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アートの力で格差をなくす。「電子廃棄物の墓場」で闘う、日本のアーティスト

アートの力で格差をなくす。「電子廃棄物の墓場」で闘う、日本のアーティスト

#TREND
  • すべての人に健康と福祉を
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 貧困をなくそう

突然ですが皆さんは世界中の電子廃棄物が集まるゴミ捨て場をご存知ですか?
西アフリカのガーナにある世界最大の電子廃棄物捨て場「アグボグブロシー」。世界中から集まった電子廃棄物が違法投棄され、燃やされている場所です。
国連環境計画(UNEP)の報告(2015年)によると、2014年に世界で出た電子廃棄物は4200万トン。そのうち6〜9割が違法投棄されているそうです。多くの電子機器は中古品として先進国から途上国へ運ばれ、現地で消費されてから違法投棄されています。

この「電子廃棄物の墓場」では、毎日のように有毒ガスを含む煙が充満しています。ガーナ大学のフォビル氏による調査によると、ガスを吸うことでCOPDなどの肺疾患を発症したり、ガンのリスクが上がったりすることがわかっています。ここで働く多くの人が20〜30代でガンを患い亡くなるそうです(英ガーディアン紙による)。
ガーナの都心の労働者の平均月収は5〜6千円。一方で電子廃棄物を燃やした後に残る金属を売ると、1日12時間、週6日働くことで月1万円以上の収入を得ることができます。ここに住む人々は有害な煙に晒されながら電子廃棄物を燃やすことで、命を削ってでも稼ごうとしているのです。
これはSDGsの目標1.「貧困をなくそう」のうち1.a「あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。」と、3.「すべての人に健康と福祉を」の3.9「2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。」、そして11.「住み続けられるまちづくりを」の11.6「2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。」の3つが最も深く関わっている課題です。

このようなアグボグブロシーの現状を変えるべく、アートを通じて活動を行なっている日本のアーティストがいます。長坂真護さんです。
長坂さんは偶然見かけたゴミ山と少女の報道写真をきっかけに、2017年にアグボグブロシーを訪問しました。有毒なガスを吸いながら先進国が捨てた電子機器を燃やし、それでも1日たった500円で生きるスラム街の若者たちを目の当たりにし、この不条理な現実をアートの力で変えることを決意したのです。
現地にあった電子廃棄物を使ってスラム街の人々をモチーフに描いた作品を販売することで得られたお金は、ガーナのゴミ問題を解決させるために使われます。様々な業界の方が長坂さんの思いに共感し、作品の買い手が次々と現れるようになりました。
これまでの売り上げを使って、まずは健康被害対策としてガスマスク300人分を用意。その後はスラム街では初となる学校「MAGO ART AND STUDY」や文化施設「MAGO E-Waste Museum」を建設しました。世界銀行の統計によると、年間約90万人近い外国人観光客がガーナを訪れているそうです。

アートの力で「電子廃棄物の墓場」で働く人々の健康と生活を守ろうという長坂さんの活動は、先に述べた3つのSDGsの目標以外にも影響を与えています。無料の学校をつくることは4.「質の高い教育をみんなに」の4.5「2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子供など、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。」に、そしてアートによって資金が先進国から途上国へ動くことは17.「パートナーシップで目標を達成しよう」の17.3「複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。」に関係しています。

「世界最悪のスラム街を、公害ゼロのサスティナブルタウンに変えたい」。長坂さんはその思いを胸に、2030年までに100億円以上を集め現地に最先端のリサイクル工場を建設することを目標に活動を続けています。

(写真引用元:https://withnews.jp/article/f0200315000qq000000000000000W0e610701qq000020608A )

執筆:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 石渡萌生
編集:SDGs MAGAZINE

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