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1日約2,215億円の経済損失。いますぐ企業が花粉症手当を導入すべき訳とは

1日約2,215億円の経済損失。いますぐ企業が花粉症手当を導入すべき訳とは

#TREND
  • すべての人に健康と福祉を
  • 働きがいも経済成長も

目がかゆすぎる、頭がぼーっとする、鼻水・くしゃみが止まらない。そんな状態ではどうにも仕事もはかどりませんよね。2020年パナソニックが実施した『社会人の花粉症に関する調査』によると、花粉症による労働力低下の経済損失額は1日あたり約2,215億円にも及ぶそうです。スギ花粉は3月上旬からピーク入り。過去最大レベルのしんどさに、企業も続々と「花粉症手当」を導入しています。実は約40年前には稀な症状とされていましたが、今や日本人の3人に1人がスギ花粉症に。「現代病」とも言われるようになってしまった、その理由を遡ると原因は人間にありました。

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スギ花粉は過去10年で最多の予想。花粉症の人は20年間で2倍以上

画像出典:環境省 花粉症環境保健マニュアル2022

東京都健康安全研究センターの調査によると、春先の日常生活への影響について、市販薬の服用やマスクの着用など自身で対策をすれば日常生活に支障がないと回答した人は35.1%、医療機関にかかれば日常生活に支障はないと回答した人が27.4%、医療機関にかかっても日常生活に支障があると回答した人が7.8%と、約7割の人がなにかしらの対策をしないと、日常生活に支障が出てしまうという結果が出ています。

高級ティッシュ支給、花粉症研修も。企業が導入する「花粉症手当」とは?

「社会人の花粉症に関する調査」によると、1年における花粉症の対策・治療費用で最も多く割合を占めたのは5,000円〜10,000円程度。重度の花粉症患者の28.0%は50,000円〜100,000円もの出費がかさんでいることがわかります。日常生活だけではなく業務への支障を防ぎ仕事の効率低下を抑止するとともに、職場環境への満足度を高める目的で導入され始めている花粉症手当を詳しく見ていきます。

株式会社ラフールでは、2018年から花粉症で医療機関を受診した際の診療費や薬代を全額補助し、ティッシュやマスク、目薬などを配布しています。年間予算は30万円、本気度を感じる手当にTV番組をはじめSNSでも取り上げられ話題になりました。また、北王流通株式会社では、2019年から花粉症手当を福利厚生の一環として導入。花粉症による睡眠不足に起因するドライバーの事故や生産性の低下を防ぐため、眠気を増さない鼻薬や点鼻スプレー・錠剤などを症状のあるドライバーに提供。対策制度導入後、作業生産性(運行効率)が2.5%向上したと発表しています。2023年には、株式会社SRACreativeが花粉症を持つ社員に向けて「花粉症研修」と「花粉症手当の支給」を開始しました。同社は2023年春の花粉予想の情報を受けて、花粉症についての正しい知識を研修によって提供し、提携クリニックで診療を受けた場合は「花粉症手当」として診療代・薬代を支給しています。

拡大し過ぎたスギ人工林、生態系を崩したのは…

花粉症の原因でもある花粉を発生させるスギの木は、元をたどれば私たち人間の介入により人工林が拡大し、約4割がスギ人工林になった背景があります。この事実はSDGsが目標に掲げる「すべての人に健康と福祉を」「陸の豊かさも守ろう」にも通ずる課題です。生態系を人工的に操作したことによる現代病と向き合い反省しながらも、働くすべての人の生産性をケアし、誰もが安心して生活できるよう企業単位でも本気で向き合う必要がありそうです。
サムネイル:株式会社ラフールより

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