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6月は環境月間。インバウンドが増える今、ホテルが行う環境にいい取り組みとは?


6月は環境月間。インバウンドが増える今、ホテルが行う環境にいい取り組みとは?

6月も中旬に入りいよいよ梅雨入りですが、6月といえば環境月間ですね。

1972年6月5日にストックホルムで開催された「国連人間環境会議」を記念して定められた6月5日の「環境の日」からきており、日本では環境庁により平成3年度から6月の1ヶ月間を「環境月間」と定め、様々な行事や取り組みが行われています。環境への取り組みやメッセージを見かけた人も多いかもしれません。

今回は日本の宿泊施設がどのように環境への取り組みを行なっているのか3つのフォーカスを当ててご紹介します。
インバウンドが増加し、ホテルなどの宿泊施設需要は増加する一方です。日本国内外から人を受け入れるためにも、日本の観光業に欠かせない宿泊施設は環境保全にもしっかりと取り組まないといけない段階になってきました。

大阪にあるホテル「Zentis Osaka」の取り組み

大阪の堂島浜に位置する「Zentis Osaka(ゼンティス大阪)」では“もったいない”を象徴する日本の文化「金継ぎ」を体験できるサステナブルなアクティビティを定期的に開催しています。
(次回は7月12日(金)・13日(土)開催)

ホテルに金継ぎ職人をお招きして参加者が持参した器で金継ぎ体験ができるイベントで、合間にはホテル2階「UPSTAIRZ Lounge, Bar, Restaurant」でのティータイムもあります。

ホテル内に飾られているインテリア小物がアクシデントで割れてしまった際は、かけらを集めて金継ぎを施して再度、飾っているのだとか。金継ぎ跡も味があり魅力的です。
金継ぎによって新たな姿で飾られているのもサステナブルで素敵な取り組みですよね。

その他、環境保全の取り組みとしては部屋内ではプラスチックを減らせるようにと、リサイクル率が高いアルミ缶の水を置き、アメニティーのシャンプー&コンディショナー、ボディソープはオーガニックブランドを採用しディスペンサーボトルで配置。

レストラン「UPSTAIRZ Lounge, Bar, Restaurant」のバーでは端材となり捨てられてしまう神代杉やラベンダー、大和橘の葉などの植物のエッセンスを蒸留、使用して香りづけをした水を使用。高級感の香りがする水で、カクテルが更に華やかになります。

エスプレッソマシンから出るエスプレッソのロス削減に、ロスになるはずだったエスプレッソをボトルに入れてカクテル用に保存したり、グレープフルーツは蓋が開いて廃棄予定のシャンパンで煮込んでカクテル用のスーパージュースを作るなど、フードロスを減らしながら美味しいカクテルが作れるようにとバーテンダーが試行錯誤をしています。

美しい盛り付けにこだわりの食材を使ったディナーのコース料理にもシェフのサステナブルな取り組みが見られます。例えば、パエリアに合わせるスープにはゲストに出さない魚の骨やアラの部分を含めて煮出すなどフードロスにならないように活用。
デザートに使用されている日向夏も皮はコンポートにして丸ごと使うなどフードロスを削減するという想いを込めた料理を考案し提供しています。

朝食もビュッフェスタイルではなく、オーダー形式なのもフードロスを減らす取り組みの1つです。

京都にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」の取り組み

京都四条河原町にあるGOOD NATURE STATION内にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」ではプラスチックゴミ削減&循環型社会の実現に向けて客室にはプラスチック製使い捨てアメニティは置いてないという徹底ぶりです。

またレストラン含めてホテルがある建物内で出た食べ残しや生ごみを施設内のコンポスト(生ごみ処理機)で農業肥料に生まれ変わらせ、提携農家でお米を育て、ホテルのレストランやショップで提供しています。

環境月間の6月にはホテル4階のギャラリーエリアで鹿児島県・霧島市を拠点に再生プラスチック事業の活動をしている「Reprise」による特別展示を開催。廃プラスチック素材を使用したアートやプロダクトの展示や、アクセサリー制作体験のワークショップも開催。再生プラスチックの未来を実感できるイベント・展示です。

サステナブルなモノ・コトが集まるマルシェも6月1日、2日に開催。通常流通には出回らない規格外の果物を使ったジュースや外装にへこみや汚れがある商品をお値打ち価格で販売する「もったいない市」などサステナブル視点を持つ店舗が並びました。

愛知県にある「瀬戸内リトリート青凪 by 温故知新」の取り組み

松山市にある「瀬戸内リトリート青凪 by 温故知新」ではヒートポンプを導入した省エネ効果により、コロナ前と比較して年間で30%のCO2を削減しています。

これまでは重油ボイラーによるものをメインに使用していたものの、2021年秋よりヒートポンプ機器を新たに導入。その結果、2022年度の実績値を基準期間と比較したところ、宿泊人数は約5%増加したにもかかわらず、重油使用量は86%削減、CO2排出量も30%削減を実現したそうです。インバウンド増加により宿泊人数はどんどん増えていますが、より効率的なエネルギーの使い方に視点が向けられています。

観光客増加に伴い、人や人の動きが増えていますが、宿泊施設もいかに環境にいい循環システムを生み出せるか、効率的にエネルギーを使えるかと試行錯誤しながらサステナブルな取り組みを行なっています。今後もどんどんこのような取り組みは広がっていくことでしょう。