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朝方勤務が少子化対策に貢献!?去年日本で生まれた子どもは過去最少に!


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 10 人や国の不平等をなくそう
朝方勤務が少子化対策に貢献!?去年日本で生まれた子どもは過去最少に!

政府は2023年6月、一人の女性が生涯で出産する子どもの数を示す「合計特殊出生率」を発表しました。
合計特殊出生率は、15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもので、人口動態の出生の傾向を把握する重要な指標とされています。少子高齢化が問題提起されている中で、2022年の合計特殊出生率は1.26%と、2005年と並ぶ過去最低の結果となりました。
また、2022年の1年間に生まれた子どもの数は約77万747人と、前年よりおよそ4万人ほど減少し、こちらも過去最少になりました。
そこで今回は、今だからこそ考えるべき少子化対策の取り組みについて、改めて深掘りしていきたいと思います。

朝型勤務が少子化対策に貢献!?

日本政府は少子化が急速に進む危機感から、異次元の少子化対策として、2023年6月に「こども未来戦略方針」を閣議で正式に決定しました。
この方針では、以下3点を理念として様々な取り組みが検討されています。
・若い世代の所得を増やすこと
・社会全体の構造・意識を変えること
・すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援すること

少子化の危機的状況が続く中で、少子化対策へ貢献する、企業の取り組みが今注目されています。

大手総合商社の伊藤忠商事では、2013年度以降、始業時刻を繰り上げ、その分退社時刻を早める取り組みである「朝型勤務制度」を導入しました。
その結果、朝方勤務制度を導入後の合計特殊出生率が、2011年の0.94%から、2022年には1.97%まで上昇しています。
この朝方勤務制度の導入に伴い、20~22時の勤務は原則禁止とされ、5~8時が朝方勤務推奨時間に設定されています。また、7時50分前に勤務を開始した場合、深夜勤務と同様の割増賃金(25%)を支給し、パンやおにぎりといった軽食を無料で配布するなど、働きながら子育てをしたい社員たちにとって働きやすい環境を提供しています。

また、衛生用品の大手メーカーのユニ・チャームでは、中堅社員となる30代の女性社員が働きやすい環境をつくる方針から、2015年度の新卒採用者から「Fresh-Mom Recruitment(フレッシュ・マム・リクルートメント)」という制度を導入しました。
この制度は、妊娠や出産の予定があるために入社志望を躊躇したり、不安を感じている女性に対して、内定後にすぐに入社をしなくても、最長で30歳になるまでの希望の時期に入社ができる新しい取り組みとして話題になりました。

他にも、女性向けの人事制度を導入したサイバーエージェントや、育児に関する補助金を受けられるジョンソン・エンド・ジョンソンなど、女性が働きやすく子育てをしやすい環境づくりに取り組んでいる企業は増えつつあるようです。

アフリカ諸国の特殊出生率が高いのはなぜ?世界の少子化対策とは

世界の出生率は日本と比べてどうなっているのでしょうか。アメリカ合衆国中央情報局(CIA)の「The World Factbook」により、2023年の世界の合計特殊出生率が発表されました。

1位はアフリカ西部にある「ニジェール」の6.73%と、日本の約6倍にあたります。全体を見るとアフリカ諸国が上位に挙がっていますが、アフリカ諸国は発展途上国が多く、労働力とするために子どもを産む人が多いことから、出生率が高いと考えられています。
一方、最下位の227位は台湾。それに対して日本の順位は下から13番目の215位と、世界的に見ても最低レベルであることが分かります。223~227位まではアジア諸国が占めるなど、地域によって偏りが見受けられるのも特徴です。

特に注目すべきは、先進国G7の中で一番数値が高いフランスの2.02%。フランスでは、出産費用の無償化や保育サービスの充実(待機児童ゼロ)など、子どもを持った人に新たな経済的負担を生じさせないことを基盤に、子育てをしやすい環境が整備されたことで、合計特殊出生率が回復し続けています。

異次元の少子化対策は日本に何をもたらすのか

2023年現在、世界の人口は増え続けている一方で、出生率をみるとその数値は年々減少傾向にあります。
政府が異次元の少子化対策として発表した「こども未来戦略方針」では、児童手当の拡充を2024年度中に実施し、手当を受けられる対象の子どもを中学生から高校生まで引き上げることが検討されていますが、素直に嬉しいという声がある一方で、「手当が増えたからと言って、子どもを産みたいとは思わない。」「少子化対策には繋がらない。」といった厳しい意見もあります。
今後、具体的な少子化対策の取り組みが進んでいく中で、来年以降の出生率がどう変化するのか注目したいですね。