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多彩な事業で武道の魅力を発信する、東京武道館の挑戦と、武道ツーリズムが創る持続可能な交流


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 4 質の高い教育をみんなに 11 住み続けられるまちづくりを 16 平和と公正をすべての人に
多彩な事業で武道の魅力を発信する、東京武道館の挑戦と、武道ツーリズムが創る持続可能な交流

空手、柔道、合気道など、日本の伝統文化である武道。スポーツ庁では、この武道や武術の見学、観戦、実技体験、施設見学など、発祥の地である日本でしか体験できない『武道ツーリズム』を推進しています。「武道が日本発祥であることの国際的認知(プレゼンス)の向上」、「武道によるインバウンド誘客の促進と地域活性化」、「武道体験を通じたファン層等の拡大による日本の精神・文化の国内外への普及・発信」の3つを掲げ、武道に宿る礼節や共生の精神はSDGsの根幹にある「人と人、人や地域をつなぐ力」に通じ、SDGsの観点からも注目が高まる分野といえるでしょう。

SDGs MAGAZINEでは、国内有数の武道場であり、東京2025デフリンピックの柔道・空手会場としても知られる東京武道館で、公益財団法人東京都スポーツ文化事業団主催のイベント、「武道・スポーツフェスティバル2025」を取材。東京武道館が取り組む新たな挑戦と、地域・文化交流の可能性を広げる『武道ツーリズム』の展望について、取材やインタビューを通して紐解いていきます。

トップレベルの大会を支える武道場で、日本の伝統スポーツを体験

東京武道館は、東京都における武道振興の拠点施設。柔道、剣道、空手では最大8面、なぎなたでは6面が確保できるなど、国内有数の規模を誇る大武道場を完備しています。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では空手の公式練習会場として、また東京2025デフリンピックでは柔道・空手の試合会場として利用されるなど、トップレベルの大会を支える舞台となっています。

大武道場と第二武道場の床には、武道競技に最適な弾力性を持つ木材が使われています。通常の体育館床材より柔らかいためボールが弾みにくく、バスケットボールやハンドボールといったボールを弾ませる球技には適していません。これは、裸足で行う武道において、ささくれなどによるケガを防ぐため、館内の維持管理にも細心の注意が払われています。

10月13日(月・スポーツの日)に東京武道館で開催された「武道・スポーツフェスティバル2025」では、子どもから大人、外国人観光客まで幅広い世代が参加し、柔道、剣道、弓道、空手道、なぎなた、合気道、少林寺拳法、杖道、居合道といった9つの武道を体験できる「はじめての武道体験」など、普段体験できる機会の少ない様々な種類の武道を体験。武道師範などから直接学ぶことができる貴重な機会に、真剣な表情で臨む参加者の姿が印象的でした。(体験はすべて無料)

東京武道館によると、「武道愛好家の利用者は、武道場への出入り時に一礼を欠かさず、建物そのものにも敬意を払ってくださる方が多い」とのこと。利用者が施設を大切に思う姿こそ、武道の精神が生きる東京武道館の魅力のひとつといえるでしょう。

また、館内には誰でも利用できるトレーニングジムも完備。「武道・スポーツフェスティバル2025」開催時にはこのトレーニングルームが無料開放され、武道の拠点施設でありながら、地域の健康づくりにも貢献している様子がうかがえました。通常は2時間30分500円という通いやすい価格設定で、地域住民を中心に多くの方が日常的に利用しているようです。

子どもや外国人インバウンドからも人気を集めた「茶道体験」

スポーツ体験のほかに、日本独自の伝統文化である「茶道体験」もメインプログラムのひとつとして実施されました。年齢や国籍を問わず、参加者全員が先生の所作を見ながら、お茶碗の扱い方や茶道の歴史について学び、お抹茶とお菓子をいただくひとときを楽しみました。
東京武道館は、「東京武道館に茶室があることをご存じない方は多いと思います。当日は東京未来大学茶道サークルの皆様にご協力をいただき、1回約40分の茶道体験を全6回実施しました。初めて体験するという方も多く、少し緊張しながらもお抹茶とお菓子を楽しんでいただきました」とコメント。武道だけでなく、茶道体験という文化活動にも触れられる場として、東京武道館の新たな魅力を感じていただける機会となりました。

また、茶室は、茶道に限らず、囲碁・将棋、華道、百人一首などのさまざまな文化活動にも利用されています。武道館に茶室があるという意外性は、東京武道館を訪れる人に“日本文化の奥深さ”を感じさせる魅力のひとつとなっています。

多彩な事業で武道の魅力を発信する、東京武道館の取り組み

東京武道館では、こうしたイベントの開催や武道大会だけでなく、プロレス、大相撲、「二十歳の集い(成人式)」の会場としても活用され注目を浴びるなど、年間を通して多彩な施設運営を行っています。

2025年3月に開催した「BUDO Tourism 2025 in TOKYO BUDOKAN」では、“武道とは”を学ぶオリエンテーションの他、剣道・弓道・茶道体験と観光も組み合わせ、学び×体験×観光を融合した新しい文化ツーリズムのかたちを提案。また、2025年4月に開催した「武道ツーリズム事業」では、既に武道を経験している外国人を対象に、日本人と一緒に高レベルな稽古を受けられる稽古会を実施。稽古会にはロシア、ジョージア両国の剣道連盟会長が参加し、「非常に勉強になった」「とても貴重な体験。仲間が増えて楽しかった」などの声が寄せられ、また日本人の参加者からは、外国の方が体験し、新鮮な反応を間近で見ることで普段「普通」「当然」と思っていた稽古内容に、「新鮮な気持ちで取り組めた」と新しい発見につながったと語っていました。

東京武道館で取り組んでいる事業について尋ねると、『ジュニア囲碁パーク』、『U-18将棋スタジアム』という、小学生から高校生を対象とした頭脳スポーツのイベントは、過去20回以上開催している毎年恒例のイベントとなっています。2026年1月6日には、鏡開きとともに稽古始めを行い、武道の伝統を継承する行事『武道稽古はじめ』を実施し、参加者にはお餅の配布も行いました。そして、2月11日(建国記念の日)には『東京武道館杯」が予定されており、東京都の武道統括9団体で構成される東京武道館武道協議会との連携のもと、小学生以上の武道愛好家が日頃の鍛錬の成果を披露する場となっています。」と毎年の恒例事業や今後の取り組みについて紹介してくれました。

また、「武道愛好家が集い、共に研鑽しながら交流する場であると同時に、周辺地域の皆さまの誇りとなれる施設を目指しています。そのために、安全で安心な施設管理の継続はもちろん、様々な企画を通して、ブランド力や発信力の向上にも力を入れていきたいと考えています」と施設としての今後の展望を語っていただきました。

武道大会の開催や文化体験、地域連携イベントなど、さまざまな取り組みを通じて武道の魅力発信と普及に努めている東京武道館。今後も日本の伝統を大切にしながら、国内外の人々との文化交流や地域とのつながりを深める場としての発展が期待されます。東京武道館が展開していくさまざまな事業に、今後も注目が集まりそうです。


東京武道館
住所: 東京都足立区綾瀬3丁目20−1
HP:https://www.tef.or.jp/tb/

東京都スポーツ文化事業団
HP:https://www.tef.or.jp/