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「#30wears」服を30回着てますか?ファッション業界は世界2位の汚染産業なのか

「#30wears」服を30回着てますか?ファッション業界は世界2位の汚染産業なのか

#SHOW CASE
  • つくる責任つかう責任

「ファッションロス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。まだ着ることができる服が捨てられてゴミになってしまうことをいいます。皆さんは、一度も着ることのなかった新品の服を捨てた経験はありませんか?
今回は環境負荷が特に大きい産業といわれているファッション業界において、私たち消費者ができる身近なアクションを考えてみましょう。

購入単価が下がったことで着用期間も短くなっている現状

大量生産・大量消費が拡大する傾向が続くファッション産業では、一枚あたりの衣服の価格は年々安くなり、消費サイクルが年々早まっています。それにともなって大量廃棄が大きな問題となっています。これには2000年代に入って世界的に広まったファストファッションブームが背景にあるといわれています。
環境省によると、2022年の国内新規供給量は約79.8万トン。そのうちの9割にあたる約73.1万トンが事業所や家庭から使用後に手放されているといいます。家庭からでるファッションロスは約69.6万トンにもなるのです。

また、こんな調査結果も出ています。日本人は1人あたり年間約18枚の衣服を購入し、手放す服は約15枚。一年間一回も着られていない服が一人あたり35着もあるのだそうです。製造に必要な水などの資源やエネルギー使用の増加、製品の大量廃棄が大きな問題となっていて、ファッション業界は今や「世界2位の汚染産業」といわれています。

30回着るかどうかを考える「#30wears」って?

InstagramなどのSNSで「#30wears」というハッシュタグが付いたポストを見たことはありませんか。服を買うとき「少なくてもこの服を30回着るかどうか?」と自問し、100%イエスでなければ購入は見送りましょうというハッシュタグチャレンジです。
数年前にイタリアの活動家リヴィア・ファース氏が提唱したこの「#30wears」は、ファッションの環境負荷を減らしたいと考えている人のために作られました。

この30回着用ルールは、よく考えてみると、思っているほど簡単でないことがわかります。例えば、週に1回同じ服を着るとすると、30回着るには7ヶ月かかります。同じ服をそれだけ長く着ることって意外と少ないのではないでしょうか。シーズンものならなおさらです。

さり気なくSDGsを発信!無人のレディース古着店

問題となっているファッションロス問題に対して、私たち消費者ができることの一つが、リユース(再利用)です。セカンドハンド=古着で楽しむことは、すぐにでもできる環境へのアクションですよね。

東京都小金井市にある「Maison T(メゾン ティー)」は、国内外から仕入れたフレンチシックスタイルのユーズドアイテムを取り扱うレディースブランド。中央線の武蔵小金井駅から徒歩7〜8分の場所に今年4月にオープンした、最近急増している“無人”の古着屋さんです。

オーナーの岩堀智子さんは、ファッション業界が抱える環境問題などに関心を持っていて、サステナブルやエコなどの意識が強い方。今回お話を伺うと、アパレル業が環境汚染産業の2位であることはもちろんご存知でした。

もうひとつ「Trip vintage」というフランスを中心としたヨーロッパのヴィンテージを取り扱うブランドも運営している岩堀さんは「コロナ禍前は、時々フランスに買い付けに行っていたのですが、現地に行くたびに日本人はSDGsとかサステナブルの意識がまだまだ低いなと感じました」と話します。
例えば、ランチで利用したテイクアウト可能なチャイニーズのお店では、“ここに入れて”と持参したタッパーを出している人をよく見かけたのだそうです。

「気候が違うので一概には比べられないのですが、環境への配慮などからフランスではエアコンが普及していません。エアコン付きのホテルに泊まったことを仕入先で話したら、ドン引きされたことがあります。それくらい環境によくないものとして認識されているんです。」
SDGs達成度ランキング5位のフランスで、肌で感じた経験を持つ岩堀さんは、“良い衣服を長く着て、自分なりのおしゃれを楽しんでほしい”という想いで「Maison T」を出店したといいます。

「お店側から押し付けがましい提案をしなくても、来てくださるお客様自身に“服を大切に着よう”という意識が自然に広まっていったらいいなと思っています。それがこだわりを持ってやっている今の仕事とつながることが夢です。」(岩堀さん)

「Maison T」に置いているアイテムはコンディションが良く、中には古着とは思えないようなものも。そして、ターゲットとなる年齢層が幅広いのも特徴です。

ファッションは毎日の生活を彩り、気分を上げてくれるものです。だからこそ、できるだけ長く着られる一着を選び、着なくなったものは世の中のみんなで着回したいですよね。1着の衣服を現在よりも一年長く着ることで、日本全体として4万トン以上の廃棄量削減につながると言われています。
次に服を買うときには、本当に必要なものか、「#30wears」を思い出してみてはいかがでしょうか。


執筆 / フリーライター こだまゆき

【Maison T】
東京都小金井市本町3-4-3-102
Open 10:00-19:00
Instagram:@maison_t00

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