「“MOTTAINAI®”をはじめようフェス」開催、食品ロス削減月間に学ぶSDGs実践のヒント
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食品ロス削減月間でもある10月5日、環境省が、消費者庁・農林水産省とともに、埼玉県越谷市の「イオンレイクタウンkaze」で食品ロス削減イベント「“MOTTAINAI®”をはじめようフェス」を開催しました。
イベントには、「食品ロス削減推進アンバサダー」としても活動するロバート・馬場裕之さんや料理家のぐっち夫婦も登壇し、家庭の食卓で実践できる身近な工夫を披露しました。
また、食品ロスの基本を解説するキーノートや、食品メーカーや流通・外食事業者など全11社による、「食品ロスゼロを目指す!農業と調味料からのアプローチ」「食べきる、ムダにしない」などをテーマにしたセッションも展開され、規格外食材の活用やアップサイクル商品、食べきり調理法といった食品ロスの削減につながる工夫や現場での挑戦が紹介されました。
小さな工夫が未来を変えるー3省庁、専門家が語る食品ロスの現状


オープニングセッションでは、「“もったいない”から始まる未来」をテーマに、環境省・消費者庁・農林水産省の3省庁が登壇。食品ロス削減に関し、環境省は「デコ活」の一環としての家庭での工夫について、消費者庁は「めざせ!食品ロス・ゼロ」運動を通じた啓発活動について、農林水産省は食品ロス削減に関するSDGs目標を達成した世界初の国が日本であることなどを、各室長が紹介しました。


続くキーノートでは、株式会社office3.11代表取締役の井出留美さんが登壇し、「食品ロスって何?“いまさら聞けない” 食品ロスガイド」と題し、日本で年間約464万トンもの食品が食べられる状態で廃棄され、その約半分が家庭から発生している現状を解説。食品ロスが気候変動とも深く結びついていることを示し、日常の小さな工夫が社会全体の変化につながると呼びかけました。
また最後に「食べものは命。命を無駄にしない世の中に」というメッセージで締めくくり、来場者に強い印象を残しました。
家庭から始める”もったいない”、日常の工夫で食品ロスを削減


続いて行われた食品ロス削減をテーマにしたトークセッションには、井出さんに加え、ぐっち夫婦、ロバート・馬場裕之さんが登壇。それぞれが「ある日の夕食」を紹介しながら、家庭の食卓で実践できる身近な工夫を披露しました。


井出さんが、「ベジブロスと呼ばれる野菜の余った・捨ててしまう部分から出汁をとって、週に一度玄米カレーを作っている」と、野菜を有効活用したメニューを紹介すると、ロバート・馬場裕之さんは、冷凍していた野菜の茎を活かした一品を紹介。「料理をし終わった後に、捨てる部分がほぼないと達成感があって嬉しいですよね。僕は余った部分や卵の殻などはプランターにいれています。みなさんもゲーム感覚で楽しみながら食品ロス削減に取り組んでください!」と、新たな料理の楽しみ方を提案しました。食材をどれだけ無駄なく使えるか、をテーマに食事を作るのも良さそうです。


続くぐっち夫婦も「子どもが小さいので、ブロッコリーは周りの皮を薄くして芯まで食べられるようにしたり、炊き込みご飯にすることでにんじんは皮まで食べられる」とコメントしており、それぞれの家庭が、自分たちなりの工夫で食品ロス削減に取り組めることが感じられるセッションとなりました。
“もったいない”から広がるSDGs、「つくる責任つかう責任」
テーマ別セッションでは、農業や外食、流通などさまざまな立場から「食品ロス削減」に向けた具体的な取り組みが紹介されました。
規格外野菜を加工品に変えて県内で販売する地産地消の試みや、少量パック・冷凍保存技術など“ムダを出さない”商品開発、さらにフードバンクや移動式こども食堂を通じた地域支援など、企業と地域が一体となって“もったいない”を“ありがとう”へと変える仕組みが広がっています。外食分野でも、食品残渣を再資源化し、それを使って生産された農畜産物を仕入れ、再びお客様に提供する仕組みである食品リサイクルループや、食べ残しを持ち帰る文化の普及、食品ロスになりそうな食品を救うアプリ「TABETE」など、多様なアプローチが共有されました。
また会場では、来場者が食品ロス削減に向けた行動を示す「わたしのたべきり宣言」を通じて、一人ひとりの小さな行動が食品ロス削減の力になることを実感する場面も見られました。
今回のイベントは、企業・地域・個人がそれぞれの立場で、食品ロスを削減していくための気付きを得る大きなきっかけとなったことでしょう。SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」の実現のために、自分のできることからはじめていきたいですね。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri






