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紙の価値を見直し“つくる責任”を果たす—ラクスルが描く、無駄のないマーケティングの未来


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任
紙の価値を見直し“つくる責任”を果たす—ラクスルが描く、無駄のないマーケティングの未来

印刷・集客支援のプラットフォームを運営するラクスルが、11月6日、「ラクスル エリアマーケティング」のサービス提供を開始しました。このサービスは、地域を限定したエリアマーケティングにおける「企画・実行・検証・改善」のすべてのプロセスを支援する、同社独自のソリューション。高精度な人流データの活用、マーケティングエキスパートによる伴走、チラシ以外の媒体と連動した横断的施策設計をもとに、販促チラシの効果を最大化します。

AI時代に突入し、デジタル広告が飽和した今、企業の広告はどう変わるのか。ラクスルが新たにスタートしたこのサービスは、さまざまな無駄を減らし、“企業と生活者をより良くつなぐ”という、これからの時代のマーケティングの形を提示しています。

企業活動を支えてきたラクスルがこれからの10年で目指すもの

「ラクスル エリアマーケティング」の提供にあたり、サービス開始当日、メディア関係者に向けてラウンドテーブルが行われました。

「ラクスルはこれまでの10年、名刺、ノベルティなどの販促物、ハンコ、ユニフォーム、店舗の資材など、企業活動に必要なさまざまなものを製作してきました。ここから先の10年は、企業が大きくなる過程で発生するさまざまな課題を解決していきます」と語ったのは、ラクスル株式会社 執⾏役員の⽊下治紀氏。ラクスルは今年7⽉、DMの効果を可視化し、より効率的な運⽤を図る「パーソナライズ DM」のサービスを導⼊。開始から3ヶ⽉で売上約1億円を突破しました。

これに続いて展開される新サービスが、「ラクスル エリアマーケティング」。企業の販促活動をより広域で⽀援する取り組みとして、エリア特性に基づいた販促⽀援を⾏う法⼈向けのサービスです。

エリアマーケティングでポイントになるのは、「どの地域で、どんな人たちに、どのように売るか」ということ。⽊下氏は、地域限定のメニューの開発や、エリア別クーポンの展開、季節に合わせたローカルイベントなど、「エリアマーケティング」として行うことで、地域特性に合わせた販売戦略がとれることを紹介しました。

なぜ今エリアマーケティングなのか

そしてこのエリアマーケティングが今、なぜ必要なのか。それは、デジタル広告のレッドオーシャン化、AI検索市場の成長、競争の激化などが進むなかで、総じてweb広告の費用対効果が低くなっていることにあるといいます。そこで近年見直されているのがオフラインの広告ですが、これはデジタルの広告とは違い、効果検証が難しい領域です。この課題に応えるため誕生したのが、この分野に多くの知見をもつ、ラクスルのエリアマーケティングというわけです。

「(エリアマーケティングで主に扱われることとなる)販促物のチラシ。これは、必要な人に届けば企業からのラブレターになります。反対に、要らない人にとってはゴミとなってしまう。チラシを”まかない方がいい”エリアを考えること、コストを最小化することも重要です。」と語る木下氏。”身近にある良いもの”と出会うきっかけをつくり、企業と消費者の関係性を強化する。新たにはじまる「ラクスル エリアマーケティング」では、そんなことを目指していきたいと言います。

新しい“つくる責任”のかたちー今求められる“本当に価値のあるマーケティング“とは

ラウンドテーブル後半には、ゲストとして、株式会社顧客時間 共同CEOで、オイシックス・ラ・⼤地でCOCO(Chief Omni-Channel Officer)も務める奥⾕孝司⽒が登壇。最新のマーケティングトレンドの中から、明確な意識なしに行動へと結びつく「センサリーマーケティング」という言葉を紹介しました。

奥谷氏は、紙とデジタルの広告の違いとして、デジタルだと自分、個人にだけ届きますが、紙の場合は家族など複数人で共有できることをあげました。深い意味はなくても、家に届いたチラシを家族一緒に見て、それが話題のタネとなれば、今度このお店に行ってみよう、この塾に体験に行ってみようという流れになるというのは想像できるのではないでしょうか。

また、奥谷氏がマーケティングメディアとしての印刷物のアドバンテージとしてあげていたなかで印象的だったのは、人が、手紙には応えたいと感じる“ 返報性の法則“、そして形・紙・大きさといった多様な表現手段、保管性の高さです。こうして考えると、デジタルの時代といわれて久しく、AIの進歩も目覚ましい今だからこそ、実際に手にとることができる紙の価値というのはやはり見過ごすことはできません。

さらに奥谷氏は、デジタルの運用には大量の電力が必要で、データセンターでのエネルギー消費が増加しており、これがCO2排出量増加の一因となっていることにも触れました。これに比べると、紙のリサイクルは容易です。一見、紙は資源の無駄だと考える人も多いかもしれませんが、無駄なデジタルマーケティングを続けることも、地球環境には優しくないのです。

販促の世界で「無駄をなくす」ことは、単なるコスト削減ではなく、社会的な責任でもあります。
必要とされる場所に、必要な分だけ“つくる”ことで、資源を守り、企業の発信の価値を高める。ラクスルが「エリアマーケティング」で“届ける責任”を果たすことは、“つくる責任”を果たすことでもあります。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」にも寄与する、ラクスルのこの新たな取り組みこそ、まさに今求められるマーケティングのあり方なのかもしれません。


執筆/フリーライター Yuki Katigiri