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赤い羽根・緑の羽根、買ったことある?あれって意味があったのかなと思う方へ


赤い羽根・緑の羽根、買ったことある?あれって意味があったのかなと思う方へ

今日9月5日は、国連が制定する国際デーの一つ「国際チャリティ・デー(国際慈善デー)」。ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサの没日にちなんで、2012年に国連が制定しました。日本でのチャリティと言えば、赤い羽根募金や緑の羽根募金、最近で言えばチャリティ番組などもあります。
特に、赤い羽根募金や緑の羽根募金は多くの人が小学生の時に経験した記憶がある立派なチャリティ活動です。しかし、当時のことを思い出してみてください。
お金を払って赤、もしくは緑の羽根をもらう。という記憶はあれど、なんのために?という意識は当時はなかったのではないでしょうか。記憶をたどっても、結局あれは何だったのか疑問が残る方も多いかと思います。今回は、国際チャリティ・デーにちなんで日本のチャリティに関する少し残念な実情と、世界のチャリティ活動についてご紹介していきます。

世界人助け指数

チャリティの指針として面白い調査があります。
イギリスの慈善団体「チャリティーズ・エイド・ファンデーション(CAF)」が毎年発表するWorld Giving Index(世界人助け指数)というもので、これは、アメリカの市場調査会社ギャラップが114カ国12万1000人超の人々の電話インタビューのデータをベースにした報告書です。
インタビューの質問は至ってシンプル。
①この1カ月の間に、見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか
②この1カ月の間に寄付をしたか
③この1カ月の間にボランティアをしたか

2020年の調査によると、過去5年間に寄付をした人の合計よりも、この一年間で寄付をしたという人が多かったことが分かっており、ボランティア活動の水準も比較的高かったことが明らかになっています。コロナ禍という世界的危機が、人々に助け合いという概念をもたらしたのではないでしょうか。

最下位は日本、114位

この調査において、衝撃的だったのは最下位の国が日本ということです。おもてなしや、思いやりなど海外から見た日本の国民性はしばし話題になる一方で、このような結果に驚く方もいるのではないでしょうか。なぜこのような結果になってしまったのか、世界と日本のチャリティに対する価値観の違いを対比して考えてみました。

まず一つ目に挙げられるのが「宗教感の違い」です。2020年の調査で一位になったインドネシア。決して裕福というわけではないインドネシアですが、10人中8人超が寄付を行い、ボランティア活動をした人々は世界平均の3倍を超えています。これは喜捨を重視するというイスラム教の教えが関係していると言われています。また、無宗教の人が多い日本とは違い、敬虔な信徒が多いインドネシアではコロナという未曽有の事態に一丸となり助け合うことができたのではないでしょうか。

そして、次に考えられるのが当事者意識の低さ。
以前、日本の投票率の低さについての記事を書いたことがありました。
日本の投票率は世界147位。若者にとってバリアフリーな選挙とは?驚きの海外制度を調査
世界に比べて政治への関心が低いことが問題視されている日本ですが、チャリティに関しても同じことが言えるのではないでしょうか。人々を助けるのは国の仕事と位置付け、国に任せっきりに。何をするにも当事者意識に欠けてしまうのは恵まれた環境が関係しているのかもしれません。自ら動かなくてもそれなりに整った環境や生活があるためチャリティの重要性を実感していないという可能性もあります。

そして、最後に日本の教育です。
先述した赤い羽根募金に関してですが、多くの方はあのお金が何に使われたのか目的を分からずに募金したのではないでしょうか。赤い羽根募金は地域の共同基金で、集まったお金の使い道は各都道府県内の子どもたち、高齢者、障がい者などを支援する福祉活動や、災害時支援に役立てられます。
そして、緑の羽根募金は植樹や間伐など国内の森林整備のほか、震災で被災した方々への支援、未来の担い手である子どもたちへの森林環境教育、また海外の緑化支援等にも使われています。
これは後に、当事者意識にも関係してくるポイントになると思うのですが、自分の寄付が何に使われるのか、結果として何を助けることになるのかを理解することでチャリティの意義を果たせるのではないでしょうか。

日本の寄付市場

世界と比べるとまだまだな印象を受けますが、日本の寄付金市場も少しずつですが増加傾向にあります。2011年の東日本大震災以降、個人による寄付総額は約7,000億円前後の推移だったのが、2021年は大幅に増加。約1.5倍の1兆2,000億円に達したことが分かっています。オンラインでの寄付も可能になり、寄付しやすい環境が整ってきたこと、社会課題がより身近になったことが個人寄付額増加に繋がったと思われます。

世界の寄付市場

世界の寄付金事情を調べたところ、キャッシュレスに伴いホームレスへ小銭を寄付することが少なくなったという事がわかりました。日本ではあまり見かけない光景ですが、海外ではホームレスにお金を渡すシーンは頻繁にありました。しかし、最近ではキャッシュレスで現金を持たなくなったことからこのような場面は少なくなってきたようです。そこでイギリスでは新たに、QRコードで寄付ができるシステムが紹介されました。路上に設置されたQRコードを読み込むと世界最大級の寄付仲介サイト「JustGiving」の専用ページにアクセスされ、そのまま『ホームレス支援』の活動に寄付ができるという企画。チャリティも時代に合わせて形を変えていることが分かります。

現在、日本でもポイント募金やオンライン募金など様々な形でのチャリティが存在します。 寄付をしたいけど寄付先をどうしようとお悩みの方は、興味や関心がある社会問題から調べてみるといいかもしれません。自然環境、開発途上国、伝統文化、教育など世界が抱える社会問題を自分ごと化するいい機会になるのではないでしょうか。