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コーヒー業界の構造改革で2050年問題解決に挑むTYPICA(ティピカ)の取り組み

コーヒー業界の構造改革で2050年問題解決に挑むTYPICA(ティピカ)の取り組み

#SHOW CASE
  • 貧困をなくそう
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 気候変動に具体的な対策を

近い将来、コーヒーが今のように飲めなくなることを危惧する「コーヒーの2050年問題」をご存知ですか。

今回は、その問題解決に立ち向かうコーヒーのダイレクトトレードを展開するTYPICA(ティピカ)が実施したメディアセミナーで、同社代表を務める後藤将氏が語った解決策と今後の展望についてご紹介します。

コーヒーの2050年問題とコーヒー農家が抱える苦悩

コーヒーは、赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度の「コーヒーベルト」と呼ばれる地帯で主に栽培される熱帯性植物です。、ですが、高山植物のため低地では栽培できず、しかも年間約1,000ミリ以上の降雨量を必要とするため、砂漠地帯でも生産できません。そして、世界で消費されるコーヒーの65%を占めるアラビカ種は、香りや風味に優れた品種ですが虫害に弱く、乾燥や霜などの影響を受けやすい。そんな生育の難しさに加え、地球温暖化による気候変動の影響で、2050年には生産量が半減すると予測されている、それが「コーヒーの2050年問題」です。

しかし、街を見回せば多くのカフェチェーンやコンビニ、自動販売機に至るまでコーヒーは私たちの身近な飲み物であり、そのひっ迫した状況を感じ取ることができません。しかも全日本コーヒー協会によると、日本人は一人当り1週間で11.9杯のコーヒーを飲む世界第4位の消費大国。また、ワールドコーヒーリサーチによると世界中では1日に約22億杯のコーヒーが飲まれ、その市場規模は200億ドル(約2兆1,800億円)を超えるとされ、年々需要は増加し続けているのです。

では、需要の増加によりコーヒー農家は儲かっているのか。
いえ、むしろ逆です。

先に記したように、コーヒーは限定された場所で育つデリケートな農作物。しかもコーヒーの国際相場は、コモディティ商品として先物市場で取引されています。また、大手バイヤーによる市場占有率が高く市場操作も行われやすいため、大量生産されたコーヒーの供給量が増えれば増えるほど、小規模生産者の収入が減少する悪循環が生まれるのです。特に高品質なコーヒー生産地として知られるケニアやボリビア、メキシコなどの小規模生産者は、深刻な危機に直面しています。コーヒー栽培を諦め、バナナやマンゴーなどの果物栽培に転じる人だけでなく、生産そのものを辞めて土地を手放す人が増えているのです。

TYPICAが実現したコーヒーのサステナビリティ

「TYPICA」は、こうした状況を変えるべく誕生しました。コーヒー農家とロースターが直接取引するダイレクトトレードと、コモディティ品種だけに頼らずコーヒーの生産地の特性を楽しむスペシャルティコーヒーを楽しむ。そうすることで、生産者が収入を増やし、生活の質を高める機会を提供することでコーヒー業界の永続的な発展を促すのです。
具体的には、生豆の取引は通常、最小で1コンテナ単位(重さ18トン、生豆麻袋で300袋)での取引が求められるため、一度の収穫でその量に満たないコーヒー生産者と大量の豆を捌くことができないロースターは、取引に参加することができませんでした。「TYPICA」はそれを、オンラインプラットフォームで可能にしたのです。

生産者は、収穫して精製したてのコーヒー生豆を、「TYPICA」のオンラインプラットフォームに登録。ロースターは更新されたリストから、購入したい生産者のコーヒー生豆を選び、価格を確認して予約をします。単位は麻袋1袋で約60キログラム。このコミュニティの実現により、消費者の私たちはクオリティの高いコーヒーを楽しむことができるようになります。

イベントにオンラインで参加されたケニアのコーヒー生産者であるピーター・ムチリさんは、若者がコーヒー生産から離れ、都会に出て行ってしまうことを懸念していることを述べた上で、「TYPICAのサービスにより、仕事に見合った賃金を支払えるようになりました。コーヒー生豆の価格の透明性が保たれることで、生産者のモチベーションが高まります」とモチベーションの向上が、高品質なコーヒーを作ることに繋がることを強調されました。

また、ボリビアのコーヒー精製所を経営するフアン・ボヤン・グアラチさんは、生産者のモチベーション向上のほか、これまでにない信頼関係とコーヒーを生産する意欲が生産者に生まれたことを強調されています。

今回登壇されたロースターのひとり、LEAVES COFFEE ROASTERS 石井康雄氏も、「TYPICA」を活用することでの2つの主な利点について、次のように話されています。

「1つは、コーヒーを買うにあたって我々のような小さなマイクロロースターでも、ネームバリューや資本力関係なしにロースター同士が平等に高品質なコーヒーを買えるようになったこと。そして2つめとして、未開拓なコーヒー農園の発見。これらがかなり大きなポジティブな2つの発見だと思います」

目指すコーヒー業界への展望

イベントの最後には、実際に「TYPICA」を通して仕入れたコーヒー生豆を焙煎したスペシャルティコーヒーの試飲会として、ケニア、ボリビア、ニカラグアのコーヒーがふるまわれました。生産者の顔が見えるそれぞれに香りや味わいのある個性あるコーヒーです。

今後の展望について後藤代表は次のように述べています。
「あなたにとって、コーヒーとはなんですか?」という質問を生産者に投げかけると『私の人生です』『情熱です』という答えの中に『キャッシュクロップ(換金作物)』との回答があります。

コーヒーはお金のための作物、収入のための作物であるために育てたコーヒーを飲んだことがない生産者の方もいます。だからこそ、次はマンツーマンでオンライン商談できる場を提供したいと考えます。
これにより、中小規模の生産者であっても、世界中のロースターを相手に取引できるようになり、農園を続けるモチベーションを保ってもらえるようになります。

コーヒーを生産することで、生活が潤えばさらに質の高いコーヒーを生産したいと思う気持ちが育まれます。
生産者もロースターも、そして消費者である私たち、誰もがコーヒーで幸せになる。TYPICAは、そんなつながりを大切にするコミュニティを大事にしています。コーヒーを愛するすべての人が30年後も美味しいコーヒーを飲み続けられるようにと」

TYPICAが行うコーヒー業界の構造改革が、よりサステナブルなコーヒーコミュニティを育むことをこれからも期待したいです。

TYPICAを通して作られたスペシャルティコーヒーが飲めるロースターMAPはこちら

以前ご紹介した記事はこちら

サステナブルなコーヒー生豆流通の透明化をめざす、世界初のオンラインプラットフォーム「TYPICA」が正式ローンチ!

コーヒー生豆のダイレクトトレーディングシステムをオンラインで実現!「TYPICA(ティピカ)」のサービスが国内から世界59ヶ国に拡充スタート


「TYPICA」公式サイト

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