都市と地方で広がるSDGs格差が問題に。ネスプレッソの新たな取り組み
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ここ数年で、すっかり浸透したSDGsという単語ですが、一体どれくらいの人が関心を持って取り組むことができているのでしょうか。残念ながら、「誰一人取り残さない」ことを原則に目標を掲げているSDGsも、SDGsに賛同し活動できる環境はその言葉通りにいっていないのが現状のようです。様々な企業が消費者を巻き込んだSDGs活動を進めていますが、例えば、住む場所によっては、参加したくても参加できる機会がなく、それどころか、そのような情報を目にすることすらない場合も。SDGsは都市部だけに広がれば解決できる目標というわけでは決してありません。そんな中、SDGsへ参加する側も「誰一人取り残さない」ために、人気コーヒーブランドが新たな取り組みを始めました。
地方にはSDGsが浸透してない?ランキングから見えた現状
日経BP総研が2021年に全国の20代以上のビジネスパーソンを対象に調査した「都道府県別のSDGs認知度ランキング」によると、関東と関西圏の都県が上位9位を占める一方で、下位10位は人口の少ない地方の県が目立つ結果に。今では国を挙げた施策だけでなく、各都道府県でもSDGsに力を入れ様々な活動や取り組みが行われていますが、「SDGsの」という単語が一般化されたように感じているのは、もしかしたら一部の人口の多い地域の人たちに集中しているのかもしれません。
地方の認知度が低い理由とは
都市部と地方とで、認知度に違いがあるのは何故なのでしょうか。先述の認知度の低い10県について、内閣府が2021年に発表した「道府県別 地方創生SDGsの達成に向けた取組を推進している自治体割合」を元に調査してみると、全国平均値が52.1%であるのに対し、10県の平均は51.6%と、決して低い数字ではなく、認知度の低い自治体においてもSDGsへの取り組みが進められていることが分かります。
では、何が要因となっているのか。それは、両者の情報格差が挙げられるのかもしれません。情報と聞いて思い浮かべるTVやスマホ。どこにいようがあらゆる情報が簡単に手に入ります。しかし一歩家から外に出て目に入る情報は、住む地域によって大きく異なり、普段の生活環境にあるスーパーやカフェ、ファッションビルなど直接目にする情報量が都市部と地方とで差があることは容易に想像がつきます。いくらTVやスマホの情報でSDGsの文字を目にすることはあっても、それが身近なものとして感じられないと具体的な関心には繋がりません。自分の行動範囲の中にあるSDGsに取り組む企業の多さや、その取り組みに消費者として参加できる機会の多さは、SDGsへの関心に結びつき、結果的に認知度の定着に繋がっているのかもしれません。
参考:内閣府 道府県別 地方創生SDGsの達成に向けた取組を推進している自治体割合(https://www.chisou.go.jp/tiiki/kankyo/kaigi/sdgs_enquete_chousa.html)
全ての人がSDGsに参加できるように。ネスプレッソの取り組み
マイボトルやエコバッグのように、自分の意志でSDGsに貢献する形もありますが、中には企業が独自で進める取り組みに賛同する形でSDGs活動に参加する方も多くいらっしゃることでしょう。しかしそのような場合は、これまで述べたように住む環境によって参加できる人が限られているのが現状です。そのような中で、場所に左右されず参加できるSDGsに関する取り組みとしてネスプレッソが行っているのが、使用済みのコーヒーカプセルをお客様の自宅まで回収に行き、リサイクルをする新サービスです。
【ネスプレッソ リサイクルプログラム】
日本では2020年から開始されたこのプログラムは、これまで回収ボックス設置店舗やパートナー企業から回収をする形で行われていました。しかし、今年の8月からは、自宅からコーヒーカプセルの回収を依頼できる新サービスも加わり、全ての人が自宅から参加できるようになりました。カプセルに使われているアルミニウムは再生アルミニウム素材として新たな工業製品の原材料となり、中のコーヒーかすは培養土の原料として再利用されています。開始から約2年で約450トンの使用済みカプセルが回収されており、今後全国規模に広がることで更にリサイクルが進められる予定です。
参加するためには、専用の「ご自宅回収用リカバリーバッグ」(税込み800円)を購入し、所定の量まで集めて回収を依頼する必要がありますが、回収後にネスプレッソでの買い物に使える900円分のポイントがもらえます。普段ネスプレッソを使われている方にとっては、ゴミを減らせるだけでなくSDGsにも貢献でき、更にはポイントまでもらえて嬉しいことだらけ。これを機会に使用を検討する方も増えそうですよね。
時代とともに、企業のSDGsも変わってきている
これまでは企業にとっても、「まずは身近なところから」と進められていたSDGsの取り組み。しかしアクションを通じて様々な意見や気づきがある中で、企業のSDGへの考え方にもPDCAが回っているような印象を受けます。目標達成に向け、より多くの人に参加してもらえるように、企業も知恵を絞り、そして私たちに沢山の機会を与えてくれています。その思いを無駄にしないためにも、まずは関心を持つこと、そして参加することから始めていきたいですよね。