学校のプールがなくなる⁉男女共用水着が主流⁉最新の水泳事情とは
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気温30℃以上の真夏日に迫る日が多くなってきました。気象庁によると、この先3か月の気温は平年より高くなることが予想されています。夏ならではの授業として思い出すのが「水泳」ではないでしょうか。実は今、学校の水泳授業にいろいろな変化が起きています。
皆さんは小・中学校、もしかすると高校でも必修だった「水泳の授業」、好きでしたか。ちょっと苦手だったという人もいるかもしれません。私はプールが大好きでしたが、水が冷たくて唇がいつも紫色になっていた記憶があります。
文部科学省が発表している「水泳指導の手引」によると、水泳授業の趣旨・目的は「水泳系で求められる身体能力を身に付けること、また、水中での安全に関する知的な発達を促すこと、さらに、水の事故を未然に防ぐ論理的な思考力を育むこと」とされています。
地域差はあるものの、学校のプール開きは大体6月中旬〜7月上旬頃です。コロナ禍は多くの学校で水泳授業の実施を見送っていましたが、再開する自治体が増えているようです。
男女共用!ジェンダーレス対応の「スクール水着」が登場
水泳の授業で欠かせないものといえば「スクール水着」です。昭和生まれとしては、女子用はワンピース型、男子用はボックス型と、男女別の水着を思い浮かべてしまいがちですが、スクール水着の形も、時代と共に少しずつ変化しています。
20年ほど前に、女子の水着にセパレーツ型が登場し、男子の水着もトランクス型からロングトランクス型へと変わってきました。紫外線対策や肌を露出したくないなどの理由から「ラッシュガード」の着用も多くなっています。
画像出典:フットマーク社 プレスリリース
そんなスクール水着に、業界初となるジェンダーレス対応の水着が登場しているのをご存知でしょうか。長年スクール水着を手掛けてきたフットマーク社の「男女共用セパレート水着」です。
画像出典:フットマーク社 プレスリリース
露出を軽減し、男女共に身体的な違いが表れる部分はシルエットがゆったりするような素材に変えて、体型の違いが目立たないデザインとなっているのが特徴です。
この「男女共用セパレート水着」は2022年にテスト販売が開始されました。2023年度には公立中学校を中心に300校以上で採用され、今年の夏は400校以上で導入される見込みです。
実際に着用した生徒からは「肌や体型がカバーできる」や「日焼け対策ができる」、「アトピーで荒れた肌を隠せる」などの好意的な声があがっているようです。
ちなみに、この商品を「ジェンダーレス」という名称にしてしまうと、本当に必要としている生徒が購入しにくくなってしまうかもしれないと考えたフットマーク社は、誰が手に取っても違和感が無いように「男女共用」という商品名にした、としています。
学校の制服見直しの動きが活発化しているなかで、スクール水着も自由に選べる時代になりました。このジェンダーレス水着を着ることで、さまざまな理由で水泳に苦手意識があった子どもたちが、“自分らしく”授業を楽しめるようになるといいですよね。
学校のプールがなくなる?変わりつつある学校の水泳授業
昨今、施設の老朽化や維持管理コストなどを理由に、学校のプールで実施していた水泳授業を、公営施設などの「室内温水プール」で実施するケースが増えています。
東京都東村山市では令和3年度以降、それまで学校プールで行っていた水泳授業を、市民スポーツセンターや民間プール事業者の屋内プールで実施するトライアルをスタートしました。このように学校外で水泳授業を実施している学校は年々拡大しているようです。
専門スタッフも加わったきめ細かい指導ができることで、水泳授業の質が向上し、先生たちの負担軽減が図れる効果があったといいます。
この学校プール問題は、猛暑や豪雨などの天候由来で学校のプールが使えない状況が増えていることも一因です。学校外の屋内プールを使うことで、安定的な水泳授業ができることも大きなメリットでしょう。夏の2〜3ヶ月だけだった水泳授業が、今後は季節に縛られず行われていくようになるのかもしれませんね。
海外の学校のプール事情は?水泳の授業はあるの?
老朽化が問題となっているとはいえ、日本の公立の小中学校には必ずといっていいほどプールがありますよね。海外では、学校にプールがある国は少なく、日本のように水泳の授業がある国は世界的に見ても珍しいようです。
韓国では、ほとんどの学校にプール施設がないため、スイミングスクールなどに通わない限り水泳を習う機会がないといいます。しかし、近年は小学校で「水上安全教育」が導入され、地域のプール施設で行われています。これには高校生300人以上が死亡した2014年のセウォル号沈没事故が影響しているようです。
アメリカでも屋外プールを持つ学校は多くなく、地域のスポーツセンター等の屋内プールで水泳の授業を実施したり、サマースクールで泳ぎを習うというケースが多いといいます。
ニュージーランド人の友人に聞いてみると、日本に似ていることがわかりました。ほとんどの小中学校に屋外プールがあり、多くの高校もプール施設を備えているそうです。ニュージーランドでは基本的なスイミングスキルを必要とする傾向があり、多くの親がプライベートレッスンの費用を負担しています。
水泳授業を受ける未来の子どもたちへ
昭和40年~50年頃にかけて整備が進んだといわれている日本の学校プールですが、50~60年経った令和の今、改修や新設はせずに廃止とし、校外の屋内プールを活用するという動きは当然のことのような気がします。
今回はジェンダーレス対応のスクール水着や、学校の水泳授業について深堀りしてみましたが、女子はワンピース型のスクール水着、水泳授業は学校で行うものという“固定概念”にとらわれず、子どもたちにとって何が良いのかを考えていくことが一番重要なのかもしれません。
執筆/ フリーライター こだま ゆき