日本の投票率は世界147位。若者にとってバリアフリーな選挙とは?驚きの海外制度を調査
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先日行われた参院選。総務省によると日本全体の投票率は52.05%と、令和元年の48.80%よりは若干上がりました。しかし、10代の投票率は34.49%、年齢別では18歳が38.67%、19歳が30.31%と低い結果に。
投票率は国民が政治にどれだけ関心が深いかを指し示す指標にもなり、日本の若者が選挙に対していかに興味関心が低いか、この数値によってわかります。将来を担う若者の投票率が低いと、政治の政策も年配者向けのものが増えてしまいます。本来もっと目を向けるべきである日本の教育投資や、子供向けの政策が薄いままになる事が懸念されます。
そして、世界的に見てみると日本の投票率は投票ランキング世界147位という驚きの結果に。(2021年3月時点、国際日本データランキング調べ)
一体なぜこんなにも投票率が低いのでしょうか?また、海外ではどのような取り組みがされているのかを見てみましょう。
日本の選挙はめんどくさい?古きままの投票制度は、このままでいいのか。
投票率の低さには、投票の煩わしさも絡んでいるのではないでしょうか。投票箱は各市町村の市役所や公民館、学校に設置され、投票日に行けない人には、不在者投票という制度がありますが、この不在者投票は住民票のある地域の「不在者投票の投票用紙等の請求書兼宣誓書」というものを、各地の選挙管理委員会のホームページよりダウンロードして依頼。後日届く「不在者投票の投票用紙等の請求書兼宣誓書」を記入後、郵送しなくてはなりません。この時点ですでに煩わしさを感じる不在者投票ですが、これで終わりではありません。請求書が受理されたのちに届く「投票用紙、投票用封筒、不在者投票証明書」を持って不在者投票所へ出向かなければ成立しないのです。仕事が多忙な人や、スマホ世代にとって、時間・手間・エコ、どの観点から見てもハードルが高い不在者投票。
そのほかネット投票については、2019年3月に世界で初めて電子投票制度を導入したエストニアと比べて日本は変わらず消極的な姿勢です。主に①1億人の有権者データを扱う安全なシステムの構築②サイバー攻撃や通信障害の懸念③投票の強要や買収の防止の観点から、実現には至っていません。日本の投票システムには改善点がたくさんあるように感じます。
他国に学ぼう!海外の選挙はどのように取り組まれているのか。
2022年3月の韓国大統領選では、ダンスパフォーマンス・AI・ショート動画で積極的に政策や候補者の人柄をアピール。時代の流れに沿って選挙運動を繰り広げた事で、若者世代の投票率は7割超えと、日本の若者投票率の2倍を獲得できたようです。国家の大統領候補者が若者向けに目線を下げた選挙活動は、若者にとっても親しみやすく、身近に感じることができたからではないでしょうか。
ちなみに、日本の公職選挙法におけるSNS活用ルールはあまり知られておらず、気づかぬうちに違反してしまいかねないほど細かく定められています。例えば「○○党の○○に投票してほしい」という支援メッセージを第3者に送るにあたっては、有権者はTwitter・Instagram・LINE・FacebookはOKですが電子メール・SMSはNGです。
アメリカの投票箱はスーパーマーケットやコインランドリーなど、生活圏に設置されているそうです。普段の生活リズムの中で投票できるとあれば、わざわざ投票の為に時間を割かなくて済むので、効率がよくストレスフリー。無駄を省くアメリカの考えは参考になります。
投票率世界ランキング3位のシンガポールや8位のオーストラリアでは、選挙は国民の義務として、投票に行かなければ罰金が課せられる為、投票率が高いのは必然的だと考えられます。
スウェーデンでは、投票に関する教育が小学校6年生から組み込まれています。自分の意見を主張する教育を受けてきた子供達は、それが社会、そして政治に反映される体験をしながら育つので、政治に興味関心が深いようです。
インド首相のTwitterフォロワー数は驚きの8000万人
インドでは政党名や出馬している政治家の名前を覚える必要がなく、電子投票で政党のシンボルマークを押すだけ。選挙期には町中が選挙ポスターで埋め尽くされ、お祭りモードで彩られるため、文字の読み書きができない人もビジュアルを覚えておけば参加できる投票システム。2004年の下院総選挙より導入されたシステムで、不正投票も作業時間も大幅に軽減されたようです。
日本の未来に危機感を覚える若者達の選挙の教科書が話題!
インスタグラムで10万フォロワーを達成しているNO YOUTH NO JAPAN公式インスタグラム@noyouth_nojapanでは、政党の選び方が判らない人のためにまとめられた、8つの選挙マッチングサイトの紹介や、政党比較まとめ、今の日本の危機的状況などが、非常に分かり易く投稿されており、選挙に興味関心のない若い世代から、興味のある大人も惹きつけています。
日本は、昔から変わらない投票の煩わしさに、改善が必要だと改めて気付かされますが、それだけでなく「日本の政治政策はわかりずらい」「コロナ禍で自分のことで精一杯」「投票したところで何も変わらない」「不在者投票すら間に合わない」このような声も多く、少子高齢化問題は加速するばかりで、未来は決して明るいとは言えない状況です。
一方、投票率世界ランキング1位のベトナムは、人口約1億人に対して、平均年齢は31歳と若く、このことからも若者が国政にしっかりと関心を持ち、より良い国作りを目指している事が伺えます。
「NO YOUTH NO JAPAN」のほか、投票に役立つ画像のような民間サイトが多数立ち上がっています。若者達の行動喚起を促す活動こそが、日本に差し込んだ希望の光。今後もこのような活動家や団体が増えることを期待しながら、若者が投票したくなるような国に育っていくことを願います。