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戦後創業した企業の啓発活動が、コロナも撃退する「手洗い習慣」に貢献

戦後創業した企業の啓発活動が、コロナも撃退する「手洗い習慣」に貢献

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

withコロナの生活も早3年になりました。ワクチン3回目の接種がはじまっているところもありますが、読者のみなさんには案内が届いていますでしょうか?
コロナ禍における個人の予防対策は石けんを使った手洗いや、アルコール消毒液の使用が有効といわれています。マイ消毒液や消毒シートを持ち歩いている人も増えましたよね。ユニセフによると、世界では10人に3人、つまり約23億人が、自宅に水と石けんで手を洗う設備がなく、後発開発途上国の状況は最も深刻で、10人に6人以上が基本的な手洗い設備を利用できていないと発表しています。

この重要な公衆衛生の基礎は日本の歴史を遡ると、GHQが“栄養教育”と“衛生教育”を両輪で取り組み、公務員である生活改良普及員が農村の家庭をまわって、手洗い啓発やトイレの衛生改善などを指導したことが始まりとされています。
さらに、後押しとなったのではと思われるのが、1952年創業のサラヤという企業が発売した日本初の薬用石けん液と、その普及のために行った「手洗い習慣」の啓発活動です。今回の記事では、サラヤ目線から日本の衛生のはじまりを追ってみましょう。

突然ですが、この「緑色の石鹸液と容器」を見たことはありますでしょうか?

日本全国の学校や工場などのトイレで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか?

これこそサラヤが開発した「シャボネット石けん液」と「押出・押上式石けん容器」です。はじまりは約70年前、サンフランシスコ条約が締結され、日本がようやく占領状態から解放された時代。日本の衛生状態は良くなく、伝染病の赤痢が蔓延していました。そんな中、一部の富裕層だけが買える高価な薬ではなく、誰もが等しく伝染病から逃れる手段はないか?と思案したサラヤの創業者が、「感染予防の基本は手洗い」と考え、手洗いと同時に殺菌・消毒のできる日本初の薬用石けん液を開発し発売します。
今は当たり前の薬用石けん液は、当時の衛生問題を解決したいという創業者の想いからスタートしました。

創業者である更家章太氏は、この商品を日本中のトイレに付けて回る際「優れた石けん液があっても、正しく使わないと意味がない」ということに気づき、「トイレの後には手を洗おう」や「ご飯の前には手を洗おう」といった標語と共に手を洗う習慣を広めていくことにしました。この70年間続く啓発活動が、コロナ禍において感染者数が他国に比べて少ない理由の一つである衛生習慣の日常化に大きく影響したと言われています。現在、サラヤは食品衛生や公衆衛生、医療・福祉といった厳しい衛生管理が求められるプロの現場でトップシェアの企業となり、日本だけでなく世界各地の衛生向上に貢献しています。

その活動の一つが、アフリカのウガンダで、ユニセフと共に12年前から続けている「100万人の手洗いプロジェクト」。世界にはまだ手洗いが出来ないために失われていく命がたくさんあります。そんな途上国に衛生設備の普及を進めるだけでなく、戦後日本に手洗いを広めたのと同じように、手洗い啓発活動を通じて命を救っていこうという活動です。この活動の詳細はまた今後にお伝えしたいと思います。

「緑の石けん液」からはじまったサラヤですが、日本のエコ洗剤の代名詞ともいわれる「ヤシノミ洗剤」のメーカーでもあります。この洗剤の誕生も、社会問題が背景にありました。
戦後から復興した日本では高度経済成長期、様々な公害が発生し、社会問題になっていました。日本の四大公害事件といわれるイタイイタイ病、新潟水俣病、四日市ぜん息、熊本水俣病もこの時期に発生しています。
同時期に起きたのが、石油系合成洗剤の排水による水質汚染です。石油原料から作られた洗剤の排水が川に流れ、水面は泡立ち、魚が死ぬということが多くありました。
「モノを綺麗にするための洗剤が環境を汚している」そんな不毛な状態を無くそうと、環境を汚さない植物由来の「ヤシノミ洗剤」をつくります。原料は創業のときから使用してきたヤシの油。

商品開発時のコンセプトとして、手肌に優しく地球にやさしい、 そして無香料・無着色であることとしました。今でも珍しい、無香料・無着色ですが、約50年前に決めたところにエコ洗剤のパイオニアとしての挑戦が見えます。合成香料や着色料は、洗浄力とは関係ない成分で、肌にも環境にも負担となります。
しかし、無香料・無着色の洗剤が珍しいのは、実は作るのにとてもコストがかかるからだそうです。搾たばかりのヤシ油は不純物が混じって濁っており、油のにおいもある状態のため、いくつもの精製工程を経て取り除かれていきます。しかし香料や着色料でマスキングすることを考えれば、ある程度の精製レベルで充分。半面、無香料・無着色は品質を誤魔化せないため、高品質の原料が必要になります。必然的にコストの高い洗剤になってしまいますが、手肌に優しく、排水は微生物が素早く分解して地球に還るのです。

コロナという状況のなかにいるからこそ、他人事ではなく衛生環境を築いてきた企業努力の重要性を実感できますよね。創業時から環境のこと、社会のこと、衛生のことを考えてきたサラヤですが、ヤシノミ洗剤の材料の一つであるヤシの油(パーム油)をきっかけに、熱帯林を伐採し、環境破壊を起こしているのでは?という誤解を受けます。
サステナブルに詳しい読者のなかには、パーム油の生産が熱帯雨林減少の最大の要因の一つとされていることを知っている人もいるのではないでしょうか?
次回は、パーム油と環境問題について、サラヤの対策を追っていきます。お楽しみに。

サラヤが取り組むSDGs
パーム油の生産による熱帯雨林の破壊は「使わない」が本当の解決か?
4月7日「世界保健デー」に考える衛生のこと

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