【放送後インタビュー】“こんなとき”だからこそ絆、愛情の大切さ伝えたい。 ミクシィ笠原会長が「みてね基金」を立ち上げた理由。
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ミクシィの創業者であり、現在取締役会長をつとめる笠原健治さん。
1997 年、東京大学に在学していたころに求人サイトを立ち上げ、 2004 年に日本版 SNS「 mixi 」のサービスをスタート。爆発的な人気を誇ったのは、ご存知のとおりだ。その後もミクシィは、「モンスターストライク」をメガヒットに導くなど、その動向は、常に IT 業界を超えて注目を集めている。そんなミクシィが 2015 年にサービスを開始したのが、家族向け写真・動画共有アプリ 「 家族アルバム みてね」。 現在、 7 言語で日本 をはじめとする 、アメリカやイギリス、フランス、ドイツ、韓国、台湾など世界 150 ヶ国以上でサービスを 展開 し 、世界中で 800万人のユーザーを抱えるというこのアプリは、笠原さんの個人的な思いからスタートしたものだ。
「自分に子どもが生まれて、親になるとこんなに子どもの写真とか動画を撮るものなんだと気づきました。すべてを記憶に残したいし、それを家族と共有したいし、将来的には子ども自身にも見てほしい。この思いをサービスにすればみんなに喜んでもらえるのではないかと思い、社内で呼びかけたところ、共感するメンバーが集まりました。当初は日本だけのサービスだったんですが、家族を思うという価値観は万国共通。海外でも展開をスタートすると、思った以上の反響があり、まだまだ伸びるという手応えを感じています」
この「みてね」のサービスが800 万ユーザ ー達成に近づいた背景には、新型コロナウイルスの問題もあった。たとえ家族であっても、会いたいときに会えないという状況。そんななかでも家族の絆、愛情を伝えあうツールとして、世界中の家族が使い始めたのだ。さらにそんな飛躍のタイミングで発表したのが子育てに関する様々な課題に取り組む団体を支援する「みてね基金」。笠原さんは個人的に 10 億円を資金提供、活動の屋台骨を支えている。
「企業活動のなかでも社会貢献はできますが、それだけでも届かない部分がどうしても出てくる。そこに手をのばす役割を果たすのが『みてね基金』だと思っています。 東日本大震災をきっかけに、会社としても個人としても義援金などの活動を行ってきました。今回ももともと構想はあったんですが、コロナ禍で困っている人がたくさんいるという話を聞き、スタートすることにしました。こういう活動は有事のときはどんどん出てきますが、大切なのはそれを続けていくことだと思っています。いずれ平時が訪れたときに、セーフテ ィネットになるような活動ができればいいなと思っています。 10 億円を資金提供したのは、先が見えない時代に少しでも明るい話題を提供できればと思ったからです。こういうときこそ、“おたがいさま”の気持ちが大切かなと。世界中の課題を考えると 10億円というのは決して大きな金額ではありませんが、いろいろな方がその課題に気づくきっかけになればいいなと思っています」
4月に活動を開始した「みてね基金」は、すでに国内外の全67団体に対して4億円以上の支援を実施。 アフリカの子どもと家族への食糧支援、入院中の子どもたちのための心理支援、障害児や闘病中の子どもたちの支援、子ども食堂への支援、町の保健室の運営支援など、子育てに関する幅広い支援を行っている。対象となる団体の選定は、笠原さん自らも行ったという。
「『みてね基金』では主に難病・教育・貧困・出産・虐待という5 つの領域、課題を対象に支援を行っています。これは SDGs を参考に考えました。いろいろな方の話を直接聞いたことで、 地域に根ざしたさまざまな問題をよりリアルに感じることができました。これからは、事業による社会貢献と、社会活動による社会貢献。この両輪をバランスよく続けていければと思っています。『みてね基金』に期限はありません。当たり前のこととして続けていければと思っています。 こういう活動が社会のなかに自然と溶け込んでいくことで、社会全体が洗練されていくのが理想。そのためのひとつのパーツになればいいんじゃないでしょうか」
どんなに離れていても「みてね」で絆を確認できる家族は幸せだ。
子ども、家族の未来を守る。そのために「みてね基金」がある。
子どもの未来を守ることは、世界の、地球の未来を守ることに他ならないのだ。