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日本は“世界2位”のプラスチックごみ大国!巡り巡って私たちもプラスチックを食べている?!


この記事に該当する目標
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任 14 海の豊かさを守ろう
日本は“世界2位”のプラスチックごみ大国!巡り巡って私たちもプラスチックを食べている?!

米アマゾンは今年6月、北米でのプラスチック製梱包材の使用を大幅に削減したと発表しました。プラスチック製の梱包緩衝材「エアピロー」の95%を紙製の物に置き換えており、年末までの全面撤廃を目指すとしています。
日本でもアマゾンのFCから発送される商品については一部のサービスを除いて、プラスチックから紙の緩衝材に変更されています。そういえば最近は、空気を詰めたエアピローではなく、紙の緩衝材だなと気付いていた方も多いのではないでしょうか。

食物連鎖で私たちの体にも影響が!?プラスチックごみ問題の現状

生ごみのように自然に分解されず、半永久的に残り続けてしまうプラスチックは、世界的に深刻なごみ問題における一つの代名詞的存在になっています。
投棄されたプラごみは川から海へと流れて「海洋プラスチック」となり、ウミガメなどの生き物たちが誤食したり、体に絡まったりする被害を生んでいます。

また波や紫外線によってもろくなり、大きさが5mm以下の「マイクロプラスチック」になると、海水から回収するのはとても困難です。近い将来、マイクロプラスチックを体内に取り込んだ魚介類を食べる私たち人間の健康被害も出てくることが懸念されています。

日本は世界有数のプラスチックごみ大国って知ってた?

プラスチックごみは年間でどのくらい廃棄されているのでしょうか。一般社団法人プラスチック循環利用協会の発表によると、2022年における日本の廃プラスチックの総排出量は823万トンにもなります。

日本はアメリカに次いで世界第2位のプラスチックごみ大国です。と同時に、プラごみ対策が進んでいる国でもあり、プラスチックごみの87%がリサイクルされています。そのリサイクル方法には以下の3つがあります。
マテリアルリサイクル・・・プラごみを原料にして新しくプラスチック製品に再生する方法
ケミカルリサイクル・・・プラごみを化学的に分解するなどして化学原料に再生する方法
サーマルリサイクル・・・プラごみを焼却して発電などエネルギー回収する方法

日本の場合、焼却時に生まれる熱エネルギーを発電などに使うサーマルリサイクル分が6割を占めています。石油から作られているプラスチックを燃やすと、当然ながら地球温暖化の原因となる二酸化炭素が排出されますよね。

実は欧米では、このサーマルリサイクルはリサイクルとみなされていません。プラスチックのリサイクル率87%という数字だけ見ると、日本はリサイクル先進国のように感じますがそうとも言い切れないのです。

「プラスチック汚染を根絶する」ための条約交渉は残すところあと1回

今年4月、プラスチックごみを減らすための国際条約の策定に向けた第4回目の政府間交渉委員会(INC-4)がカナダのオタワで開催されました。会合には約170か国の国連加盟国や関係国際機関などが参加し、積極的に意見交換が行われました。

WWFは、今回の政府間交渉委員会について次のような声明を発表しています。

「INC-4では一定の進展があったが、多くの国が望む法的拘束力ある世界共通ルールに合意できず。日本政府には共通ルールへの明確な支持を改めて求める。」

条約制定に向けた最後の交渉は、11月25日から12月1日まで韓国の釜山で開催される予定です。条約に新規のプラスチックの生産規制が盛り込まれる否かが大きな焦点となりそうです。

脱プラスチックの日本を目指して

プラスチック削減を目指す日本では、積極的に脱プラスチックに取り組む企業や自治体が多くあります。

ソニーは今年4月、海外向けの大型テレビに採用している発泡スチロール製の緩衝材を撤廃し、植物油などのバイオマスを原料とする「生分解性バイオポリマー」を採用すると発表しました。このバイオポリマーは、自然界の海水や土壌に存在する微生物により分解され、最終的には炭酸ガスと水になるというものです。
イケア・ジャパンでも、プラスチック包装の使用を段階的に廃止する取り組みが実施されています。まずは2025年までに新商品の包装材に再生可能な素材やリサイクル素材を使用し、2028年までに既存商品の包装材がすべて切り替えられる予定です。
ネスレ日本では、2019年から主力製品である「キットカット」の大袋タイプ5品の外袋をプラスチックから紙パッケージに変更しています。これによって年間約380トンのプラスチック削減につながっています。

2024年4月からプラスチックゴミの出し方が変わった自治体が増え、東京墨田区では「プラスチックの日」を新たに週1回設け、今まで燃やすごみ・資源物として収集していたプラスチック類と食品トレーを「資源物」として回収しています。

画像出典:墨田区資源環境部 すみだ清掃事務所

プラスチックは現代人の生活には欠かせない素材となっているため、いきなり100%脱プラスチックを実現するのは不可能といえるでしょう。まずはマイボトルやエコバッグを持ち歩く、飲食店などでストローなど不必要なものを断る、折り畳み傘を持ち歩く、石鹸を使うなど、身近な脱プラアクションから実践してみてはいかがでしょうか。私はコンビニでヨーグルトやプリンを買った際のスプーンを今後は受け取らないようにしようと思います。


執筆/ フリーライター こだまゆき