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未来を創る文化の架け橋へ:東京国立博物館の挑戦とSDGsへの貢献


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに
未来を創る文化の架け橋へ:東京国立博物館の挑戦とSDGsへの貢献

創立から150年以上、日本の文化財を守り伝え続けてきた東京国立博物館。長い歴史を誇るこの博物館が、未来を見据えた革新的な取り組みを始めています。

子どもたちの学びと遊びを融合させたスペース「あそびば☺とーはく!」や、未来へのビジョンを共有する「TOHAKU GALA」を通じて、文化の魅力を次世代へと繋ぐ新しい試みを展開中です。

これらの活動は、SDGs(持続可能な開発目標)の「質の高い教育をみんなに」や「住み続けられるまちづくりを」への取り組みとも深く結びついています。本記事では、これらの挑戦がどのように社会へ広がりを持たせているのか、その魅力を探っていきます。

「TOHAKU GALA」がもたらす新しい交流の形

11月10日に開催された「TOHAKU GALA」は、博物館が目指す新たなビジョンを広く共有し、未来に向けた支援の輪を広げることを目的に行われました。

会場では、東京国立博物館の藤原誠館長が、2038年に迎える本館オープン100周年を見据えた未来の展望を発表。そこには、「すべての人が親しみやすく、学びと交流のハブとなる博物館を作りたい」という強い願いが込められていました。

さらに、建築家の隈研吾氏がアンバサダーとして登壇し、東京国立博物館が進む新たな道のりに対するエールを贈りました。その温かい励ましの言葉は、会場の参加者に希望を抱かせると同時に、この取り組みがどれほど社会にとって意義深いかを感じさせました。

TOHAKU GALAのもう一つの魅力は、華やかな文化交流の場としての演出でした。池坊専宗氏による美しいいけばなの説明や、バイオリニスト川畠成道氏の優雅な演奏が参加者を魅了。文化や芸術が人々を繋ぎ、未来に向けて協力する場を創り出す一助となりました。

子どもたちの好奇心を刺激する「あそびば☺とーはく!」

博物館といえば、「静かな環境でじっくりと展示を鑑賞する場所」というイメージがあるかもしれません。しかし、東京国立博物館が12月8日まで開催している「あそびば☺とーはく!」は、その概念を大きく覆す新しい試みです。

このスペースでは、遊びを通じて文化財に触れ、学ぶ体験ができるよう、さまざまな工夫が凝らされています。

例えば、子どもたちに一番人気の「子ども遺跡」。ここでは、考古学者になった気分で遺跡の発掘体験が楽しめます。子どもたちが夢中になって発掘する姿は、学びへの意欲を育む絶好の機会となっています。

また、全長12メートルの「とーはく古墳」や「こども遺跡」といったダイナミックな展示は、歴史に興味を持つきっかけを与えてくれるでしょう。子どもたちが気兼ねなく遊べるよう、怪我をしないよう配慮がところどころにされているところもポイントです。

他にも、リラックスできる絵本コーナーでは、多言語対応の本が揃えられており、多様性を尊重する環境が整っています。これらの活動は、SDGsの「人や国の不平等をなくそう」にも通じるものがあります。文化や言語の違いを超えた教育の場を提供することで、すべての子どもが楽しめる学びの空間を実現しているのです。

さらに、口に入れても安全な素材で作られたクレヨンを使ったお絵描きコーナーでは、小さな子どもたちも安心して参加できます。

遊び終わった後は、楽しかった場所をシールで選んで投票するアンケートも実施中。子どもたち自身が楽しみながら意見を発信できる仕組みが整っています。

SDGsとの関連性:文化と教育の融合

東京国立博物館のこれらの取り組みは、SDGs「質の高い教育をみんなに」への貢献そのものです。「遊びながら学ぶ」という新しい教育の形を提案することで、子どもたちの好奇心を育て、文化や歴史への関心を高めています。また、「住み続けられるまちづくりを」にも寄与しており、地域の文化施設が未来に向けた学びと交流の場として進化を遂げていることが感じられます。

さらに、多言語対応やユニバーサルデザインの導入により、多様性と包摂性を尊重した博物館づくりが進められています。これは、「人や国の不平等をなくそう」や「平和と公正をすべての人に」との関連性が感じられます。

未来への期待

東京国立博物館が描く未来のミッションは、“共に創る最先端ミュージアム”。それは、地域や国を越えて多くの人々が交流し、文化や学びを共有できる場、未来へつなぐ新しい発見や感動を生み出す場所を目指すもの。その背景には、持続可能な社会づくりに向けた強い意志があります。これからも、歴史ある博物館の新たな挑戦に注目していきたいですね。

この秋、ぜひ東京国立博物館や「あそびば☺とーはく!」を訪れてみてください。子どもも大人も、遊びながら学ぶ楽しさを体感しながら、未来に繋がる文化の魅力を共有できる素敵な時間を過ごせるはずです。

「あそびばとーはく!」概要
会 期 : 2024年11月8日(金)~12月8日(日) 10:00~16:45 (最終入場16:30)
会 場 : 東京国立博物館 本館特別 5 室
料 金:無料(高校生を除く18歳以上70歳未満の方は当日の総合文化展観覧料:一般 1,000 円 大学生 500 円が必要です)
休館日 : 月曜日
※土日は予約が必要
予約サイト
詳細はあそびば☺とーはくウェブサイトをご覧ください。


取材・執筆/フリーライター藍沢美香