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約650人を病院へ送った大事件。日常に潜むポケモンショックとは


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
約650人を病院へ送った大事件。日常に潜むポケモンショックとは

新型コロナウイルスの影響で、不要不急な外出を制限されていた期間は、外出することなく自宅で楽しむコンテンツとして、アマゾンプライムやNetflixなどの動画配信サービスの利用率が増えました。

動画配信サービスは、子どもから大人まで誰でも楽しむことができますが、特にアニメ冒頭で出てくる「テレビを見るときは、部屋を明るくして離れてみてね」という注意テロップ。みなさんも一度はこのテロップを目にしたことがあるかと思います。これは単にアニメを楽しむためのものだけではなく自身の健康を守る重要な役割を担っています。今回はこのテロップがなぜ生まれる理由となった過去の大事件から学び、対策法を考えて行きましょう。どのような対策をすればよいのかをご紹介します。

全国の子ども約650人が病院に搬送された“ポケモンショック”とは?

ポケモンショックとは、1997年12月16日にテレビ東京で放送された人気テレビアニメの『ポケットモンスター』の一部視聴者が光過敏性発作等を起こし、全国で約650人もが救急搬送された事件になります。この番組の影響で、ポケットモンスターの放送は約4カ月間休止、日本民間放送連盟(民放連)は、「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」を策定するなど、テレビ業界に大きな影響を与えました

〈アニメーション等の映像手法に関するガイドライン〉
1.映像や光の点滅は、原則として1秒間に3回を超える使用を避けるとともに、次の点に留意する。
(1)「鮮やかな赤色」の点滅は特に慎重に扱う。
(2)避けるべき点滅映像を判断するにあたっては、点滅が同時に起こる面積が画面の1/4を超え、かつ、輝度変化が10パーセント以上の場合を基準とする。
(3)前項(1)の条件を満たした上で、(2)に示した基準を超える場合には、点滅は1秒間に5回を限度とし、かつ、輝度変化を20パーセント以下に抑える。加えて、連続して2秒を超える使用は行わない。

2.コントラストの強い画面の反転や、画面の輝度変化が20パーセントを超える急激な場面転換は、原則として1秒間に3回を超えて使用しない。

3.規則的なパターン模様(縞模様、渦巻き模様、同心円模様など)が、画面の大部分を占めることも避ける。

引用元:一般社団法人 日本民間放送連盟 「アニメーション等の映像手法に関するガイドライン」

なぜ、このようなことが起こったかというと、アニメの演出で、ストロボやフラッシュなどの激しい点滅が多様されたためだと指摘されています。
そのため、日本民間放送連盟(民放連)では、とくに光感受性のリスクが大きいといわれている幼児・児童・青少年の見る番組には配慮が必要だと表明しています。
冒頭で触れた注意テロップもこの事件から導入されたそうです。
病院に救急搬送された多くの子どもの症状は、発作、眼・視覚系症状、湿疹、頭痛、吐き気といったもので、一つの番組で約650人もが救急搬送されたのは、世界でもはじめての出来事だとされています。

テレビやゲームにスマホ、日常に潜んでいる光刺激のリスク

ポケモンショックの原因は、とくに赤色と青色の繰り返しが非常に多く、これは灰色の照射に比べて、大脳を広範囲に刺激する激しい光によるものだといわれていますが、日常に潜んでいる光リスクはテレビだけではありません。

例えば、私たちの身のまわりにある家電やスマホ、ゲーム機などから発出されるブルーライトも健康被害を引き起こす可能性があるといわれています。ブルーライトを長時間見続けると、ドライアイや目のかすみなどの不調を引き起こし、さらに進むと、肩こりや頭痛などの症状に発展することもあります。

とくに現代は、スマホは日常に欠かせない生活ツールになっています。しかし、スマホから発出されるブルーライトの量は多いといわれ、長時間にわたりスマホを使用すると、交感神経が優位となり、不眠を引き起こすともいわれています。質の良い睡眠がとれないことで、体が回復せず疲労感が残り、日常生活にも支障をきたす可能性もあります。

また、スマホを見る姿勢の影響でストレートネックになるともいわれています。ストレートネックは、首や肩の痛み、めまいや頭痛といった症状を引き起こします。テレビやゲーム、スマホと便利で楽しむためのコンテンツが豊富な現代ではありますが、一方、現代病ともいえる健康被害も引き起こしていることを私たちは知っておく必要があります。

テレビやゲーム、スマホはルールを決めて楽しむことが大切

ポケモンショックの事件を受けて、厚生労働省が行った調査によると、小・中・高校生(年齢6~18歳)を対象として実態調査を行った結果、明るい部屋より、暗い部屋でテレビの視聴をしていた子どもに、「手足のしびれ、ひきつけ、けいれん」といった症状が多くみられたと報告されています。

また、テレビとの距離では、1メートル以内でテレビを視聴していた子どもに健康被害が多発したとも報告されています。さらに、一人でテレビを夢中で見ていた子どもにも健康被害が多かったとも報告されています。

体や脳が出来上がる過程の子どもはもちろんですが、わたしたち大人も率先して以下のようなルールを家庭内で決めた上で楽しむことが大切なのではないでしょうか。

・テレビは明るい部屋で見る
・テレビは1メートル以上離れて見る
・一人で夢中にさせない
・ゲームは明るい部屋で、時間を決めて楽しむ
・寝る前はスマホを見ない

厚生科学特別研究 光感受性発作に関する臨床研究

テレビやゲームは明るい部屋で楽しむこと、ゲームは1日2時間まで、ベッドにスマホは持ち込まないなどといったルールを家庭内で決めるといった対策することで、健康被害を防ぐことは可能です。子どもにテレビやゲーム、スマホの危険性をきちんと理由を伝えたうえで、家族みんなで取組むことが大切なのではないでしょうか。