入手困難な人気30酒蔵が渋谷に大集結!海外も注目する持続可能な日本酒造りとは
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突然ですが、日本の食料自給率をご存知でしょうか。農林水産省が発表した『令和3年度食料自給率について』によると、生産額ベースでの食料自給率は、前年度より4ポイント低い63%となり、生産額ベース食料国産率でも前年度よりも2ポイント低い69%となっています。食料自給率が低い要因はいくつか考えられますが、食品のほとんどを輸入していることが大きな要因といえるでしょう。
しかし、2021年の農林水産物・食品の輸出額は1兆2385億円に達し、2006年より政府が目標としてきた年間輸出額1兆円を突破しています。中でも日本産酒類の海外輸出額は2021年に1000億円を超える過去最高を記録。日本の輸出を支えているといっても過言ではない”日本酒”の持続可能な取り組みについて探っていきます。
国際PRアワードの最高峰の賞を獲得した「CRAFT SAKE WEEK」が3年ぶりに開催
まず注目したいのが、9月17日(土)から19日(祝)までの3日間限定で開催される「CRAFT SAKE WEEKEND 2022 at J-WAVE INSPIRE TOKYO(以下、CRAFT SAKE WEEKEND)」。元サッカー日本代表の中田英寿氏がプロデュースする「CRAFT SAKE WEEK」は、2016年に東京・六本木で初開催を迎え、訪日外国人含め累計60万人の来場者数を誇り世界最大級の日本酒イベントとして知られています。
また、日本を代表する建築家による幻想的な空間も話題を呼び、芸術・文化の振興において優れた功績をあげたプロジェクトを表彰する国際 PR 協会(IPRA)主催「ゴールデン・ワールド・アワーズ(アート&エンターテインメント部門)」の最優秀賞を受賞するなど世界でも高い評価を受け、世界が注目する日本酒イベントに発展しました。
2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開催中止となりましたが、今年3年ぶりに復活。今回は、中田氏がナビゲーターを務めるラジオ番組「TDK VOICES FROM NIHONMONO」(毎週日曜正午~)を放送しているラジオ局J-WAVEが開催する複合型都市型フェス「J-WAVE INSPIRE TOKYO 〜BEST MUSIC & MARKET〜」のスピンオフ企画として東京・渋谷に上陸。国立代々木競技場 INSPIRE TOKYO内外周エリアに「CRAFT SAKE WEEKEND」として出展します。
日本酒は、日本を代表する伝統文化の一つとして世界の注目度が高いことはみなさんご存知のことでしょう。まだ以前の日常が戻ったとは言い難い状況ですが、日本文化の魅力を発信し続ける本イベントは、伝統を継承するという意味においても注目が集まる機会となっています。
サステナブルな日本酒造りとは
ここからは、「CRAFT SAKE WEEKEND」に出展する酒蔵が行う持続可能な取り組み事例についてご紹介します。
伝統を継承するための持続可能な酒造り(新政酒造:秋田県)
酒造りに使用する原料米は、全量秋田県産。トレーサビリティが確保できる原料のみ蔵への出入りを許しており、地元米で風土を醸す価値を見出しています。秋田市に自社圃場を所有し、地元農家にも協力を仰ぎながら無農薬栽培を実現。また、秋田杉の伐採を行い、木桶づくりを行う自社工房の建設にも着手しています。新政酒造8代目蔵元の佐藤祐輔氏は、すべてのお酒を無農薬栽培のお米で醸すことを最終的な目標としています。
地元に還元する持続可能な酒造り(阿部酒造:新潟県)
新潟県は、日本酒の原料として欠かせない米どころであり、本来であればすべて地元のお米で作れることが理想です。しかし、昨今農業人口の減少が報道されていることからもわかるように、耕作放棄地帯が増えています。その状況を改善するため阿部酒造では、地域の田んぼ(圃場)のお米だけで作った「圃場別シリーズ」という日本酒を展開し始めました。このシリーズは、一本売れるごとに一定額が地域の圃場に寄付される仕組みとなっており、まさに持続可能な酒造りの代表例の一つです。
自然環境に配慮した酒造り(吉田酒造店:石川県)
吉田酒造では、地元の農家と協力しながら米作りを行っています。さらに2021年からは酒蔵で使うすべての電力を再生可能エネルギーに転換するようになりました。もともと『酒米の王様』と言われる兵庫県の山田錦を使用していましたが、地元の農家は高齢化が進み休耕田も目立つようになってきたり、農地のあった場所に大型ショッピングモールや工場が建設され水質が変わってしまったり酒造りの土台が不安定になってしまいました。そこで、地域の自然を守りつつ最高の日本酒を造るため、地元農家さんと契約して酒蔵の周りの水田で育ったお米を酒造りに使用しています。酒蔵の地域で育った酒米と白山からながれる仕込み水、金沢酵母を用いた”真の地酒”ブランドを確立しています。
生態系を回復させて「自給自足」の酒造り(仁井田本家:福島県)
福島県郡山市にある仁井田本家の酒造りでは、完全無農薬・無化学肥料で栽培している有機米を使用。自然栽培田んぼには生き物が集まり、生態系が保たれています。また、仁井田本家は、自分たちで米を栽培することに限らず、酒造りに使うすべての酒桶を自社の村林から伐採した木材を使用するといった「自給自足」の酒造りに取り組んでいます。
持続可能な酒造りには“地域”との繋がりが重要
日本酒造りは海外需要が高まる一方で、持続可能な酒造りのために試行錯誤を重ねている。日本では、高齢化社会が進み、農業人口の減少に伴う耕作放棄地の増加が大きな問題として認識されています。日本酒造りは、酒米の栽培が必須であるため美味しい日本酒造りを続けるためには、農家を守っていく必要があります。
私たちが日本酒により至福の時間を堪能できているのは、各酒蔵の持続可能な取り組みがあってこそ。今週末は、入手困難な人気酒蔵が出展する「CRAFT SAKE WEEKEND」に来場してみてはいかがでしょうか。
■CRAFT SAKE WEEKEND概要
日時:2022年9月17日(土)~19日(祝)
場所:国立代々木競技場 INSPIRE TOKYO内 外周エリア
参加蔵数:各日10蔵 計30蔵
営業時間:12:00~20:30(L.O 20:00)
料金:スターターコイン:
オリジナル酒器+飲食専用コイン11枚3600円
追加コイン:10枚1600円/20枚3000円/35枚5000円
ウェブサイト:https://craftsakeweek.com/