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2月1日は「東京水素の日」。東京都が高輪ゲートウェイシティで提示した、脱炭素社会を動かす“水素のリアリティ”


この記事に該当する目標
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
2月1日は「東京水素の日」。東京都が高輪ゲートウェイシティで提示した、脱炭素社会を動かす“水素のリアリティ”

次世代エネルギーとして注目を集める水素を身近に感じられる東京都主催のイベント「水素がうごかす未来シティ」が、1月31日(土)、2月1日(日)の2日間にわたって東京・高輪ゲートウェイシティにて開催されました。

水素と酸素の化学反応によって得られる水素エネルギーは、利用段階で二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーです。脱炭素社会の実現に向けた有力な選択肢として、大きな期待が寄せられています。

この記事では、水素でつくったエネルギーで動くモビリティや水素で調理したグルメ、親子で賑わった会場の様子など、イベントの模様をたっぷりとお届けします。

「水素は脱炭素の切り札」東京都が描く未来のカタチとは

オープニングイベントでは、まず主催者を代表して東京都産業労働局の田中慎一局長が登壇しました。

田中局長は「水素は燃料として燃やせば水になり、二酸化炭素を排出しません。このクリーンな性質に着目し、化石燃料から水素を利用しようとする取り組みは世界中で行われています。東京都も、積極的に推進しています」と、都の水素に対する姿勢を強調します。

東京都産業労働局 田中慎一局長

実は、東京・大田区京浜島にはすでに、製造過程でもCO2を排出しない「グリーン水素」の製造所を都内で初めて開設しています。さらに、都内を走る水素バスやタクシーなどの商用車はすでに300台を超えました。しかし、エネルギーとしての水素は、まだ多くの人にとって未知の部分も多いのが現状です。

「水素を利用するためには、つくる人、はこぶ人、つかう人など、たくさんの方々の協力が不可欠。水素の普及を更に進め、水素社会を実現していくためには、都民の皆様に理解を深めていただくことが何より重要です」と、田中局長は続けます。

「会場である高輪ゲートウェイシティでは、水素をはじめとした最先端の環境技術が導入されています。イベント会場には、さまざまな水素に関するコンテンツが用意されていますので、楽しく水素のことを知っていただけたら」と、イベントでの体験を通して未来の水素社会を考えるきっかけになることを期待し、あいさつを締めくくりました。

続いてはスペシャルゲストが登場。まずステージに現れたのはタレントのゆうちゃみさんです。ゆうちゃみさんは、水素の印象を「マジ最先端!」とギャル全開でコメント。足漕ぎ発電機による水素生成も体験し「水素って、生活のいろいろなところで使える」と、水素の可能性に興味津々な様子でした。

「水素はマジ最先端!」と話すゆうちゃみさん

そして、中盤からはサイエンスエンターテイナーのチャーリー西村さんによるサイエンスショーが開催されました。

まずは水素の「軽さ」を知る実験から。酸素で膨らませたものとは対照的に、水素のシャボン玉はどんどんと天井へと昇っていきます。天井を汚さないよう、ゆうちゃみさんがアシスタントとして傘でガードしました。この現象は、水素は地球上で最も軽い元素であるため。その分子量は「2.01」で、この数字にちなんで東京都は、2月1日を「東京水素の日」としているそうです。

チャーリー西村さん(写真右)のサイエンスショー

そして、水素と酸素を合わせるとエネルギーが発生して、電気をつくることができます。ゆうちゃみさんに手伝ってもらいながら小型の燃料電池に水素と酸素を送り込むと、電池の入っていないおもちゃを動かすほどの電気を発生させることに成功しました。燃料電池の数を増やすと、おもちゃはもっと激しく動きます。「すごい!めっちゃ踊ってる!」とゆうちゃみさんは驚きの声をあげ、実験は大成功しました。

イベントを通していろいろな体験をし、知識を得たゆうちゃみさん。「水素って、もっと難しいと思ってたけど、印象がガラッと変わりました」と笑顔を見せ、「これからどうなるのか、めっちゃ気になります!」と、未来の水素社会に期待を寄せていました。

見て、知って、体験する!楽しみながら学ぶ、水素な未来のライフスタイル

会場となった高輪ゲートウェイシティのGateway ParkとLINKPILLAR Hallには、開場早々から多くの人々が詰めかけました。特に目立ったのは親子連れの姿で、あちこちから「あれ、やってみたい!」という子どもたちの声が聞こえてきました。

展示エリアで人目を引いたのは、水素社会の「今」を象徴する実機や模型の数々です。トヨタ自動車の水素燃料電池車の実物大モデルをはじめ、試験走行が進む、JR東日本の水素ハイブリッド電車「HIBARI」の模型、さらにはFCフォークリフトや、燃料電池自動車(FCV)やFCトラックに安全・高速に高圧水素を充填する装置である水素ディスペンサーなど屋内外の会場に並び、足を止めて興味深く見学する来場者がたくさんいました。

水素燃料電池車の実物大モデル
現在、試運転中の「HIBARI」模型

水素を供給するディスペンサーの体験展示(国内メーカー2社(タツノやトキコシステムソリューションズ)のディスペンサーが展示された)

水素で動くFCフォークリフト。産業機械や商用車の水素エネルギー化導入はすでに進んでいる

「これ、水素で動いてるんだ!」という声も聞こえてきたのは、実際に乗ったり体験したりできるコンテンツです。会場周辺で運用されている自動走行モビリティ「iino」も、純水素燃料電池システムで稼働しており、この日は乗るために長い行列ができていました。実はすでに街を走っているという水素タクシーの試乗体験も行われ、水素が「未来」ではなく「日常」のエネルギーになりつつあることが実感できました。

自動走行モビリティ「iino」

また、水素の力は「もしも」の時にも頼りになります。移動が可能な牽引式水素発電装置の展示や、車から取り出した電気でヒーターを動かして屋外会場を温めるデモンストレーションを実施。災害時の非常用電源としての有用性も、身をもって体感できる内容となっていました。

牽引による移動が可能な牽引式水素発電装置
水素でためた電気を外部給電できる装置がついた車

そのほかの体験コンテンツも充実しており、特に「水素アシスト自転車」の試乗は人気を集めました。グイッと力強く踏み込めるアシスト感は、既存の電動アシスト自転車とそん色ありません。使用する水素ボンベが非危険物であるため、コンビニなどで手軽に交換できるようになることも期待されています。水素ディスペンサーでの充填模擬体験では、ずっしりとしたホースの重みから、エネルギーを「入れる」という実感を噛みしめる参加者の姿が見られました。

水素を電気に変換して走る電動アシスト自転車

子ども向けには、水素で動く電車やミニショベルカー、ミニフォークリフトの体験エリアも用意されていました。体験するためには、乗り物を動かすための水素を足漕ぎの装置で作らなければなりません。子どもたちは親御さんと一緒にはしゃぎながら水素を作っていました。

ペダルを漕いで水素をつくる体験
水素の力で動くモビリティを体験する子どもたち

水素の可能性の中でも驚かされたのは「水素調理」です。水素を燃焼させると水蒸気、つまり水が発生します。そのため、水素調理は食材の水分を保ったままジューシーに焼き上げることができるそう。スタンプラリーの特典として提供された「東京しゃも」の食べ比べでは、香ばしさと共存するしっとりとした食感を体験することができました。ともに振る舞われた「ちゃんこ鍋」も、東京産の食材が使われており、野菜の旨みが凝縮された深い味わいでした。

水素で加熱する水素調理器。火力も申し分なく、発生する水蒸気により食材の水分を保持して焼き上げられる
「東京しゃも」の食べ比べ(手前が水素調理)
「ちゃんこ鍋」

目に見えない水素というエネルギーが、私たちの暮らしを豊かに彩る確かな存在として、「知る」だけでなく「味わう」体験を通じて感じられる1日になりました。

水素エネルギーは、もはや決して遠い存在ではなく、活用される場面は着実に増えています。脱炭素社会という大きな目標を掲げるうえで、水素はもはや欠かせない存在といえるでしょう。

そんな「マジ最先端」な水素エネルギーを使うことが、当たり前の「日常」になる。そんな未来の足音が、高輪の街から確かに聞こえてくるような催しでした。