デザインコンテストを通じてファッションロスを解決!ブックオフが提案する新たなリユースのかたち
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Photo by Norifumi Fukuda
ブックオフグループホールディングスの子会社で、リユースショップ「BOOKOFF」などを運営するブックオフコーポレーション株式会社が、『Reclothes Cup(リクロースカップ)2025』の一次審査会を開催しました。Reclothes Cupは、参加者がBOOKOFFの店頭に並ぶ古着を使い、自由にリデザインして競い合うアップサイクルデザインコンテスト。リデザインに使用する店頭の古着の費用はブックオフが負担します。
今回は、このReclothes Cupがどんなコンテストなのかをはじめ、古本屋のイメージが強いブックオフがこうしたデザインコンテストを開催しているのはなぜなのか、その理由を調査しました。
ブックオフが提案する新しいサステナブルアクション『Reclothes Cup』


『Reclothes Cup』は、2021年から開催されているアップサイクルデザインコンテスト。
参加者たちが、BOOKOFFの店頭で販売されている古着を使用し、 ファッションアイテムとしての新たな付加価値を創造します。このコンテストでは、 既成概念にとらわれず自由な発想と感性で古着の価値を高め、着る人・見る人をワクワク、 感動させる作品を創造することで、さらなるモノの循環を生み出す新しいサステナブルアクションに取り組んでいます。
応募部門は、全国の学生(高校生以上)を対象にした「デザイン部門」と、学生から一般の方まで自由に参加することができる「販売部門」の2つ。「デザイン部門」のグランプリ受賞者には、雑誌『装苑』に作品が掲載されるとともに、賞金30万円が贈られます。また、「販売部門」のグランプリ受賞者には、賞金10万円が贈られ、2026年2月に開催予定のクリエイションの祭典「NEW ENERGY TOKYO」への合同出展の権利も与えられます。
『Reclothes Cup 2025』Web サイト:https://reclothes-cup.jp/
応募総数612作品から一次審査を通過したのは60作品


『Reclothes Cup 』、今年の応募作品は、デザイン部門551作品、販売部門61作品、応募総数612作品となり、昨年の489作品を大きく上回りました。デザイン画によって審査が行われる一次審査会には、『Reclothes Cup』審査委員長である児島 幹規氏や審査員でスタイリストの相澤 樹氏、ブックオフブックオフグループホールディングス代表取締役社長の堀内氏が参加。各審査員は全ての応募作品に目を通し、 約4時間にも及ぶ審査が行われました。
多くの応募の中から一次審査を通過したのは、デザイン部門40作品、販売部門20作品の合わせて60作品。今年の応募作品について各審査員は、「回を重ねるごとに、デザイン画のクオリティが上がっており、コンテスト自体のレベルが上がってきました。 (他のファッションコンテストに比べて)使用素材が限られている中、工夫を凝らした作品が増えてきたと思います。 デザイン画からは、 どんな風に形にしてくるのかが想像できない作品もあり、出来上がりが楽しみな作品が多かったです」、「パッチワークひとつとっても今までとは違うギミックを使って表現しようとしている作品が印象的でした。 地層を服を使用して表現しようとしていたり、どんな色使いで仕上げてくるのか、 など完成した作品がとても楽しみです」などとコメントしており、コンテスト全体のレベルの高さが伺えます。
一次審査を通過した応募者は、ここから実際にブックオフで販売されている古着を用い、デザイン画からリアルな衣装の具現化に向けて制作を行います。10月13日(月・祝)に福岡国際会議場多目的ホールで開催される最終審査会は、一次審査を通過した全60作品の衣装をモデルが着用し、ファッションショー形式で行われます。
ワクワクする新たな古着のアップサイクルでファッションロスの解決に寄与


ブックオフはその名前にもある通り、古本屋のイメージが強いですが、実は「本」だけではなく、服やスポーツ用品など様々なものをリユースという形で循環させ、モノの寿命を延ばすことを根幹としている企業。 今回のコンテストのテーマとなる「服」だけを見ても、ブックオフグループ全体で年間1,000万着以上を取り扱っています。 販売されている服の中には、誰からも購入されることなく、役目を終えていくものもあります。ブックオフはリユース企業として、このような商品を使って自由な発想で着る人・見る人をワクワクさせ、感動させられる作品にアップサイクルすることで、現在起きている「ファッションロス(衣服ロス)」の解決に寄与する取り組みを行っています。
また、こうしたコンテストを通じて、作品を披露する場を提供することで、これからのファッション業界を担う学生に、自分の作品を見てもらう楽しさや喜びを知ってもらい、創作意欲をより高めてほしいという思いもあるといいます。


日本では、家庭から手放される服の量は年間約70万トン、うち約46万トンがごみとして出されています。*ファッションの世界は華やかな一方で、実際には労働者の問題、ごみの問題など、大きな課題を抱えている分野でもあります。
*https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
このコンテストで、今まさに無駄になってしまうかもしれない古着が新たな価値をもって生まれ変わることも、次世代を担う若者たちを中心として、多くの人が「リユースで新たなファッションの世界が広がる」と感じることができることも、これからの社会にとってとても大きな意味のあることです。
年々注目度も高まっている『Reclothes Cup』。リユース業界を牽引してきたブックオフのこの取り組みが、世界のファッションロスの未来を変えていくかもしれません。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri






