環境にやさしい“昔ながらの知恵”が生む甘さ|久能街道・いちご海岸通りの「石垣いちご」が最も美味しい季節に
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静岡市駿河区、清水区の久能地区の「久能街道・いちご海岸通り」にて1月中旬より「石垣いちご」のいちご狩りが本格的にはじまります。
石垣の隙間にいちごの苗を植えて育てる「石垣いちご」は、日当たりの良い斜面に積み上げた石垣の輻射熱を利用することで灯油などを使ってハウスを暖房する必要がない、環境に優しい栽培方法のこと。
駿河湾に面していちごのハウスが連なる「久能街道・いちご海岸通り」では、20軒以上の農園で、1月から5月上旬頃まで長くこの「石垣いちご」のいちご狩りを楽しむことができます。
130年の歴史を誇る「石垣いちご」ー明治時代から伝わる“持続可能な”栽培方法
石垣いちご栽培のはじまりは諸説ありますが、約130年前、明治29年(1896年)に、久能山東照宮の宮司がアメリカの領事館にいた人からいちごの苗を譲り受け、東照宮に仕えていた川島常吉氏に託したことがはじまりと言われています。当時はまだビニールハウスもなかった頃ですが、川島氏がその苗を庭の石垣に植えたところ、海沿いの温暖な気候と石の保温効果により、冬場にも関わらずいちごが実をつけたそうです。この効果を応用し、現在でも「久能街道・いちご海岸通り」では「石垣いちご」を生産しています。


いちごのハウス内の最適温度は、夜間が10℃前後、日中は日光を浴びて光合成するため、23℃前後と言われています。その日中の光合成で作られたブドウ糖が葉を伝ってデンプンとなり、ショ糖などに変わっていちごの甘さとなります。そのため通常、いちごは寒くなりすぎないよう暖房を焚き、効率よく光合成させるため、二酸化炭素(炭酸ガス)を人工的にハウス内に発生させて育てます。一方で「石垣いちご」は、久能地区の温暖な気候、駿河湾に面した豊富な日光を活かし、石垣に使用しているコンクリートが日光の熱を蓄積するため、夜も暖房を焚かず、石垣の熱だけで甘いいちごが育ちます。明治時代から伝わる、環境に優しく“持続可能な”栽培方法です。
・久能街道・いちご海岸通りの「石垣いちご狩り」 概要
【期間】2026年5月上旬まで ※店舗や生育状況などにより変動あり
【場所】静岡市駿河区・清水区 国道150号《いちご海岸通り》沿い、久能街道沿い
【料金】大人(小学生以上) 2,000円~
※時期により金額が変動します。
※農園により、料金設定、時間、品種、サービス等が異なります。
https://zratto.com/information/11252/
静岡市で体験!いちご狩りだけじゃない旬のいちごの楽しみ方
いちごが一番美味しいこの季節、静岡市内ではパフェやジェラートなどいちごを存分に堪能できるイベントや限定商品が登場しています。


エスパルスドリームプラザで行われるのは、“いちごづくし”の「静岡いちごフェア2026」。毎年恒例のイベントで、今年もいちごを使った限定スイーツやドリンク、お寿司などのグルメに加え、いちご関連商品が勢揃いします。注目は、ここでしか味わえない贅沢な「いちご×ショコラ」アフタヌーンティーや、「いちご=スイーツ」の常識を覆す変わり種グルメの「いちごいなり」、県内の老舗和菓子店7店舗(庵原屋、風月堂、秋月堂、潮屋、たこまん、玉華堂、田子の月)それぞれが手がける、こだわりのいちご大福など。いちご大福は土日限定、各30個限定販売予定です。また、久能産いちご半パックを使用し、自分だけのオリジナルパフェを作れる「いちごパフェづくり体験」にも各日先着20名限定で参加できます。


そのほか静岡市内の様々なカフェや農園で、ジェラートやスムージー、シェイクなど、お好みのスタイルで静岡市産の新鮮ないちごを堪能することができます。
昔ながらの知恵がつなぐ、環境と地域の未来


石垣や地形、気候といった自然条件を活かして育てられる「石垣いちご」は、暖房に頼らず、エネルギー消費を抑えた栽培方法。特別な設備や新しい技術ではなく、土地の特性と昔ながらの知恵を活かすことで、環境への負荷を減らしながら、美味しいいちごを育て続けてきました。この姿勢は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に通じる取り組みです。
また、「石垣いちご」は130年以上にわたり地域で受け継がれてきた久能地区ならではの農業文化。いちご狩りやイベントを通じて人が訪れ、地域の魅力が伝わっていくことは、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」にもつながります。
環境に配慮しながら、地域に根ざし、次の世代へと受け継がれていく「石垣いちご」。久能街道・いちご海岸通りで味わう一粒には、そんな“持続可能な物語”も詰まっています。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri





