スニーカーからカリモク家具のソファへ。アシックスの粉砕材料が広げるサーキュラーエコノミーの輪
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役目を終え、廃棄されるはずだったシューズが、最新のスニーカーへと生まれ変わります。アシックスが挑むのは、そんな「究極のサーキュラーエコノミー」と地産地消のモノづくりです。
同社は3月6日(金)、ヨーロッパ限定でスニーカーの新モデル「NEOTIDE」を発売しました 。これは前モデル「NEOCURVE」からの進化版であり、再生材料比率を約39.4%まで引き上げつつ、シューズに不可欠なクッション性も大きく向上させています。
シューズからシューズへのリサイクルという難題をいかにしてクリアしたのでしょうか。そして、他産業へと波及しつつあるサステナビリティへの本気度について、株式会社アシックスのサーキュラーエコノミー推進部の松本雄介氏に話を伺いました。
再生材料39.4%と機能性の両立。現場の試行錯誤が生んだブレイクスルー
複数の異なる素材で構成されるスニーカーをリサイクルし、再び高品質なシューズを作り出す「粉砕・材料化」は困難を極めるプロセスです 。品質と環境配慮を両立させる上で、開発現場にはどのような壁があったのでしょうか。
松本氏は、「最も苦労した点は、再生材料の比率を高めながら、シューズとして求められるクッション性や耐久性といった性能を両立させることでした」と語ります。
「再生材料は素材の由来や状態によって物性にばらつきが出やすく、特にミッドソールのように履き心地に直結する部位では、その影響が多く現れます 。今回の開発ではミッドソール用ペレットを新たに開発し、粉砕したEVAやゴムなどの再生材料をどの配合で混ぜると最適な性能とデザインになるのか、多くの試作と評価を重ねました 」
粒径や配合比によって発泡状態や弾性が変化するため、現場での地道な検証の積み重ねが大きなブレイクスルーにつながったといいます 。さらに、細かで滑らかなペレットを開発したことで、表面の滑らかさが増し、デザイン面の向上にも結びつきました。


欧州で完結する地域循環型のサプライチェーン構築
「NEOTIDE」のもう一つの大きな特徴は、シューズの回収から製造、そして販売に至るまでのすべてをヨーロッパ圏内で完結させる地域循環型のサプライチェーンを実現したことです 。この取り組みの背景には、CO2排出量削減への強いこだわりがあります。
「輸送距離が長くなるほど環境負荷も大きくなるため、可能な工程はできるだけヨーロッパ内で完結させたいという考えがあります」と松本氏は説明します。
しかし、すべてのパーツの製造をヨーロッパで完結させることは、技術や設備の制約もあり、現時点では決して容易ではありません 。そこでアシックスは、シューズリサイクルを手がけるFast Feet Grinded社をはじめとする様々なパートナー企業と連携し、体制を整えてきました。


「リサイクル原料のトレーサビリティを担保するため、GRSやRCSといった認証の確認プロセスも取り入れ、パートナー企業と一つ一つ基準をすり合わせながら進めてきたことも大きなポイントだと考えています 」
業界の垣根を越える資源循環。消費者の選択が未来を変える


アシックスの粉砕材料が持つ可能性は、もはやスニーカーの中だけにとどまりません 。カリモク家具との協業により、粉砕材料がソファの座面にも採用されました。


「今回の取り組みでは、回収したシューズの粉砕材料が、スニーカーだけでなく家具など別の製品にも活用される可能性が広がっています 。実際に業界の垣根を越えた循環の広がりが見え始めており、本来廃棄されるものが材料になるということは、バージン素材の削減にもつながり、環境負荷低減にもつながります 」
2050年までにCO2排出量ネットゼロを実現するという高い目標を掲げるアシックス 。一つの製品の枠を超えて資源を循環させていくことが、これからのサーキュラーエコノミーにとって重要だと同社は考えています 。最後に松本氏は、読者に向けてこうメッセージを送りました。


「目標の達成には企業の努力だけでなく、製品を選んでいただく消費者の皆さまの行動も大きな力になります 。製品を選ぶという日常の行動が、資源を循環させ、より持続可能な社会につながっていくと考えています 」
私たちがどんな靴を履き、どんな選択をするのか。その一歩一歩が、確実に未来の地球環境を変えていく力になるはずです。





