指導や注意がない、少なすぎる等の理由で、自身の成長を不安視してから離職に至るケースもあるそう。この差を埋めるために必要なことは、社内でハラスメントへの共通理解を深め、風通しの良い職場をつくることです。

ハラスメントの加害者・被害者は誰もがなりうる可能性を秘めています。何かにつけてハラスメントと発言することも「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」に繋がる可能性があると心得ておくことも大切です。

業務に追われる中で声を掛けられた時、返事はしたものの、つい手元の仕事を優先し目を合わせなかったなどの悪気ない行動が、話し掛けづらい印象を生み、希薄なコミュニケーションに繋がることもあります。令和2年度に厚生労働省が実施した職場のハラスメントに関する実態調査からも、希薄なコミュニケーションがパワハラの要因として大きなウェイトを占めていることが分かっています。

まずは普段の職場のコミュニケーションを見直すだけでも、ハラスメントを生まない環境作りをすることができそうです。

パワハラ防止法には、職場から不快感を取り除き、全ての社員が気持ちよく、効率よく働けるようにする目的があります。ハラスメントの問題はお互いの捉え方、価値観により生まれるものであり、なかなか難しいものではありますが、皆がより良い働き方ができるように普段から意識しておくだけでも結果は変わってきそうです。


執筆/フリーライター Yuki Katagiri

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