猛暑の夏、外で遊べない危険な夏の調査発表会に横澤夏子さんが登場 今求められる社会の変化とは
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去年の夏の平均気温は、気象庁が統計を取り始めて以来最も高くなり、極端に暑い夏でした。
そんな猛暑が今年も続く中、気候変動が健康に及ぼす影響について啓発活動を行う「医師たちの気候変動啓発プロジェクト」は、2025年7月15日(火) ベルサール新宿グランドにて「”外で遊べない夏” 親たちの声に関する調査発表会―猛暑対策の”限界”と、今とるべき社会的選択―」と題して、全国の3歳から9歳の子どもを持つ親800名を対象に、昨年夏の外遊びに関する実態および温暖化が子どもの外遊びに与える影響について意識調査を行いその結果を発表しました。
今回は暑さによって外で遊べないことによる子ども達への影響や今私たちにできる対策を、SDGs目線にて紹介いたします。
気温上昇が与える子どもの外遊びの機会損失と健康リスク


当日は、東京科学大学 未来社会創成研究院 藤原武男先生、東京大学 未来ビジョン研究センター 江守正多先生の2人が登壇し<夏の暑さによる子どもの外遊びの変化に関する実態調査>の発表と共に、個人の対策での限界から社会的な対応の必要性について講話されました。
調査結果では、親の約7割が「外遊び」を望むも、実際は「TV・動画視聴」が最多の結果となり、理想と現実に大きな乖離がありました。
特に近年の夏は観測史上1位の記録的猛暑となり、子どもの外遊びの機会が大きく制限されています。
外遊びを望む親が多い一方で、実態は理想とのギャップが際立った結果でした。




また、オランダで行われた研究では、9歳から12歳の子ども2,229人の脳のMRIを測定した結果、前日の気温が高いと、脳内で感情をコントロールする領域のネットワークの結合が弱くなっていることが明らかになりました。この結果から、おそらく脱水が原因となり、異常な暑さはメンタルヘルスへの影響が出てくると推測されます。
そして、気温の上昇は日本でも子どもの喘息入院のリスクを上げています。
喉の温度を捉える神経の働きが高温になると気管支を狭めることが原因と考えられており、暑さにさらされることで入院リスクは1.22倍にも増加します。
このまま何も政策を導入しない場合、2090年代の暑さによる喘息の入院者数は、2010年代と比較して、人口動態の変化を考慮しない場合6.78倍に増加する予測です。
調査結果から、東京科学大学の藤原武男先生は「子どもは暑さに対してのシステムがまだ未発達である。そのため異常な暑さによって子どもの健康が危機に瀕している」と指摘しました。
3児のママ、横澤夏子さんが学ぶ夏の遊び方


イベントの後半では、タレントの横澤夏子さんがゲストとして登壇しました。
横澤さんは「朝9時になると暑すぎて公園に行けない。早めに公園に行っても滑り台が暑すぎて触れられない」、「最近はプラネタリウムや室内の遊び場を探してます」と冒頭で暑さにより外で遊ぶことが難しいと話しました。
また「外で遊ぶことが成長の上でも大事と思うとやはり外で遊ばせたいが、できないのが悔しい」と悩みを語り、夏の子どもとの良い過ごし方を先生方へ質問しました。
東京科学大学の藤原武男先生からは、時間帯に気をつけることや、気温だけでなく曇りでも湿度が高いと熱中症リスクがある危険性についてアドバイスを受けました。
横澤さんは湿度への指摘に驚きつつ「湿度については不快感ほどで気をつけていなかった、今後は湿度にも気をつけたい」と続けました。
3児のママとして、温暖化が子どもの外遊びに与える影響についてトークセッションにて学んだ横澤さんは、最後に「外で遊べない夏は危険な状態、より深く知れて勉強になった」と感じたことを言葉にしました。
気候変動の中で私たち社会に求められることとは


東京大学で気候変動の研究を行っている江守正多先生からは、温暖化対策として「日本では気候変動対策は生活を脅かすもの、我慢しなければいけない、といった負担意識を持っている人が多い」と切り出し、「節電や我慢ではなく、社会全体の仕組みが変わらなくてはいけない」と主張しました。そのためには「太陽光発電や風力発電、再生可能エネルギーや、それを電源とした電気自動車の導入などが必要」とし、「エネルギーの仕組みをCO2を出さないエネルギーに変えれば普通に生活していても負担意識も少なくなる」と話しました。
また、社会に変化を呼び込むためには「例えばSNSでの発信や、変革に積極的な政治家に投票するなど、対策をちゃんと進める企業から製品を購入し社会の仕組みが変わることを意識して選択することが、個人にできることだ」と具体的な行動について説明しました。そして「気候変動についてお喋りをしてほしい」と続け、友達や親子で気候変動について話すことで1人1人が変化を後押しすることが重要だと続けました。
小さな一歩が、社会を変える大きなうねりへ
暑さによって外で遊べないことによる子ども達への影響や今私たちにできる対策を考えることは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に向かって考え、私たちが住みやすい未来の暮らしへ向けた変化を起こすきっかけにも繋がります。
今1人1人が気候変動について話し、考え、行動することによって65年後の2090年の夏を、子ども達が安心して外で遊べる未来として実現することが可能になる、その小さな一歩が社会を変える大きなうねりへ変化することを信じて、まずは考え初めてみてはいかがでしょうか?
執筆/フリーライター Nami Harashima






