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食品・飲料業界で高まる「ウェルネス」への関心  消費者の共感を得られるビジュアルコミュニケーションのポイントを解説


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 8 働きがいも経済成長も
食品・飲料業界で高まる「ウェルネス」への関心  消費者の共感を得られるビジュアルコミュニケーションのポイントを解説

食品・飲料業界で高まる「ウェルネス」への関心

日本の食品・飲料ブランドでは、広告や消費者インサイトを通じて「ウェルネス」というテーマへの関心がこれまで以上に高まっています。この変化は、より広い文化的潮流を反映しています。日本の消費者、特に男性は、これまでのような「ビジネスでの成功」だけでなく、よりバランスの取れた、意味のある人生を求め始めています。ウェルネスがさまざまな業界で重要な価値となる中で、食品・飲料業界にとっても、この変化する価値観に寄り添い、オフィスの枠を超えた多様な男性像をビジュアルで表現することが求められています。

中核的側面(身体的、精神的、心理的、感情的、社会的、環境的)に基づくウェルネスの世界基準と比較すると、日本はウェルネスとライフスタイルに関して独特の視点を持っています。日本文化において、男性は一般的に生活の質などの他の尺度よりも「生きがい」(生きる理由、人生の目的)に重点を置く傾向があります。

今回は、食品・飲料業界の「男性」を起用した写真や動画などのビジュアルコミュニケーションに着目し、消費者の共感を得られるビジュアル表現のポイントついて解説します。

よく見られるビジュアルは「ビジネスシーン」における男性

ストックフォトサイト「ゲッティイメージズ」で、日本において食品・飲料ブランドの広告に起用されている男性のビジュアルを分析したところ、最も多く使われているビジュアルは、「ビジネスやプロフェッショナルな文脈での自信ある姿」を描いたものであることがわかりました。スーツ姿の男性が、ホットドリンクを片手に歩くシーンや、パソコンを囲んで同僚と話す様子などのビジュアルがよく採用されています。

<食品・飲料業界からゲッティイメージズでダウンロードされている「男性」の人気ビジュアル例>

1438046951,maroke,GettyImages
1016405672,itakayuki,GettyImages

男性にとって「ビジネスでの成功」だけが人生で求められていない

一方で、ゲッティイメージズのビジュアルに関する消費者意識調査「VisualGPS」によると、男性は単に「ビジネスでの成功」のシーンに共感するだけではないことがわかりました。日本の男性の58%が「より良いワークライフバランスを望んでいる」と回答しています。また65%が「日常的に健康的な習慣(運動など)を身に付けたい」と考えており、68%は、「自分を表現できる趣味を優先したい」と感じていることがわかりました。日本の男性にとって、「ワークライフバランスを保つこと」と「快適な生活を送るための十分な収入」が、人生における2大優先事項であるようです。

このように、日本の男性にとっての「成功」の定義は、多様化していることがわかります。特に、6割以上の男性が望んでいる「健康的な習慣」に着目すると、42%が運動やウォーキング、スポーツなどの身体的な健康に気を配っていることがわかりました。ゲッティイメージズにおける食品・飲料業界の顧客検索でも「ウォーキング」や「ランニング」、「スポーツウェア」といったキーワードへの関心が確認されていますが、実際にダウンロードされ、企業やブランドのビジュアルコミュニケーションとして採用されているものは、わずか3%で、大半が女性を描いているものであることもわかりました。

986294304,kuniharu wakabayashi,GettyImages

食品・飲料業界における、ビジュアルコミュニケーションのポイント

日本の男性は、伝統的に収入やビジネスを通じた成功に焦点を当ててきましたが、幸福と生活の質がより大きな役割を果たす、よりバランスのとれた生活を求める傾向が高まっています。食品・飲料業界にとって、この変化を取り込むことは重要です。単に職業上の野心だけでなく、現代の日本人男性が重視するあらゆるものを反映することで、消費者とより有意義につながる機会が生まれるからです。

日本におけるウェルネスを視覚的に再定義するのであれば、堅苦しい会議室や役員室での真面目な表情からは、一歩踏み出す時期に来ているのかもしれません。より明るい環境や屋外での活動、喜びの瞬間を描きましょう。スポーツウェア姿の男性が友人と笑い合い、人生のささやかな出来事を祝うシーンなどでしょう。

1912118732,Taiyou Nomachi,GettyImages

■VisualGPS調査概要
期間:2024月1月〜2025年6月
対象者:18歳以上の日本人500名