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世界の水問題を議論する『水サミット』、熊本で開催


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6 安全な水とトイレを世界中に
世界の水問題を議論する『水サミット』、熊本で開催

先月4月23日・24日、熊本市で水問題をテーマにした国際会議「第4回アジア・太平洋水サミット」が開催されました。日本では2007年に大分県で開かれた第一回大会以来、二度目の開催となります。「持続可能な発展のための水~実践と継承」をテーマにアジア、太平洋地域30カ国の首脳・閣僚らが参加。

世界の水と衛生の現状とは?

日本では「水と安全は無料」と言われるほど水資源が豊富な国であるため、水問題に対して、課題を感じることが難しいかもしれません。上下水道が一般家庭に万遍なく普及している他、毎日入浴できるほど水を使うことができる国は、実は日本以外にはほとんど存在しないとも言われています。しかし、水資源は無限ではなく、日本でも水の使い過ぎによる生態系への悪影響が問題視されています。

世界に目を向けてみると状況はより深刻です。世界人口のうち、約22億人が安全な水を使えないと言われています。また、トイレや公衆便所などの衛生施設を利用できない人は24億人以上、糞便で汚染された水を飲料水として使っている人は約18億人いるとされています。

安全な水にアクセスするための目安として、WHOでは「1km以内に一人1日20リットルの水を確保できる場所があること」と定めていますが、この条件を満たしていない人は世界で約9億人いるとも。

このような現状のなか、今回の水サミットでは、気候変動で激化する水災害や水質の悪化を踏まえ、「水と食料」「地下水を含む健全な水循環」といったテーマや、災害被害の軽減、安全で安価な飲料水の確保などに向けた話し合いが行われました。

また、淡水資源に乏しい太平洋が集まった会合では、気候変動に伴う海面上昇や干ばつで地下水や雨水の確保が脅かされていると報告。「安全な飲み水は人間の尊厳と命に関わる」と解決への支援を訴え、岸田首相は、日本の先進技術を活用した質の高いインフラ整備を後押しするため、「今後5年間で約5000億円の支援を実施する」熊本水イニシアティブを表明。その他、今回採択された熊本宣言は、2023年3月に開催される国連水会議での議論への反映を目指すとされています。

画像出典:『写真提供 日本水フォーラム』
https://apwf.org/kumamoto-2022-jp/4apws-official-photos/