小林製薬、米国で生産・物流拠点を拡張 ― SDGs時代の効率化とグローバル成長戦略」
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小林製薬は米国ジョージア州の生産・倉庫エリアを拡張し、自動化と効率化による安定供給体制を強化しました。この取り組みは、単なる事業拡張にとどまらず、SDGsが掲げる「持続可能な生産と消費」「産業基盤の強化」「働きがいのある成長」にもつながるものです。
新製品開発とともに海外事業に注力する小林製薬


小林製薬が、米国ジョージア州に有する同社の100%子会社、小林アメリカ マニュファクチュアリング エルエルシー(以下、KAM)の生産エリア、および隣接する小林ヘルスケア インターナショナル インコーポレーティッド(以下、KHI)の営業倉庫エリアにおける拡張建設の完了にともない、2025年8月12日に竣工式を行いました。稼働は、2025年度中に順次開始していく予定です。
小林製薬は、メリハリの利いた経営を実現するため、重点投資領域を定め、新製品開発と海外事業に注力しています。その中でも、海外事業売上の約半分を占める米国での事業活動は重要な位置付けになります。
生産体制の増強と構内物流の自動化により生産効率を最適化


小林製薬は、手や体を温める“カイロ”製品カテゴリーにおいて世界トップクラスのブランドを築いてきました。しかし米国では日本と比べまだカイロが認知度が低いため、配荷チャネルを増やすとともに、新製品開発を積極的に推進することで、更なる市場拡大を図っています。また、米国内の将来的な製造現場における人手不足、および人件費高騰に対応するため、人手に極力頼らない生産・出荷フローを構築する必要性があります。そこで今回、米国カイロの売上成長を見据えた生産体制の増強と、構内物流の自動化により、生産効率の最適化をはかるため、KAMの生産エリア、およびKHIの営業倉庫エリアを拡張建設しました。
KAMの生産エリア拡張により、カイロの生産能力は、将来的に現在の最大2倍程度まで対応が可能になります。また、KHIの営業倉庫エリアの拡張により、KAMの生産エリアと営業倉庫エリアが直結することで構内物流の自動化を実現。構内物流を自動化させたことにより、生産ラインから営業倉庫での保管・出荷までシームレスなデータ管理が可能になるため、今後より高精度な在庫マネジメントを実現することができます。
効率化と地域経済を両立し製造DXのモデルケースに、高度な在庫マネジメントで廃棄ロス削減にも期待


米国における安定した生産・供給体制を整えている小林製薬。これは地域経済の発展に寄与すると言えます。また自動化による効率化は人材不足への対応策であり、持続的な事業成長につながります。また、生産エリアと倉庫エリアを直結させ、構内物流を自動化すること、データ連携により在庫管理を最適化する仕組みをつくることは、製造DXの推進モデルになります。こうした点は、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」や目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に繋がります。
また、高精度な在庫マネジメントにより必要な分を効率的に供給することができれば、余剰生産や廃棄ロスを削減することもでき、持続可能な生産と消費の仕組みに貢献します。これは、目標12「つくる責任 つかう責任」に寄与すると言えるでしょう。
小林製薬の主力製品「HOT HANDS(カイロ)」。日本の製品が広く世界で愛されるのは日本人としても嬉しいことです。今後も日本の技術が多くの人に届くよう、小林製薬の世界での活躍に期待しましょう。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri






