アシックスの廃シューズが“未来の資源”に? 小学生が体験を通して学ぶサーキュラーエコノミー
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2025年11月17日、株式会社アシックスは成城学園初等学校で体験型SDGs授業「ASICS CIRCULAR LAB for KIDS」を開催しました。小学2年生約35名が参加し、屋外で身体を動かすことの楽しさを再確認するゲーム「サーキュラー・バルーン・チャレンジ」や、屋内での紙芝居、欧州展開のNEOCURVEで使われた廃シューズを粉砕した再生素材=“変身の素”の触感体験、カリモク協業のリサイクル素材ソファ展示、
ワークショップを通して、廃棄物を資源とみなすサーキュラーエコノミーの考えを学びました。
遊びながら理解する、資源をつなぐ協力の大切さ


イベントは屋外での「サーキュラー・バルーン・チャレンジ」からスタート。
地面に落ちると“ごみ”になってしまう5つの風船を、5チームに分かれ協力してスタートからゴールへ運ぶゲームを実施。児童たちは「落とすなー!」「助けてあげよう」と声を掛け合い、自然と互いをサポートする姿が見られました。運動後は多くが「体を動かすのが楽しかった」と答え、「いらなくなったものをごみにせず別のものに生まれ変わらせるのは良いことか?」という問いにはほぼ全員が賛成しました。
遊びを通した体験で、サーキュラーエコノミーの根幹にある「みんなで助け合うこと」というメッセージを、遊びの中で体感的に理解していきました。
廃シューズが新しい命に。紙芝居と触感体験が届ける循環の驚き


屋内セッションは、保護者代表として元体操選手の田中理恵さんのVTRメッセージから始まりました。
田中さんは「子どもが履けなくなった靴を捨てる時、本当にもったいないなといつも思っていました。
この企画は、私たち親の想いを叶えてくれる魔法です」と語り、保護者としての率直な気持ちと本企画への期待を伝えました。


その後、アシックスのサーキュラーエコノミー推進部 奥津翼氏 による紙芝居で「シューズがゴミ箱に入る前の物語」を紹介。
続いてアシックスのサーキュラーエコノミー推進部 部長の村岡秀俊氏が登壇し、欧州限定シューズ「NEOCURVE」で実際に使われた、廃棄予定の靴を粉砕してつくられた再生素材“変身の素”を紹介。
袋から取り出された素材に児童たちは「これが靴だったの?」「なんか気持ちいい!」と驚きの声を上げ、触感を楽しみながら循環の仕組みに興味を深めていきました。


さらに、カリモク家具と協業して開発したシューズ由来のリサイクル素材ソファも展示され、児童たちは実際に座り心地を確かめながら「ほんとにフカフカ!」「これが靴からできてるの?」と目を輝かせました。視覚と触覚を使った一連の体験が、循環型デザインを具体的にイメージする、子どもたちにとって大きなきっかけとなりました。
素材から未来をデザインするワークショップ


続いて、ワークショップでは児童たちが「変身の素」を素材に、どんなものに生まれ変わるか自由に発想。実際に手を動かしながら、頭の中のアイデアを“次の形”へと変えていくプロセスに挑戦しました。
画用紙いっぱいに描かれたアイデアには、ぬいぐるみ、家の壁材、スマホカバー、ソファや枕、ベッド、食品サンプル、ゲーム機のカバー、縄跳び、仮装用のひげなど、子どもならではの独創的な案が並びました。


発表では、照れながらも自分の発想を堂々と説明する児童が多く、楽しみながら「想像」し「創造」する時間となりました。そのプロセスを通じて、モノが新しい価値へと生まれ変わる“サーキュラーエコノミーの考え方”を、より主体的に理解するきっかけとなりました。
循環の学びから未来へつなぐ取り組み


今回の企画を中心となって推進したアシックスのサーキュラーエコノミー推進部部長の村岡秀俊氏は「子どもたちの前向きでユニークな発想力に強くインスパイアされた。廃棄物を“未来の資源”に変える技術は、環境貢献に留まらず、持続可能なサプライチェーン構築という経済的意義もある」とコメント。同部の奥津翼氏も「子どもたちの自由な発想から多くのインスピレーションを得た。未来を担うすべての人が参加することが必要で、この体験が消費行動の変化につながるはず」と期待を述べた。
また児童の担任である篠田先生も「素材から何が作れるかを楽しみながら考えており、リサイクルへの意識が一層高まった」と教育的な成果を振り返った。
「ASICS CIRCULAR LAB for KIDS」は、知識として学ぶだけでなく、紙芝居・触感体験・ワークショップなど、五感を通して“循環”を理解する工夫が随所に盛り込まれていました。サーキュラーエコノミーという抽象的で難しくなりがちな概念を、子どもにも自然に届く形で体験させる先進的な教育事例であり、SDGs「目標12:つくる責任 つかう責任」「目標13:気候変動に具体的な対策を」「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」にも合致する取り組みです。
今回の授業を通じ、子どもたちは循環のしくみを“体験として”理解し、身の回りの資源の行方にも目を向ける姿勢が育まれました。
こうした学びや体験が、日々の行動や選択に小さな変化をもたらしていくのではないでしょうか。
皆さんもぜひ、身近なモノの“捨てた後のストーリー”を考えてみてはどうでしょうか?
執筆/フリーライター Nami Harashima






