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たかまつななさんと考えるSDGs後編~「選挙小屋」「高校生のリバースメンター」「買い物は投票だ」 社会を変える3つのワードたかまつななさんと考えるSDGs後編


たかまつななさんと考えるSDGs後編~「選挙小屋」「高校生のリバースメンター」「買い物は投票だ」 社会を変える3つのワードたかまつななさんと考えるSDGs後編

ニッポン放送でオンエア中のSDGsを楽しく分かりやすく学べるラジオ番組『SDGs MAGAZINE』。11月26日の放送は前週に続いて、元お笑いタレントで現在は若者の政治参加や社会課題の解決に向けて時事やSDGsにまつわる活動をしている、たかまつななさんがゲスト。パーソナリティの新内眞衣さんが、「選挙小屋」や「高校生のリバースメンター」など、時事YouTuberの顔も持つたかまつさんがSNSなどで紹介している時事的ワードについて聞いた。

今回はクイズコーナーでスタート

新内 「今回も引き続き、時事YouTuber、株式会社笑下村塾の代表 たかまつななさんに時事的なSDGsについて伺っていきます」

たかまつ 「ごきげんよう、よろしくお願いします」

新内 「ごきげんよう、今週もよろしくおねがいします。先週は『教えるSDGs』というテーマでお話を伺いましたが、今週は時事YouTuberの側面でもお話を伺いたいなと思います。その前にナイツさんの番組に出られた時にクイズを出していたと聞いたのですが・・・」

たかまつ 「では、ここでもやりましょう!」

新内 「いきなり! 怖いんですが」

たかまつ 「SDGs○×クイズ!ということで、今から〇×クイズを出題します。第1問! 日本人は平均すると1日当たりおにぎりを1個捨てている」

新内 「1日・・・えー、×」

たかまつ 「正解は・・・〇です」

新内 「あー、やばいやばい。もっと捨てていると思っていました」

たかまつ 「日本の食品ロスの量は612万トン。これは1人当たり毎日おにぎりを1個捨てている計算になります」

新内 「1日に、おにぎり1個かあ」

たかまつ 「そうなんです。目標12『つくる責任 つかう責任』ですね。では第2問! 海のゴミの8割は途上国がごみの処理費を浮かすため不法投棄したものである」

新内 「×!」

たかまつ 「大丈夫ですか」

新内 「えっ、違うの?」

たかまつ 「正解は・・・×です」

新内 「あぁ良かった。心を揺さぶるのがすごく上手(笑)」

たかまつ 「(笑)じゃあ、8割がどこから来ているか分かりますか」

新内 「風に乗ってきたりするイメージですね」

たかまつ 「そうなんです。約8割は陸から出ているごみというふうに言われていまして、陸のごみとかが雨などで排水溝に流れて、それが海に流れ着くということなんです」

新内 「良かった。ちょっと焦った・・・」

たかまつ 「目標14の『海の豊かさを守ろう』につながる問題でした」

新内 「2050年ですよね、プラスチックの量が魚より増えるというのは。最近どこでも言われていることなので、皆さんぜひちゃんとごみ箱に捨てていただきたいなと思います」

たかまつ 「では第3問! 2030年までに浸水すると予測される地域が東京23区にある」

新内 「△って言いたい。2030年ですよね。近いですよね。そうとは思いたくないから・・・×で!」

たかまつ 「正解は〇です。海面が1メートル上昇すると東京でも堤防などを高くするという対策を取らないと、江東区、江戸川区、墨田区、葛飾区、足立区のほぼ全域が影響を受けると言われています」

新内 「大変だ」

たかまつ 「そうなんです。13番では『気候変動に具体的な対策を』という目標が掲げられています」

新内 「気候変動も最近、この夏は本当に異常な暑さとか身をもって体感することがありましたし、考えていかないといけないわけですね」

たかまつ 「そうなんです」

新内 「しっかり間違えたんですけどね、私は」

たかまつ 「まるで正解したかのように話していましたが(笑)」

スウェーデンの「選挙小屋」とは

新内 「間違えたので、たかまつさんの本『お笑い芸人と学ぶ 13歳からのSDGs』を読みます。31歳からも頑張らせていただきたいと思います。ということで、ここからは最新のSDGsのトピックスを伺いたいなと思うんですけど、X(旧ツイッター)などでも取り上げているんですよね」

たかまつ 「そうですね」

新内 「まず1つ目は『選挙小屋』。こちらはどういったものなのでしょうか」

たかまつ 「私は昨年9月にスウェーデンに取材に行きまして、北欧でわりとある文化らしいんですけども、選挙期間中に駅前の広場などに『選挙小屋』というのができるんです。それぞれの政党のブースが屋台みたいな感じに出て、そこで政党がコーヒーやバナナを配ったりしながら、立ち話なんかをしながら、自分の政党をPRするということをやっています」

新内 「それは質問もできたりするんですか」

たかまつ 「できます。党首がやってきたりもするんですよ。中学生の子とかが質問したり、学校の宿題になっていたりもします。自分の関心のある質問について、全部の政党から聞いてくること・・・とか」

新内 「それは、すごい」

たかまつ 「中学生がそれをやっているんです。スウェーデンの中学校で『政治家と直接話したことがある人』と聞いたら、全員が手を挙げたんです」

新内 「えっ、全員」

たかまつ 「びっくりしました。あと結構私、いろいろな人にインタビューできたんです。元首相とか、首相もインタビューできたんですよ。選挙小屋にいるから」

新内 「首相もですか」

たかまつ 「首相は別会場でしたけど、元首相とか党首は普通にいて、日本のジャーナリストなんですけど質問をさせてくださいと声を掛けたら、OKだと」

新内 「すごい。日本と海外の若者の政治参加の差っていうのは、すごく感じると思うんですけど、これはどうにか生かしたいですよね」

たかまつ 「民主主義で社会を支えているものには信頼があるなと思うんです。日本人のジャーナリストの話を何でそうやってすぐに聞いてくれるかというと、人のことを基本的に信頼しているからじゃないかと。そういう信頼によって成り立っている社会は違うなと思います。子供たちにも、政治家と話をさせると政治的に洗脳されてしまうんじゃないかみたいに日本の人は考えるかもしれないですけど、スウェーデンでは子供たちのことを信頼しているんですよね。選挙小屋に学校の先生はついてこないし、勝手に聞いて来いと言っているわけですから。先生が子供たちのことを信頼している。そして、市民も政治家をある程度信頼している。日本だと、何かリスクがあるんじゃないかとか、危ないんじゃないかとか考えてします。そういう姿勢は、民主主義とは相性が悪いなと思いますよね」

新内 「確かに信頼ってすごく一つの大事なキーワードになるかもしれないですね」

たかまつ 「もちろんクリティカルシンキング(物事を批判的に捉え、判断すること)とか、すごくやっているので、何が一次情報なのかとか、政治家が行っている情報には嘘が多いと思うとか、子供たちも答えるんです。でも、信頼っていうのはあるなと思いましたね」

新内 「勉強になりました。ありがとうございます」

群馬県が導入する「高校生のリバースメンター」

そして、次に新内さんが挙げたのが『高校生のリバースメンター』。メンターとは、仕事やキャリアの手本となって指導や助言をすることでサポートする人のこと。群馬県ではこれを高校生が担い、知事の相談役となって、これまでの常識にとらわれない、自由で斬新な発想で政策提言などを行い、若者の声を政策に反映させていく試みを進めている。

たかまつ 「『高校生のリバースメンター』は、私たち笑下村塾が事務局となって行っているプロジェクトなんですけど、メンターって普通年上の人が年下の人のためになるものじゃないですか。それをリバースしよう、逆転しようというものです。高校生が知事の相談役をやろうというようなプロジェクトで、実際に群馬県の高校生10人が群馬県知事の相談役を今やっています」

新内 「今やっているんですか」

たかまつ 「そうです。10人の高校生が知事に政策提言をして、それが群馬県で実際に事業化されて予算も用意されている」

新内 「それってどういった形でされるんですか」

たかまつ 「知事とLINEを交換したり・・・」

新内 「えっ、めちゃめちゃフランクな」

たかまつ 「提言会を行って、そこで高校生が知事に政策提言をしたりもしています」

新内 「実際にどのような声を届けたんですか」

たかまつ 「生徒会をやっている子は、生徒会が今孤立しているから、もっとみんなで、県内の生徒会が連携することによって若者の声を届けたいんだということですとか、本当にいろいろなテーマでやっています」

新内 「すごいですね」

たかまつ 「LGBTQ+のことをもっと認知してほしいから、制服というのがそもそもおかしいんじゃないかということを言っている子もいます。本当に、いろいろですね」

新内 「どういった背景から、こういった活動に至ったんですか」

たかまつ 「私が去年スウェーデンとかイギリス、フランス、ドイツに取材に行きまして、若者の政治参加の様子を取材したんですけど、社会を変えるという成功体験をみんながしているんですよね。子供たちが社会運動をして、それを大人たちに聞いてもらって、何かを変えてもらうという経験をしている。そういう社会を変える場というのを、もっともっとつくる必要があるなと思い、いろいろな首長にお会いして、そういうものをやりませんかと話したときに、群馬県知事の山本一太さんが、リバースメンターにもともとすごく興味があったとおっしゃっていて、じゃあ一緒にやりませんかと言ってもらいました」

新内 「やっぱり、政治の場に若者の声は届きにくいと実感しますか」

たかまつ 「だって、同世代の国会議員って全然いないじゃないですか。若者の政治家が少ないですし、若者の圧力団体みたいなものもない。なかなか届かないなって思いますね」

新内 「だからこそ、こういう成功体験をする場を設けたということなんですね」

たかまつ 「そうですね」

新内 「すごいな」

日本財団の調査によると、日本の若者は26.9%しか「自分の力で社会を変えられる」と思っておらず、これは先進国でも低い数字だという。その中で2023年4月に子供施策を総合的かつ強力に推進していくことを目的として「こども基本法」が施行された。

たかまつ 「政府と各自治体は必ず子供政策を決めるときに、子供の声を聞かなければならないという法律ができたんです。子供の意見表明権と呼ばれるものなんですけど、どんどんこういう取り組みは広がっていくと思うんです。でも、なんとなく子供の声を聞いたふりをしている自治体とかがまだまだ多い。もっと、こういうような形で若者の声が政策にまでなるんだというところまでやる必要があるんじゃないかなと思います」

新内 「こういう取り組みが広がっていってもらいたいですね。政治は変えられるもの。そうしたいですね」

社会を変える「買い物」

番組の最後に、新内さんはたかまつさんに恒例の質問「今私たちができること=未来への提言」を求めた。すると、返ってきたのは「買い物は投票だ」という言葉だった。

たかまつ 「やっぱり、私たち消費者の、一有権者の行動って何か小さいんじゃないかと皆さんどこかで思うことってあるんじゃないかなって思うんです。でも、私たちが持つ影響力って絶大なわけですよ。たとえば、買い物で私たちは1円でも安い商品を求めるから、じゃあ1円でも安い服をつくろうとなる。その結果、児童労働とかが生まれてしまう。でも、私たちが『児童労働でつくられた服なんて嫌です』『適切な価格を払うので、環境に配慮した服、人権が守られた服が良い』って言ったら、児童労働をしている会社はつぶれますよね。私たちは毎日、いろいろなものを買っているし、買い物をしない人っていないですよね。だから、買い物っていうのは、どんな未来社会をつくりたいかっていうことにつながる。実は、買い物って毎回投票しているのと同じことだというふうに思っていただくと、社会はすごく変わっていくんじゃないでしょうか」

新内 「確かに。お気に入りの1着ですよね、たくさんの服よりも。それはすごく感じていますし、それこそお気に入りの1着だったらなかなか手放さないと思うので、資源の無駄な消費をせずに済む。『買い物は投票だ』・・・ありがとうございます」

たかまつ 「ぜひ、そうやって社会を皆さんと一緒に変えていきたいなと思います」

新内さんは「最後におっしゃっていた『買い物は投票だ』というのは、すごく私自身も思います」と強く共感。「身の回りを自分の好きなものにするというのは、すごく大事だなとSDGsを学んでから思っていて、大事なものだったら手放さないし、自分の好きなもので身を固めると心も豊かになる気がするんです。それこそがSDGsにつながっていると思います。資源を無駄にもしないし、大切にもできるし、心の豊かさにもつながるというのはすごく実感していることなので、『買い物は投票だ』という考え方を、皆さんにもぜひ実践していただければうれしいなと私も思います」と呼び掛けた。