スポーツが未来を照らす!暮らしとスタジアムから実践する「HTT」アクション
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厳しい夏の暑さ、高騰する電気料金、そして世界中で頻発する異常気象。気候変動は、遠い未来の話ではなく、私たちの日常生活に直結する喫緊の課題となっています。こうした状況に対し、東京都は「2050年 CO2排出実質ゼロ」という目標を掲げ 、その実現に向けた具体的なアクションとして「HTT」を推進しています。
HTTとは、「H(へらす)・T(つくる)・T(ためる)」という3つのキーワードの頭文字をとったもの。
今回は、この「HTT」の理念が、私たちの暮らしやスポーツの現場で、どのように実践され、未来をどう変えようとしているのか、東京をホームタウンとする、二つのプロスポーツチーム、FC東京とアルバルク東京の先進的な取り組みから探ります。
すべては暮らしから。未来を選ぶ「HTT」というアクション
HTTは、決して難しいことではなく、私たちの毎日の暮らしの中に、そのヒントは溢れています。
- H:へらす(賢く電力を「へらす」)
最も身近で、すぐに始められるのが「へらす」アクションです。エアコンの温度を1℃見直す、使わない照明を消す、古い家電を省エネ性能の高いものに買い替える。例えば、自宅の蛍光灯をLEDシーリングライトに交換するだけで、年間約2,190円、CO2に換算すると33.3kgもの削減に繋がります。 - T:つくる(クリーンな電力を「つくる」)
自宅の屋根などに太陽光パネルを設置し、自然の恵みからエネルギーを創出するアクションです。東京都では初期費用ゼロで始められる支援策もあり、エネルギーをただ消費するだけでなく、自ら生み出す「プロシューマー」という新しいライフスタイルへの転換を後押ししています。 - T:ためる(つくった電力を「ためる」)
太陽光でつくった電気を蓄電池や電気自動車(EV)に貯めておけば、夜間や雨の日でもクリーンなエネルギーを使えます。さらにこの仕組みは、災害による停電時には「動く電源」として、命と暮らしを守るための重要なライフラインにもなります。クリーンなエネルギーを安定的に使うだけでなく、災害に強いまちづくりにも貢献する取り組みと言えます。
このHTTの輪は、今、スポーツの世界にも広がっています。今回は、「HTT取組推進宣言企業」として登録されている、サッカーJ1リーグのFC東京と、バスケットボールB.LEAGUEのアルバルク東京の取り組みについてご紹介します。
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ファンと楽しみながら学ぶHTT
サッカーJ1リーグのFC東京では、持続可能な社会の実現をめざし、さまざまなテーマで実践的な取り組みを展開しています。
8月24日の京都サンガF.C.戦で、東京都と連携した「HTT」PRブースが登場。
発電と節電を遊びながら学べるミニゲームが用意され、多くの家族連れが楽しみました。さらに、試合前には室屋成選手らが登場する啓発メッセージ映像が大型ビジョンで放映され、選手自らの言葉でHTTへの協力を呼びかけました。
また、FC東京では、2021年から「NO PLANET, NO TOKYO」というスローガンを掲げ、持続可能な社会の実現を目指す社会連携活動に取り組んでおり、「HTT」もパートナー企業となっています。
9月23日のアビスパ福岡戦で開催された『NO PLANET, NO TOKYO』デーでは、様々なコンテンツも登場し、未来を担う子どもたちが、楽しみながら環境について学び、HTTという言葉に親しむきっかけを提供しました。


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未来基準のスタジアムが示す究極のHTT
一方、バスケットボールB.LEAGUEのアルバルク東京も、FC東京と同じく「HTT取組推進宣言企業」です。特に、アルバルク東京が2025年に本拠地とする「TOYOTA ARENA TOKYO」は、アリーナそのものがHTTの理念を具現化した、未来基準の施設です。今回はその特徴をご紹介します。


- エネルギーを「つくる」&「へらす」の徹底 屋上には国内アリーナ最大規模の太陽光パネルが設置され、年間約310MWhの電力を自ら「つくり」ます。これは、アリーナの全エネルギー使用量の約5%に相当します。さらに、施設で利用する電力は100%再生可能エネルギーを使用し、エネルギー消費を徹底して「へらし」ます。
- 資源循環のショーケース 使用済みカップを回収・洗浄して再製品化する「Re-CUPプロジェクト」を推進しています 。さらに新アリーナでは、会場で発生する廃棄物の”全量リサイクル”を実現する計画です 。飲食の残飯は発電に 、廃油は石鹸に生まれ変わらせるなど 、廃棄物を一切出さない完全な資源循環を目指しています。
- 持続可能性と快適性の両立 このアリーナは、環境性能だけでなく、訪れるすべての人に優しい空間づくりも追求しています。設計段階から障がいを持つ当事者やパラアスリートの意見を取り入れ、光や音に敏感な方のための「センサリールーム」「カームダウンルーム」や、多様性に配慮した「ユニバーサルトイレ」などを設置します。年齢、性別、国籍、障がいの有無にかかわらず、誰もが心からスポーツやエンターテインメントを楽しめる、インクルーシブな空間がそこにはあります。
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まとめ:未来へのパスを、私たちの手で
東京都が示す暮らしの中の「HTT」アクション。そして、FC東京やアルバルク東京がスタジアムやイベントを通じて発信するサステナビリティの輪。これらは、持続可能な社会の実現が、誰かに任せるものではなく、私たち一人ひとりの選択と行動にかかっていることを教えてくれます。
スポーツ観戦という身近な楽しみが、地球の未来を考えるきっかけになる。ファンがクラブを応援する熱い想いが、社会をより良くする力に変わる。そんな素敵な循環が、ここ東京から始まっています。まずは、使わない部屋の電気を消すことから。その小さな一歩が、持続可能な社会の実現へと着実に繋がっているはずです。






