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渋谷の街を耕し、ファッションをはじめ持続可能な文化発信の地に――「渋谷ファッションウィーク2026春」が開幕


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
渋谷の街を耕し、ファッションをはじめ持続可能な文化発信の地に――「渋谷ファッションウィーク2026春」が開幕

さまざまな文化や価値観が混ざり合うファッションの街・渋谷から、世界に向けて独自のカルチャーを発信していく「渋谷ファッションウィーク2026春」が、3月13日より開幕しました。開幕に合わせ、メディア向けにラウンドテーブルが実施され、今回のキービジュアルを手掛けたFace Oka氏らが登壇し、トークセッションなどが行われました。

渋谷ファッションウィークは今回で25回目!

渋谷ファッションウィーク(SFW)は2014年に初開催。春と秋に渋谷エリアの大型商業施設を中心に、ランウェイショーなど、会社や施設の垣根を超えてたくさんの催しを行っている都市型イベントで、今回で25回目となります。

渋谷ファッションウィーク実行委員会の寄本健事務局長は、冒頭のあいさつの中で会場となった渋谷サクラステージ(2024年開業)を引き合いに出し、「13年前に開始したイベントですが、13年前にこの場所に何があったか覚えていらっしゃらないかもしれません。それほど渋谷の街も大きく変わりましたが、毎回、多くのメンバーで街の皆さんに楽しんでいただけるように考えてきました」と、渋谷の街が劇的な進化を遂げる中で、毎回よりよいイベントとなるように尽力してきたと語りました。

渋谷ファッションウィーク実行委員会の寄本健事務局長

今回のコンセプトは「CULTIVATE」。カルチャーと同じ語源を持つこの言葉には「耕す」という意味があります。作物が実るためには肥沃な土壌が必要なように、カルチャーが生まれるためにもよい“土壌”が必要。そのために、しっかりと耕していきたいという想いが込められています。

クリエイティブディレクターの田中ヒロ氏は「SFWは昨年から新しいフェーズに入りました」と話します。実は「CULTIVATE」は昨年に引き続いてのコンセプトとなっており、連続して同じコンセプトを掲げるのは今回が初めてとなっています。「土壌を耕し、カルチャーを育てるため、1年でやりきれたかというと、そうではない。焦らずに作っていく必要がある」と、その理由を明かしました。

渋谷ファッションウィーク クリエイティブディレクターの田中ヒロ氏

そして、「渋谷をFASHION(トレンド)の聖地に」を掲げ、2028年にはアジアや世界を代表するようなカルチャーフェスへと育てていきたいと将来のビジョンを語りました。

渋谷カルチャーというと、若者文化をイメージする人は少なくないかもしれません。しかしながら、田中氏は「ただ単に若い人たちのカルチャーという訳でなく、歴史を積み重ねた伝統工芸の先にあるイノベーションなど、新しい古いを問わずにチャンスをつかめるようなプラットフォームにしていきたい」と話し、耕された渋谷という“土壌”の中で、いろいろなカルチャーが出会い、混ざり合い、新しい変化が起こることを期待しています。

渋谷ファッションウィークが分断されたカルチャーの架け橋に

続いて、今回のキービジュアルを担当したアーティストのFace Oka氏も登壇し、田中氏と渋谷カルチャーなどについてクロストークを展開しました。

Face氏は学生のころから渋谷に親しみ、現在のオフィスも渋谷にあるため、今回のオファーについても「渋谷ならぜひ」と快諾。デザインについては田中氏側からの無理難題もありつつ「情報が溢れ、カオスなエネルギーに満ちた渋谷だからこそ、あえて『引き算』の思考でシンプルに表現しました。ただ、単純にするのではなく、角の丸み一つひとつに至るまで、自分なりのリアリティを突き詰めています」と、納得の出来だと話します。

また最近の渋谷について、Face氏が「今の渋谷は、新しい世代が独自のカルチャーを作っている場所。そこにはかつての僕らとは違う、今の世代なりのエネルギーがあるはず」と話すと、田中氏は「綺麗に整いすぎた街よりも、かつての渋谷のように、多種多様なヒトやモノがごちゃ混ぜになっていたエネルギーを今の時代に再興させたい」と返します。

アーティスト/クリエイターのFace Oka氏

そして「今回のようなイベントをきっかけに、全ての世代が楽しめるようになってほしい」というFace氏の願いを受け、田中氏は「分断をSFWがうまく繋ぎ、より良い渋谷の街にしていけたら」と力強く応えていました。

2人の対話は、25回という節目を迎えたSFWが、単なるファッションの祭典を超え、渋谷という街の「持続可能な未来」を耕すための重要なプラットフォームであることを感じさせてくれました。

コミュニティの共創を促す新イベントが開催中

渋谷ファッションウィークの期間中、Face Oka氏によるアートが期間限定で「THE CITY DRESSING」として渋谷の街を彩るほか、キービジュアルを軸にしたブランドとのコラボレーション商品も展開されます。

また、今春の新たな試みとして「THE CULTIVATE MARKET by SFW」を渋谷サクラステージにて開催しています。ここはいわゆるショッピングのみならず、SFWならではの出店者によるコミュニティが交ざり合い、共創していくことを目的としたマーケットイベント。間伐材や紙資源を紙糸に生まれ変わらせるアップサイクルプロジェクト「TUMUGI」やファッションデザイナーや2015年のSFWランウェイショーに参加したデザイナーが再集結した「東京ニューエイジ」など、インフルエンサー、スタイリスト、学生サークルといった多彩な顔触れが登場していきます。

さらに大型商業施設店舗が共創するショッピング優待キャンペーン「THE SHOPPINGには、昨年を上回る120店舗が参加しました。再開発が進められているBunkamuraエリアでは、Bunkamuraザ・ミュージアム現展示室最後の展覧会「THE EXHIBITION」も行われています。

「高木由利子 写真展 Threads of Beauty 1995-2025」展示風景、Bunkamura ザ・ミュージアム、2026年

このほか、渋谷各所のスポットに設置されたQRコードを読み取ってスタンプを集めることで、Face Oka氏の限定コラボグッズがもらえる「THE STAMP RALLY」も開催中です。

ファッションという軸を昇華させ、カルチャーフェスとして新たなフェーズの展開を加速させている渋谷ファッションウィークは3月22日まで開催されています。持続可能な社会の構築は、大切な伝統や価値観を守り慈しむだけではなく、異なる考えやカルチャーを柔軟に受け入れ、ともに変化し続けていくことも必要です。そのヒントがたくさん詰まっている渋谷ファッションウィークに、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。


執筆/ライター 宮崎新之