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シロクマとホッキョクグマの違いは?「白い動物」を通して考えたい生物多様性

シロクマとホッキョクグマの違いは?「白い動物」を通して考えたい生物多様性

#SHOW CASE
  • 陸の豊かさも守ろう

岩手県盛岡市内で今年4月、白いニホンリスがケガをした状態で発見され、盛岡市動物公園ZOOMOに保護されました。また、5月には北海道十勝地方で衰弱した真っ白なエゾタヌキが見つかり、こちらも動物園に保護されました。

岩手県で保護されたニホンリスは、体が白い「アルビノ」の個体で、数万匹に1匹ほどの珍しいリスとみられています。ケガは回復に向かっており、盛岡市動物公園ZOOMOでは今後、一般公開も検討しているといいます。
一方で、北海道で見つかった白いエゾタヌキは「アルビノ」ではなく、突然変異で色素が減少して白くなる「白変種」でした。このエゾタヌキは、おびひろ動物園で治療を受けましたが、残念ながら翌日に死んでしまいました。では、「アルビノ」と「白変種」はどう違うのでしょうか。

「アルビノ」と「白変種」の違いとは?

動物や植物、そして人間にもみられる「アルビノ」は、遺伝子の異常によって生まれつき黒いメラニン色素が作れない個体をいいます。皮膚や毛が白く、瞳孔は毛細血管が透けて赤く見えるのが特徴です。
「アルビノ」の動物は、視力が弱い上に体が白くて目立つため、外敵に狙われやすいというハンディがあります。そのため自然界での生存率は低いと言われています。

「白変種」は、色素の減少によって体毛や体色、皮膚が白い個体です。メラニン色素の産生能力は正常なので、アルビノとは違って黒い瞳孔です。インドに生息するホワイトタイガーやホッキョクグマ、ベルーガ(シロイルカ)などは代表的な白変種で、生息環境の影響で白変種が集団の中心になっていったものです。

アルビノと白変種は混同されがちですが、このようにまったく異なるものとして区別されます。

日本で見られるアルビノの動物

国内にはアルビノの動物が見られる動物園がいくつかあります。北海道のノースサファリサッポロでは、アルビノのベネットワラビーの赤ちゃんが生まれています。和歌山県にある太地町立くじらの博物館に行けば、アルビノのバンドウイルカを見ることができます。

長野県の飯田市立動物園には、2017年に保護されたアルビノのタヌキ「リュウ」がいます。三重県の大内山動物園には、同じくアルビノのタヌキ「ポン」がいます。松阪市の山中で暮らしていたポンは事故に遭ったところを近隣住民に助けられて動物園に保護されました。
実は、この白いタヌキ達には同じ遺伝子変異があることが、京都大学の研究によってわかっています。長野県と三重県と離れた場所で見つかっている2匹ですが、どうやら親戚同士の可能性が高いのだそうです。次の代、その次の代へと脈々と受け継がれる遺伝子に、尊い生命のロマンを感じますよね。

世界の動物園を見てみると、ニカラグアのトーマスベルト動物園には、アルビノのピューマの赤ちゃんがいて人気者になっているようです。また、スペインのバルセロナ動物園には、世界で唯一確認されていたアルビノのニシローランドゴリラが飼育されていました。スペイン語で“小さな雪片”を意味する「コピート・デ・ニエベ(Copito de Nieve)」という名前がつけられていたそのゴリラは、数十年間わたってバルセロナ動物園のマスコット的な存在として人気を集めていたようです。

「ホッキョクグマ」と「シロクマ」の違いはあるの?

地球温暖化の代名詞的な存在になっている動物といえばホッキョクグマですね。上野動物園は以前、公式Xで「ホッキョクグマ」と「シロクマ」について、興味深いエピソードを紹介しています。

今から122年前の1902年(明治35年)、ドイツのハーゲンベック動物園から上野動物園に、日本初渡来となるホッキョクグマのペアがやってきました。上野動物園では当時アルビノのツキノワグマを飼育しており、それ以前にも北海道で捕獲されたアルビノのヒグマも飼育していました。上野動物園ではこれらのアルビノのツキノワグマとヒグマを「シロクマ」と呼んでいたのです。
そこで、ドイツから来た白い熊を、英名「Polar bear」の和訳で「ホッキョクグマ」と呼ぶことにしました。これ以後「ホッキョクグマ」が標準和名として使われるようになったそうです。

上野動物園はこの投稿の結びに、次のようなポストをしています。
「現在、地球温暖化の影響で北極の氷が薄くなり、そこで狩りをするホッキョクグマの生存が危ぶまれています。便利な暮らしを求める私たちが、多くの野生生物を苦しめていることを忘れてはいけません。」

動物園に足を運んでホッキョクグマのような絶滅危惧種の動物を観察することは、彼らの生息地の環境を少しでも意識するきっかけになるはずです。そして、アルビノの動物を見ることは遺伝子の多様性を感じることができそうです。それらは少なからず生物多様性の保全に繋がるアクションになるのではないでしょうか。

生物多様性保全のためにできること

生物多様性は、人間、犬や猫、大腸菌、さまざまなバクテリアまで、多様な姿の生物の豊かな個性と繋がりのことを言います。
「生物多様性を保全する」ということは、生き物の恵みを得ながら人間社会が存続し続ける「持続可能で自然と共生する社会」を実現することです。そのためには、まず、地球にどんな生物が存在しているのか、調べてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。


執筆/フリーライター こだまゆき

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