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環境に配慮して作られた返礼品が増えている?ふるさと納税で地域を応援


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を
環境に配慮して作られた返礼品が増えている?ふるさと納税で地域を応援

自分の故郷や応援したい自治体などへ寄付を通じて地域を応援できる制度、ふるさと納税。この制度を通して全国の特産品やアクティビティなど地域の魅力を発信し、寄付を通じた地域活性化を推進しているふるさと納税サイト「さとふる」では、環境に配慮して作られた返礼品や廃棄物を再利用したお礼品などが多数掲載されていることをご存知でしょうか。

「さとふる」に掲載されているSDGs17の目標に関連するキーワード(※1)を含むお礼品は、3年前と比較して登録件数2.2倍・寄付件数10.9倍、5年前と比較すると登録件数12.5倍・寄付件数15.3倍に伸びているのだとか。(※2.3)
SDGsへの注目や自治体・事業者の意識の高まりが、ふるさと納税のお礼品にも反映されていることがよく分かります。今回は、SDGsに力を入れている全国の自治体や事業者の取り組みをはじめ、環境に特化した返礼品を見ていきましょう。

※1 株式会社さとふるが選出した以下のキーワードを含むお礼品を集計:アップサイクル、イノベーション、ヴィーガン、海を守る、運動不足解消、エコ、エシカル、学習支援、紙ストロー、環境、間伐材、規格外、技術革新、教育支援、昆虫食、雇用創出、再生紙、再利用、サスティナブル、サンゴに優しい、ジェンダー、自然災害、自然保護、持続可能、就労支援、障がい者支援、食育、食品ロス、植物性食品、植物肉、節水、第三の肉、大豆ミート、代替肉、低カロリー、ノンケミカル、端材、バリアフリー、ビーガン、ビーチクリーン、フードロス、フェアトレード、プラントベース、ブルーフラッグ、平和、防災、マクロビ、リサイクル、リデュース、リユース、IOT、LGBT
※2.3 集計期間:2023年1月1日~12月31日、2020年1月1日~12月31日、2018年1月1日~12月31日(登録件数/寄付件数)

森林や海を守る各自治体の取り組み

まずは、「平成29年度第1回ジャパンSDGsアワード」の本部長(内閣総理大臣)賞を受賞したこともある北海道下川町の取り組みをご紹介します。国連で採択されたSDGsのゴールは17つですが、下川町では住民が主体となって行動するための独自の7つの目標が設定されました。
たとえば毎年50haの伐採、植林、育成まで60年サイクルで繰り返す循環型森林経営。これを基軸とし、建築材への利用はもちろんのこと、枝葉はエッセンシャルオイルなどへの利用を進めています。また、林地残材はチップ化し、公共施設のバイオマスボイラーの燃料に活用することも。豊かな森林資源を余すことなく取り入れているのです。
下川町では、ふるさと納税の寄付金の使い道に「SDGs未来都市しもかわ推進事業」を設定し、町民の活動を支援するための活動費用に当てられているそう。

エコハウス『美桑の家』宿泊券 1泊2日 1棟貸しペアチケット 食事無(2名様まで利用可能)[1枚][北海道下川町]
こちらが下川町の返礼品。エコハウス『美桑の家』の内装や家具・暖房機器燃料には地元産材を多用しています。原材料を輸送するためのCO2を大幅に削減し、環境負担の少ない設計を実現しました。林業が盛んな下川町ならではの体験が味わえます。

そして徳島県阿南市で注目したいのは、2019年にスタートした「阿南SUPタウンプロジェクト」。SUPやサーフィンなどのマリンスポーツを通して海に親しんでもらうとともに、自然と触れ合うことによって、海洋汚染などの環境問題に対して目を向けてもらおうと考えているプロジェクトです。寄付金は、美しい海洋環境を次世代につなげていくためのアクションをおこし、広げていくために活用されているとのこと。

LESサーフボードオーダーチケット(200㎝まで)+サーフィンスクール付(1回)[徳島県阿南市]
徳島県阿南市の返礼品がこちら、LESサーフボードオーダー券。さらに人気サーフィンスクールも付いてきます。このLESサーフボードは、 四国の波をベースに研究された1980年誕生の徳島ブランド。すべてフルオーダーで丁寧にハンドシェイプしています。名前入れも可能ということで、自分にピッタリのボートと出会えそうです。

フードロス削減やリサイクルが進む返礼品

ここからは、廃棄されるはずだった食材を活用した返礼品や、リサイクル素材の返礼品といった工夫に溢れた商品を3つご紹介していきます。

きんこ焼酎 志州隼人 レギュラー1本[三重県志摩市]
一番おいしい部分である甘皮をふんだんに使った、焼酎玄人に好まれる味わいが売りのきんこ焼酎です。今までは「きんこ」として出荷できない小芋は廃棄していたものの、焼酎に生まれ変わって志摩の新たな特産品に生まれ変わりました。

【廃棄梅からできたサスティナブルフレグランス】9KOS Candle Ume & Cedarwood[福岡県太宰府市]
続いては、福岡・太宰府に咲き誇る「梅の花」の香りをベースに、「シダーウッド」をほのかに感じられるフレグランス。この返礼品は、“廃棄梅”から香りを精製しているそう。福岡県太宰府市産の梅で作られた梅酒の製造後に残ったものを捨てることなく、有効に活用した例ですね。自然の恵みが豊かに溢れ出す、フローラルな香りが魅力的です。忙しい毎日の暮らしに落ち着きを与えてくれるでしょう。

きんこ焼酎やフレグランスからは、フードロス削減を目指す姿勢が見て取れますね。廃棄されることで発生する焼却や埋め立て処分が不要となり、温室効果ガスの排出防止が期待できます。特に、フレグランスは梅酒から雑貨へと変化を遂げており、活用方法の可能性の広がりを感じずにはいられません。

航空ライフベストアップサイクル『FDAライフベストサコッシュ』[愛知県豊山町]
※現在は受付終了

最後にピックアップするのは、愛知県豊山町で製造されているサコッシュ。こちらは、飛行機内に搭載していたライフベストを再利用しているとのこと。もともとはライフベストの定期交換のたびに、航空機から取り下ろして廃棄されていたものに新たな価値が生まれました。航空機備品の特性としての耐久性や耐水性などを活かしつつ、本体に描かれているイラストや付属パーツまでも活用し尽くしています。普段の生活の中はもちろん、様々なシーンで使えそうです。

納税や返礼品がサステナブルを考えるきっかけに

ここまで見てみると、ふるさと納税を通して、持続可能な社会を考えられる要素がたくさん散りばめられていることが伝わるかと思います。ピックアップした活動や返礼品の数々は、北海道下川町のエコハウス『美桑の家』に見る原材料輸送によるCO2削減をはじめ、地球温暖化防止に繋がるものばかりです。

環境問題を改善すべく、今ある生活の豊かさ、便利さがどんどん犠牲になってしまっては本末転倒感が否めませんが、ふるさと納税にまつわるサステナブルはその逆のように感じます。今、そして未来をより豊かに、楽しく、美味しくするような取り組み、そして返礼品をもっと知って、地域を応援することが大切ですね。たとえば、LESサーフボードで波に乗ることが、廃棄梅から生まれたフレグランス・9KOS Candle Ume & Cedarwoodの華やかな香りに癒やされることが、これからの海や陸の姿に想いを馳せるきっかけになるのではないでしょうか。


執筆/フリーライター 黒川すい