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いよいよ梅雨入り!太陽が出ていない梅雨時期ならではの紫外線対策のポイント

いよいよ梅雨入り!太陽が出ていない梅雨時期ならではの紫外線対策のポイント

#SHOW CASE
  • すべての人に健康と福祉を

今年は梅雨はないのかと心配になるほど遅いスタートでしたが、関東地方もようやく梅雨入りしましたね。日差しが少ない雨の日は「紫外線対策をしなくても大丈夫」と油断しがちになりますが、この考えは大きな間違い。実は例年この梅雨時期も、真夏並みに紫外線が降り注がれています。
紫外線は日焼けやシミ、シワ、たるみなどの皮膚老化だけでなく、皮膚ガンなどの皮膚疾患、そして白内障などの眼疾患などの症状を引き起こす要因となります。紫外線から肌を守ることは、私たちが健康に生活するために大切なことです。

今回は、アンチエイジングのプロである虎ノ門中村クリニック神谷町院・医院長の中村氏をはじめ、同院の管理栄養士、田端氏、立木氏に、梅雨時期の紫外線で気を付けるべきポイントや、内側からの紫外線対策としておすすめの栄養素について聞きました。

梅雨時間も油断できない紫外線

私たちの体へ影響を及ぼす紫外線には、UV-A(A紫外線)とUV-B(B紫外線) の一部があります。そのうちUV-Aは肌の奥深くまで到達し、コラーゲンやエラスチンを変性・破壊します。これにより肌の弾力が失われ、シワが発生するなど私たちの肌に様々な悪影響を及ぼします。
また、UV-Aには生成されたメラニン色素を酸化させることで、肌を黒くする性質もあり、しみやたるみなどの光老化を引き起こす主な原因にもなっています。
UV-Bは屋外での日焼けの主な原因であり、照射してから数日後に肌を黒くすることが特徴です。紫外線に含まれる割合は約1割程度とUV-Aに比べ少ないですが、影響力は高く、短時間浴びただけでも肌が赤くなる炎症反応を引き起こすうえに、肌の表面にある細胞やDNAにダメージを与えるため、シミ、そばかす、シワの原因となる他、表皮細胞を傷つけるなど、肌に大きな影響を及ぼします。

暑い晴れた日に特に気になる紫外線ですが、雨で日差しが出ていないときも紫外線量が0%になることはありません。曇りの日は快晴時の約60%、雨の日でも30%ほどの紫外線が降り注いでおり、気象庁の観測データによると7〜8月の次に紫外線量の多いのが梅雨時期である6月だといいます。

梅雨時期は曇りの日も多いですが、雲には太陽光を散乱させる働きがあり、快晴の時よりも紫外線量を増加させる場合もあります。実際に、国内の紫外線量が最大値になった際は全天の80%以上が雲に覆われている状況であったことからも、曇りや雨の日でも紫外線対策はしっかり行った方が良い事がわかります。

梅雨時期に気を付けたい紫外線の注意ポイント

1.地面や水たまりからの反射にも注意!
可視光線と同じく、紫外線も地面や水たまりから反射します。そのため空からの日差しだけでなく、下方向からの照り返しにも注意が必要です。地面の種類による反射率は以下の通りです。 
・砂浜:10~25% 
・コンクリートやアスファルト:10% 
・水たまりや水面:10~20%
・芝生や土面:10%以下
また、雨が止むと急に晴れ間が広がることがありますが、この晴れ間のタイミングにはとくに強い紫外線が反射するため、水たまりに注意しましょう。反射した紫外線は帽子や日傘でガードするのが難しいので、外出するときは日焼け止めを塗って紫外線対策を行っておくのが理想です。

2.汗や雨による紫外線対策の崩れに要注意!
高温多湿な時期なので、せっかく紫外線対策をしていても、皮脂や汗でくずれると、そこから紫外線ダメージが入り込んで日焼けやシミの原因になります。この時期は、フィット感があり崩れにくい日焼け止めをこまめに塗りなおす、肌の露出を控える、紫外線の強い日中の外出を避けるといった対策に加え、体内から紫外線対策を行うことも一つのポイントになります。

抗酸化作用のあるビタミンが紫外線対策に効果的

紫外線対策として日焼け止めや日差し除けをする他にできるケアにはどんなものがあるのでしょうか。虎ノ門中村クリニックの管理栄養士のお二人に、紫外線を内側からガードし肌を守るために摂りたい栄養素と各栄養素が含まれる食材や効率的な摂取方法などを伺いました。

1.美肌保守に欠かせない「ビタミンC」
シミの原因となるメラニンは、元々チロシンという無色透明のアミノ酸ですが、チロシナーゼという酵素の働きによりチロシンを酸化させることで生成され、色素沈着を起こします。ビタミンCには抗酸化作用があり、チロシナーゼを抑制しメラニン生成を抑える働きがあります。また、生成されたメラニンを無色透明に還元する働きもあるため、予防に加えて今あるシミを薄くする効果も期待できます。
さらにビタミンCは、コラーゲン合成を促進するビタミンです。コラーゲンは真皮にあり、肌のツヤやハリに欠かせない重要な役割を担っています。しかし、紫外線にはコラーゲンや、同じく美肌を保つために重要なエラスチンを減少させ、シワやたるみをつくる働きもあります。このため、コラーゲンを合成できるビタミンCはシミ予防だけでなく美肌になる為にとても大切なビタミンとなります。

ビタミンCは、野菜なら赤・黄ピーマンやゴーヤ、ブロッコリー。果物ならキウイフルーツやいちご、グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類に多く含まれており、推奨摂取量も少量なので比較的摂りやすい栄養素です。
一方、ビタミンCは性質上、水に溶けやすく熱に弱いため、茹でる・煮るといった調理方法では栄養成分がおよそ半分以下に分解されてしまいます。そのためビタミンCが豊富な野菜や果物は、鮮度が良い状態のものを手早く水洗いし、なるべく生の状態で食べるよう心がけましょう。加えてビタミンCは食後すぐに摂取する事で食べ物と一緒にゆっくりと吸収されるため、空腹時よりも吸収率は上がります。サプリメントなどでビタミンCを補う場合は、朝晩だけではなく、できるだけ吸収率の良い3食の食後に摂取するのがおすすめです。

2.紫外線対策で不足した栄養を補う「ビタミンD」
ビタミンDは、ビタミンCと違って直接的に紫外線予防ができる栄養素ではありませんが、カルシウムの吸収率を高め、骨を強くするのに欠かせないビタミンです。紫外線を浴びることで体内で生成できるものなので、紫外線対策として日光を避けた生活をしていると、ビタミンD不足で免疫が落ち、体調不良や骨粗鬆症などを起こしてしまう可能性があります。また、骨を丈夫にする働きがあるビタミンDが不足することで顔の骨が痩せ、その分皮膚が余り、肌のシワやたるみにつながる可能性もあるといわれています。
ビタミンDは、紫外線対策によって2次被害を起こさない為に、摂取しておきたいビタミンです。

このビタミンDは、サンマや鮭、アジなど、魚類に比較的多く含まれます。魚類に比べると含まれている量は多くはありませんが、卵、きのこ類からも摂取できます。人と同じく食べ物も紫外線に当たるとビタミンD が増加するものがあり、乾燥きくらげなど乾物に多く含まれる傾向にありますが、なかでもしいたけは、紫外線に当たることでビタミンD2の「エルゴステロール」が増加するため、生のものに比べ多くビタミンDを摂取できます。

3.美肌の秘訣にかかせない「ビタミンACE(エース)」
前述した2種のビタミンに加え、紫外線対策としておすすめしたいのが「ビタミンA」と「ビタミンE」です。2つのビタミンとビタミンCは非常に相性が良く、単体で摂取するよりも相乗効果でより多くの力を発揮するため、3種類を合わせて「ビタミンACE」と呼ばれ、近年、美肌やアンチエイジングにオススメの栄養素として注目されています。

「ビタミンA(β-カロテン)」には表皮細胞の分化を促し、ターンオーバーを整える作用があります。これによりメラニンの排出も促すため、キメやくすみ、シミや小じわなどさまざまな肌悩みの改善に効果が期待できます。また、肌の乾燥や角質化を防ぐ効果も期待でき、免疫力を高めることからニキビや肌荒れの予防にも効果的だと言われています。ビタミンEとCの働きを長持ちさせてくれるのも特徴です。
美肌に大切な栄養素ですが、紫外線を浴びることで、肌内部のビタミンAが破壊され減少してしまう為、肌の健康を保つためにも、ビタミンA摂取は欠かせません。ビタミンAは、レバーや、バター、ニンジンなどに含まれており、脂溶性のため、炒めものや揚げもの、ドレッシングなど油を使った調理方法によってより効率的な摂取が可能になります。

ビタミンEには血行促進効果があり、摂取した栄養が体の隅々まで行き届くサポートをしてくれます。また細胞の酸化を防ぐ効果が非常に高く、細胞の酸化を引き起こす活性酸素から体を守り、紫外線によって引き起こされる”光老化”の予防にも効果を発揮します。ビタミンEは卵やアーモンドオリーブオイルなどに含まれます。生で食べるよりも炒めものなど油脂と一緒に摂取する方が吸収率が高くなるので、ビタミンA(β-カロテン)やビタミンCと一緒に摂ることで抗酸化力アップにつながります。

少し遅すぎた気もしますが、今年もいよいよ梅雨本番。天気の良くない日も気を緩めず、日除けや日焼け止めなどの対策はもちろん、食べ物やサプリメントなど、効果的なアプローチで肌や体を紫外線から守りましょう。

・監修者

虎ノ門中村クリニック 院長 中村康宏(なかむらやすひろ)氏
医師・産業医・MPHホルダー(米国公衆衛生学修士関西医科大学卒業後、国家公務員共済組合連合会虎の門病院に入職。内科医・消化器内科医として研鑽を積む中で、病気の発症予防だけでなく再発予防、増悪予防の重要性を痛感する。アメリカの最先端予防医学を学ぶため、米国医師免許試験を突破しアメリカ・ニューヨークへ留学。行動科学、健康教育学、医療管理学などを幅広く学びMPH(米国公衆衛生学修士号)を取得した他、留学中にパーソナルトレーナー・栄養士資格を取得、ライフスタイル医学コース等を修了。
帰国後、健康増進・健康防衛のための医療を提供すべく「中村康宏内科クリニック」を京都で開業。その後、日本初のアメリカ抗加齢学会登録施設になった「虎ノ門中村クリニック」を東京で開業。一般内科診療からアメリカの最も新しく標準的な医療サービスを幅広く提供している。アジア各国で若手医師のネットワークづくりをしながら、定期的に診療中。

虎ノ門中村クリニック 管理栄養士 
田端麗(たばたうらら)氏
立木琴菜(たつぎことな)氏


執筆/フリーライター Yuki Katagiri

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