神宮の杜、国立競技場が癒しスポットすぎる。スタジアムツアーでめぐる木造建築の魅力
都市の森林とも言われる、木造建築が増えているのを知っていますか? 2025年には、大阪・関西万博で世界最大級の木造建築「大屋根」が、2026年には、渋谷の丸井も日本初の本格的な木造商業施設に生まれ変わります。
温もりを感じるウッディな建築は、人々に癒しをもたらすもの。今回は都市の森林・木造建築の魅力に迫り、じっくりと見て味わいたい国立競技場にスポットを当ててご紹介します。“昔ながらの木造建築”ではなく、“新しいSDGs建築”ともいえる木造建築。その代表と言っても過言ではない国立競技場の面白さとは…。
ここを見て!神社の杜と調和する国立競技場の4つの魅力
1.全都道府県の木材が活きる国立競技場
東京2020オリンピック・パラリンピック大会で、たくさんの感動を生んだ国立競技場。日本を代表する建築家・隈研吾氏が設計に携わり、木材をふんだんに使用し、それを活かしたデザインで話題に。特に印象的なスタジアム外周の軒庇(のきびさし)は、スギなどの木材を活用した直線美の連続で形作られています。なんとその木材は、47都道府県から調達しているというから驚き! それらの木材は、都道府県の方位に応じてスタジアムの全周に配置しているそうです。
林野庁のホームページによると、国立競技場は、東京2020オリンピック・パラリンピックの会場等のうち、木材利用量が第2位。ちなみに第1位は、木材をアーチ状につなぎ合わせた長さ約90メートルの大屋根がシンボルの「有明体操競技場」。その他のオリ・パラ関連施設も、木材を積極的に活用した建築となりました。
2.構造材にハイブリッド材(⽊材+鉄⾻)を使⽤した⼤屋根トラス
印象的な大屋根トラスは、⽊材と鉄⾻を組み合わせた部材を採⽤。強度を備えつつ、全ての観客席から⽊のぬくもりが感じられるスタジアムになっています。木材には、森林認証を取得した国産のカラマツ(下弦材)とスギ(ラチス材)の2種類を用いた集成材を使用しているそうです。
3.内部は伝統的な意匠を⽤いたおもてなしの空間
国立競技場の内部は、日本の伝統的な意匠や⽊を⽤いた温かみのあるデザイン。⽇本のおもてなしの心や、繊細な感性があふれる癒し空間になっています。外観の照明は、⽇本の伝統的な灯り(「ぼんぼり」「灯篭」「提灯」等)がモチーフになっていて、煌々とした光ではなく、柔らかな光がスタジアム全体を演出。日本人も忙しい日々の中で忘れてしまいそうなマインドを、思い出させてくれるような建物です。
4.建物の内部にも積極的に⽊材を利⽤
選手更衣室ロッカー、休憩スペースのベンチ、屋外エレベーターの外壁には、小さい板材を交差させて何層も接着したCLTを使用。木のぬくもりで癒しをもたらすだけでなく、国産材のCLTを採用することで、国内の木材の活用の課題にとも向き合っています。
美しい木造建築・国立競技場は、まさにSDGsに繋がる新しい建築物でした。国立競技場では、普段は見ることができない選手のロッカールームを見られるツアーや、VIPラウンジやVIP客席エリアを巡るツアーなどが開催されています。
約6.8万席の全景が見られる展望デッキや、選手が実際に歩いたり走ったりしたフィールド、聖火リレーで実際に使用したトーチ、約300人の選手によってサインが書かれたサインウォールなど、東京2020オリンピック・パラリンピック当時の熱気を体感することができるエリアやコンテンツも。気になる人は、ぜひホームページをチェックしてみてください。