目の健康寿命をのばすためにアイフレイル対策を
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「アイフレイル」という言葉を聞いたことはありますか? ここのところ、“健康”と“要介護”の中間の状態である「フレイル」という概念が浸透してきていますが、「アイフレイル」とは、加齢によって目の機能が低下した状態、また、そのリスクが高い状態を示す言葉です。
「アイフレイル」の認知度は3割、まだまだ低いのが現状
一般社団法人日本コンタクトレンズ協会は、9月10日の「コンタクトレンズの日」にあわせてメディアセミナーを開催しました。冒頭で発表されたのは、今年2月に40歳~64歳の男女1000名を対象に実施した「アイフレイルと遠近両用コンタクトレンズ」に関する実態調査の結果です。
それによると、アイフレイルの認知はまだ3割ほどで、多くの人は「言葉すら知らない」という結果に。また直近の眼科受診理由は、眼鏡やコンタクトレンズの処方や症状など必要に迫られてからの受診が大半で、予防的な受診はごく少数にとどまっています。定期的な受診が十分に行われていない実態が明らかになりました。


「見え方の満足」に関しては、視力矯正を行っていない人の9割以上が「近くのものの見え方」に不満を持っているという結果が出ています。つまり、生活の中で支障を感じたまま対策を取らずに過ごしている人が多いという状況です。一方で、遠近両用コンタクトレンズ使用者では「遠く」「近く」ともに一定の満足度が得られていることが確認されました。


一般社団法人日本コンタクトレンズ協会は、アイフレイル対策の柱のひとつとして「老視(老眼)矯正」を重要視し、遠近両用コンタクトレンズをその対策の有効な選択肢のひとつと捉えています。
人生100年時代において、目の健康は生活の質の維持に欠かせません。しかし現状は、アイフレイルの認知度は十分ではなく、自覚していても実際に対策をとっていない人が多い状況です。
40代前半からの予防的な眼科受診と、遠近両用コンタクトレンズを含む適切な老視矯正への理解が不可欠であることが今回のアイフレイル実態調査で示されています。


男性の使用コンプライアンスに問題あり!


今年で11回目となるコンタクトレンズに関する実態調査の結果も発表されました。コンタクトレンズ購入時の眼科受診率は「購入時に毎回眼科を受診する」と答えた人は昨年より3%上昇して25%となり、購入場所の頻度に関しては、63%が「眼科や眼科併用のコンタクトレンズ販売店」および「CL専門店」と回答し、前回の調査と比べて上昇しています。一方で「友人・家族からもらった・借りた」という回答をした人が8%いることもわかりました。


また、コンタクトレンズの使い方が原因で発症し、1ヶ月以上通院または入院した人の有無は、男性のほうが女性に比べて高い結果となっています。この傾向は過去4年間変わっておらず、背景には使用コンプライアンスの差があると考えられています。
ただし、女性もすべての項目で昨年よりアップしており、全体的に使用コンプライアンスの低下が見られます。誤った使用方法は目のトラブルのもととなり、視力低下や失明など深刻な眼障害を引き起こしかねません。コンタクトレンズは「高度管理医療機器」であることを頭において使用したいものです。


今年度の調査で新たに追加した「目に対する不安」「目に対する不安の理由」の質問では、全体の3割が“視力が低下してきている”や、“スマホなどの長時間使用で目が心配”など、目に対する「不安」を感じているものの、「不具合・不都合」は感じておらず、眼科受診の優先順位が下がっていると考えられています。老視と同様に、不安があっても行動に移らない層への啓発が今後の課題といえそうです。
老眼は加齢によって誰にでも起きる! 40歳を過ぎたら目の不安を放っておかないで


セミナー後半は、慶應義塾大学 医学部 眼科学教室教授・教室主任 根岸一乃先生による「なんとなく見えにくいと感じていませんか? アイフレイルと40代からの老眼(老視)対策」と題した講演が行われました。
「老眼は加齢によってどなたにでも100%起きる病気であって、日常生活に与える影響は非常に大きいもの。しかし初期の状態で適切に対処することによって、アイフレイルの状態から脱却し、快適な生活を送り続けることができます」と語った根岸先生。
アイフレイルの原因、つまり加齢による目の病気として、以下の5つを代表的なものとして挙げています。
・老視(老眼)
・白内障
・緑内障
・糖尿病網膜症
・加齢黄斑変性
40歳を過ぎると体力の衰えと同じように目も衰えてきます。目が疲れやすい、夕方になると見えにくい、小さい文字が読みにくいなどの症状はアイフレイルにつながる症状です。
これを放置すると視機能がさらに低下し、自立機能の低下など日常生活の制限にもつながり健康寿命を短くします。読書や自転車の運転ができない、段差や階段でつまずきやすいなど、アイフレイルは他のフレイルにも影響しかねないと根岸先生は警告しています。
また、未矯正の老視は仕事にも大きく影響します。労働生産性の低下による経済的損失も計り知れません。老視の適切な矯正は、経済面でも大きなインパクトがあると言われているのです。
そんな老視の治療方法には眼鏡や点眼薬、手術、コンタクトレンズがありますが、現状においては眼鏡または遠近両用コンタクトレンズが第一選択となっています。
「遠近両用コンタクトレンズは視線移動の必要がなく広くて自然な視線が得られるのが長所。眼科医と相談しながら、自分に合った老視対策を選ぶことが大切です」(根岸先生)
人生100年時代、良好な視機能を維持することを心がけたいものですね!


一般社団法人日本コンタクトレンズ協会は、今日9月10日の「コンタクトレンズの日」から10月10日の「目の愛護デー」までの1ヶ月間を、コンタクトレンズと目の啓発期間として毎年活動を行っています。


今年は「アイフレイル」の理解促進も実施しており、タレントのRIKACOさんが運営するYoutubeチャンネル「RIKACO LIFE」とタイアップ! ミドル世代の目の悩みについての動画を公開中なので、「プレフレイル世代」の方はぜひご覧になってみてください。


執筆/フリーライター こだまゆき






