日々の食事から考える、持続可能な健康習慣|冬に取り入れたい“フィッシュオイル”
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寒い季節は、体が冷えやすく運動量も減少しがちなことから、血流や血圧の変化、心身の不調が起こりやすい時期です。こうした健康リスクにどう向き合うかは、個人の体調管理だけでなく、社会全体の健康を考えるうえでも重要なテーマといえます。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」では、病気の予防や健康的な生活習慣の推進が掲げられています。その実践のひとつとしてすぐに取り入れやすいのが、日々の食事を通じた健康づくりです。
本記事では、冬に起こりやすい体調変化を整理しながら、この時期取り入れたいフィッシュオイル(EPA・DHA)の働きや、日常生活に取り入れやすい摂取の工夫について、管理栄養士監修のもと解説します。
冬に気をつけたい体調の変化と寒暖差に負けない健康維持対策
冬は、気温の低下や乾燥した空気、日照時間の短さ、そして運動不足によって、私たちの体にさまざまな負担がかかりやすい季節です。寒さで血管が縮むと血圧が上がり、心血管への負担が増えることが知られています。加えて、寒さで外出や運動の機会が減ると、筋力や持久力の低下、代謝や免疫機能の低下、関節や腰のこわばりなども起こりやすくなります。また、冬の乾燥した空気は皮膚や鼻・喉の粘膜のバリア機能を弱め、ウイルスが侵入しやすくなるため、感染症による体調不良も増加します。こうした複合的な要因が重なり、冬は体調を崩しやすい季節といえるのです。
体への負担を減らすためには、重ね着や手袋・帽子で体温低下を防ぎ、体を冷やさないなど、日頃から注意しながら生活することが大切です。また、急な温度変化によって血圧や心拍に変化が生じ、体に負担がかかる「ヒートショック」にも注意。暖かい部屋から寒い屋外に出たり、入浴後に冷たい空気に触れたりすると、血圧が急に変動しやすくなります。こうした変化はめまいや失神、入浴事故などのリスクがあるため、脱衣所や浴室を暖めるなど、温度差を減らすことが大切です。
高齢者や関節にトラブルがある方では、冷えによって関節や筋肉の動きにくさや違和感、痛みが増すことが知られています。冬は血流の低下が原因でこうした違和感を感じやすいため、体を温めたり、適度に体を動かしたりすることも大切です。
栄養面から対策するなら“フィッシュオイル”がおすすめ


寒さから体を守る衣服や空調、運動での対策に加えて、栄養面からのサポートも冬の体調管理には欠かせません。特に、青魚に多く含まれるフィッシュオイル(EPA・DHA)は、血中の中性脂肪を低下させる機能が報告されており、心血管の健康維持に役立つ可能性があると注目されています。寒い季節の食事に取り入れやすいのも魅力です。食品から摂る場合は、やはりサバやサンマなどの青魚が効率的です。たとえば、焼きサバ1切れ(約100g)にはEPA・DHAが合わせて約1g含まれているので、1日1〜2切れ程度食べると目安量を満たすことができます。
フィッシュオイルは健康維持に役立つ栄養素のひとつですが、バランスの取れた食事が基本です。魚離れが進む中、EPA・DHAの摂取量は年々減少傾向にあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、n-3系脂肪酸の1日あたりの目安量は成人男性で2.2~2.3g、成人女性で1.7~2.0gとされています。日々の食事で意識して取り入れることが大切です。
管理栄養士 村瀬さんに聞く!フィッシュオイルの効率的な摂取方法
EPA・DHAは空気や熱、光に触れると酸化しやすい性質があります。酸化が進むと風味や品質が損なわれるだけでなく、体への影響も懸念されます。そのため、抗酸化作用を持つビタミンEと一緒に摂ることがおすすめです。
日常の食事では、魚と一緒に植物油やナッツ、緑黄色野菜など、ビタミンEを多く含む食品を組み合わせるとよいでしょう。例えば、サーモンのサラダにオリーブオイル大さじ1とアーモンド10粒(約10g)ほどをトッピングすれば、手軽にビタミンEを補えます。
また、ポリフェノールやカロテノイドなどの抗酸化物質と一緒に摂ると、EPA・DHAの酸化を防ぎ、その働きをより引き出すことができます。例えば、サーモンやイワシの焼き魚に、ブロッコリーやほうれん草、パプリカなど100gほどの色鮮やかな野菜を添えてみましょう。
健康を守る日々の選択が、持続可能な社会につながる


冬は、体調を崩しやすいだけでなく、心血管系への負担やメンタル面の不調にも注意が必要な季節です。こうしたリスクに対して、日々の食事や生活習慣を見直すことは、無理なく続けられるセルフケアのひとつといえるでしょう。
フィッシュオイル(EPA・DHA)を含む青魚を食事に取り入れることは、中性脂肪の低下など、心血管の健康維持をサポートし、病気の予防にもつながります。これは、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」が掲げる、予防医療や健康寿命の延伸という考え方とも重なります。
特別なことを始めるのではなく、日常の食事を少し意識すること。そうした小さな選択の積み重ねが、個人の健康だけでなく、社会全体の持続可能な健康づくりにもつながっていくのではないでしょうか。
WEBサイト『大塚製薬 栄養素カレッジ』
https://www.otsuka.co.jp/college/
執筆/フリーライター Yuki Katagiri


監修者:村瀬由真(むらせ ゆま)さん管理栄養士
大学にて管理栄養学を専攻し、卒業後は精神科病院にて管理栄養士として勤務。病院給食の献立作成、食材の発注・調理、患者の栄養管理など、医療現場での食のサポートに従事。
給食委託会社では管理栄養士として、献立作成や発注業務に加え、嚥下機能食品の開発にも携わり、食の多様なニーズに応える提案力を磨く。
現在は医療・栄養・動物ケアの現場経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動中。






