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リサイクルできるランニングシューズ!アシックスが「NIMBUS MIRAI」を開発


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12 つくる責任つかう責任
リサイクルできるランニングシューズ!アシックスが「NIMBUS MIRAI」を開発

スポーツメーカーのアシックスが4月12日、アシックスラン東京丸の内、アシックスフラッグシップ原宿、アシックスストア大阪、アシックスオンラインストアで、リサイクルできるランニングシューズ「NIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)」の販売を開始しました。

産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑え、2050年までに事業における温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることにコミットしているアシックス。
今回発表した新商品は「NIMBUS MIRAI」。“NIMBUS”はラテン語で「雲」を意味し、雲の上で走っているような履き心地を提供、そして、“MIRAI”は、持続可能な世界が当たり前となるべく、次世代のランナーと一緒に考えていきたい、という思いが込められています。

環境配慮型の新たなランニングシューズ「NIMBUS MIRAI(ニンバスミライ)」とは?「機能性」「デザイン性」「サステナビリティ」を両立

「NIMBUS MIRAI」は、シューズを廃棄物と考える固定概念を覆すリサイクルできるランニングシューズ。
シューズは世界で年間約239億足作られており、そのうち95%以上が使用後に埋め立てられるか焼却処分になると言われています。シューズのリサイクルが進まない理由は、大きく2つ。
今回の商品開発に当たり、アシックスはこれらの課題解決に取り組みました。

1つ目は、シューズのアッパー(甲被)とソール(足底)を分離できるようにすること。2006年に開発していた接着剤を呼び戻し、走るときには接着強度を保ちつつ、リサイクルの際には容易に分解できる、そんな接着剤を独自開発しました。
2つ目は、アッパーを単一素材にすること。多数の異素材を使い複雑な構造で製造されるアッパーはリサイクルが進まない大きな理由です。これに対しアッパーを100%ポリエステルの単一素材に。ポリエステルは衣類に使われることが多い素材で、リサイクルも進んでおり、アパレルのリサイクルループ(資源の循環)にも入りやすいと考えたそうです。

「NIMBUS MIRAI」はアシックスのランニングシューズ最上位クラスのブランド「NIMBUS」シリーズ。環境に配慮した新たな工夫をほどこしつつも、クッション性などの機能性や品質を従来と同等に保っており、一切妥協していないとのことです。

消費者の協力により完成するサーキュラーエコノミー

サーキュラ―エコノミーとは、製品や原材料などを再資源化して廃棄物をなくす経済システム循環型ビジネス。この達成には、様々なステークホルダーとの協力が不可欠です。

「NIMBUS MIRAI」は、リサイクルが容易にできるよう設計されています。しかし、最も重要なことは消費者に回収プログラムに参加してもらうこと!回収されてはじめて、リサイクルされ再製品へ生まれ変わります。

アシックスは今回、使用後の「NIMBUS MIRAI」を無料で回収するサービスも開始しました。ユーザーは専用サイトで回収を申し込むことができ、シューズには専用サイトのQRコードが印刷されています。

回収後のシューズは、外部の事業者がリサイクルを行います。アシックスの試験では、リサイクル処理されたアッパー素材の87.3%が、新たなポリエステル素材として再製品に使用できることが分かったそう。
アシックスは、今回の新商品発売を機に、「お客様と一緒に一体となってサーキュラーエコノミーのループを完成させたい。」とサステナビリティ活動へ新たな一歩を踏み出すことへの熱い思いを表しました。

消費者として、シューズの回収活動に参加すること

発売に先駆けて、アシックスラン東京丸の内で行われた記者発表会では、トークセッションが開催されました。トークセッションには、実際にシューズを選ぶことの多い大学生、そしてサーキュラーエコノミー研究家 安居昭博氏が、アシックスの社員とともに登壇し、サステナビリティに関するトークを繰り広げました。

「ランニングシューズを選ぶ際に、どのような要素を重視しますか。」というアシックスが実施した調査では、1位『機能性』、2位『デザイン性』という結果で、これらで約65%を占めていたそう。トークの中でも学生は、「シューズを選ぶ際にどのようなポイントで選ぶか」との質問に、「自分は、競歩をしているので、1番は『機能性』。練習で繰り返し使うので、それに耐えられるということはとても重要です。2番目は『デザイン』。スポーツをする中で自分を表現できるところなので、やはり意識するところです。」と回答。

これに安井氏は、「日本のみでなく欧米でも、機能性やデザインが伴わずにサステナビリティだけを追求しているものは、やはり一般の方には受け入れられにくいですね。『NIMBUS MIRAI』のように機能性・デザイン性を追求したうえで、サステナビリティが伴ってくる、というのがグローバルな視点でも非常に重要だと考えます。」とコメント。
アシックスの上福元氏も、「サステナビリティは非常に重要ですが、そればかりを追い求めると他を妥協しがちになります。しかし、アシックスのプライドとしても、機能性・デザイン性は妥協しない、その上で、サステナビリティの追加を目指しました。それは非常に難しいところであり、開発に時間を要しましたが、まずは、お客さんに最後まで履いていただきたいですからね。」と答えました。

また、「使い古したシューズはどうしているか」の調査では、48%が処分していると回答されていたそう。これについて安井氏は、「サステナブルな商品があれば、こういった回収プログラムに参加したいというニーズはあると思います。シューズに限らず、様々な業界でこういった意識が生まれることで、企業と利用者の新しいコミュニケーションが生まれるのではと思います。」アシックス上福元氏は、「サステナビリティだからという理由で使うも重要ですが、まずは自分が使いたいからという点で選んでほしい。そして、好きなものの中でサステナブルであるということを感じてもらえるのが一番だと思います。」と語りました。

これに学生たちも、「今まで環境問題に取り組まなければいけない、とは思いつつ、方法が分からず結局普通に処分していました。今回の回収方法は専用サイトから簡単に回収を申し込めるので、自分も簡単にサステナビリティ活動に参加できて、とてもいいなと思いました。思い入れのあるシューズが、回収に出すことで、新しい形で次の方に使っていただけると思うと嬉しいです。」と答えていました。

消費者が回収プログラムに参加することで、ループが完成するサーキュラーエコノミー。アシックスはこれからも、今回のようなラインナップを増やすなどの活動で、どのシューズをとってもリサイクル出来るようにしていくそうです。私たち消費者もこのような持続可能な商品に注目していきたいですね。

執筆/フリーライター Makiko Kawamura