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新型コロナでの自粛の今だからこそ、生活に必要なSDGs ライブ中止を発表していたコールドプレイは、ライブ映像配信


新型コロナでの自粛の今だからこそ、生活に必要なSDGs ライブ中止を発表していたコールドプレイは、ライブ映像配信

国連が2015年に掲げた持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」をテーマにしたニッポン放送の特別番組『なるほどSDGs~10年後の未来へ~』の第2回が5月5日に放送された。女優、剛力彩芽さんが聴取者とSDGsを学ぶ同番組。今回は新型コロナ感染防止策としてSkypeでのオンライン生放送で実施。有識者ゲストには企業や自治体のSDGs推進に向けたコンサルティング業務などを行うSDGsパートナーズ有限会社・田瀬和夫代表取締役CEOを迎え、SDGsの理念や具体的な企業・組織の動きや世界の動きについて解説してもらった。

SDGs

それは、10年後の2030年、よりよい地球を残すために世界のみんなで目指す17の目標のこと。
10年後…地球…正直、そう言われても
「今はそれどころじゃない」
「自分たちの周りだけで精一杯」
ほとんどの方がそういう状況だと思います—–

剛力さんは番組の冒頭で、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、聴取者の思いを慮った。目の前には感染予防のアクリル板が設置され、同じく生放送で届けられた3月28日の第1回放送後、より厳しさを増している社会情勢が浮き彫りになる。

「『10年後よりも今の暮らしのほうが大変』という状況だと思うので、基本は『今』の話をしていくつもりです。『今、気づいて何かを変える』。これが積み重なって10年後をつくると思うので、『今』を大切にしつつ、それが『未来』にも繋がるよう、私もまだまだ初心者ですが一緒に学んでいきましょう」

そんな強い思いが込められた言葉で、番組はスタートした。

前回は、日本におけるSDGs研究の第一人者である慶応義塾大学大学院政策メディア研究科の蟹江憲史教授をゲストに迎えてSDGsを基本から学んだ。ここで簡単におさらいすると、SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略。日本語にすると「持続可能な開発目標」となる。2030年までの世界的な課題の解決に向け、全世界が協力しようという「17のゴール(目標)」を指す言葉として15年9月の国連サミットで採択された。「17のゴール」には、さらに細かく「169のターゲット(具体目標)」が定められている。

「前回勉強させていただいて、難しく考える必要はないんだなということを感じました。一つ一つ小さなことでもやっていけば、輪になってSDGsにつながっていく。まだまだですが、そうした意識に変わった気がします」と剛力さん。そこで今回は、より具体的な事例やSDGsの「今」に踏み込む内容となった。

ゲストとして招かれたのがSDGパートナーズ有限会社の田瀬和夫氏。「日本の会社、自治体、NGOの人たちにSDGsにどうやって取り組むか助言をして、一緒にやっていくことを仕事にしている会社」で取締役CEOを務める人物だ。コンサルティング業務や講演などを通じてSDGs推進に尽力しており、まずは自身の考える「SDGs」を解説してくれた。

「簡単に申し上げると、僕らが10年後の子供たち、次の人たちに、どういう社会や世界を引き渡したいかという世界観についての国際社会の合意です。『10年後には、こういう世界を渡したい。だからみんなで頑張りましょう』『みんなで10年後にこういう世界をつくりましょう』ということについての僕らの約束です。一見、大きな目標に見えますが、水を節約するとか、ゴミを出さないとか、そうしたことが全部つながっています。自分が、どう人と関わり合っているかを意識することが重要なのではないでしょうか」

ここで紹介されたのが、日本全国10-70代の男女1400人を対象に実施されたSDGsに関する『第3回生活者意識調査』の結果。具体的な数字は以下の通りだ。

【1】言葉の認知率
全体で29.1%(前回調査から13.1ポイント上昇)
男性10代、女性20代など、若い世代で認知の伸び率が高くなっている。
「学生」はおよそ2人に1人、45.1%が認知(前回のから約20.3ポイント上昇)

【2】認知しているSDGs実現に関連する生活行動
(1)プラスチック素材を控える「脱プラ」(70.3%)
(2)必要最低限のもので生活する「ミニマリスト」(54.0%)
(3)もの・場所・技能などを貸し借りする「シェアリングエコノミー」(40.7%)
(4)「捨てない」ことを意識する「サーキュラーエコノミー」(33.9%)

剛力さんは「生活行動への認知(【2】)は、いずれもSDGs自体の認知率より高い結果になっています。これを見るとSDGsだと知らずに、意識せずにやっていることでも、SDGsにつながっているということですか?」と反応。田瀬氏は「そうですね」と応じ、今後増えそうなSDGsにつながる生活行動として「今のコロナの流れから言うと、テレワークというのは大きく流れを変えていくのではないかと思いますよね。これは、働きがい(「17のゴール」の8)のところで関係してきます」と説明した。
さらに「若い世代の人たちの認知率が高いのは、すごくいいこと。10年後の皆さんに引き渡す世界のことを言っているので、若い人たちにとって“自分たちの世界”のことなのです。一方で、紹介してもらった『生活行動』は環境に関するものが多いですが、SDGsにおいては教育、女性の活躍推進、働きがい、格差解消という問題も、すごく重要なことです。そういうところも知ってもらいたいなと思います」とも。その点に関しては「まだまだ自分のこととして考える“自分ごと”化ができていないのかもしれません」と日本の現状を分析した。

では“自分ごと”として捉えてもらうには、どうしたらいいのか。田瀬氏は重要な一つの要素として「メディアの人たちがしっかり意識して、変わっていくこと」を挙げた。さらに「コンテンツとしてSDGsを発信することも、もちろん重要ですが、メディアの会社の中で女性が活躍するとか、働きがいを追求するとか、内外で変わっていくことだと思います」と強調した。

SDGsにおけるメディアの在り方といえば、このSDGsの特番を放送するニッポン放送にも大きな動きがあった。それが今年4月22日に発表された「SDGメディア・コンパクト」への加盟だ。「SDGメディア・コンパクト」とは、18年9月に国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏が立ち上げたメディア協定で、国連がSDGs達成に向けて世界各国の主要な報道機関に参画を呼び掛けているもの。

日本からは朝日新聞、日本テレビ、日刊工業新聞が創設メンバーとして名を連ね、ニッポン放送は日本の報道機関として19社目の加盟となった。ニッポン放送は「これまで、目の不自由な人に音の出る信号機を設置するための募金をよびかける『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』や障がい者スポーツを応援する番組『ニッポンチャレンジドアスリート』などSDGsの精神に合致するコンテンツをお届けしてきましたが、今回の署名を受けて、既存コンテンツの発信強化はもちろんのこと、SDGs推進をより強化するコンテンツを発信し、SDGs達成に貢献できるよう努めてまいります」とコメントしている。

さらに、この動きを受け、ニッポン放送がSDGsに関する記事を取り扱う新たなWEBメディアで、本記事も掲載されている『SDGs MAGAZINE』を立ち上げたことも番組内で発表された。

剛力さんは「SDGsを取り扱うメディアや企業は本当にたくさんありますが、まだまだ知られていないSDGsを、この番組同様に分かりやすく伝えるサイトです。今後は、世界の有名人の話題を取り上げたり、このラジオの放送の様子だったりをお伝えしていけたら」と紹介。

田瀬氏も「SDGsって専門的で、すごく難しいことも含むのですが、やはり続けていくにはワクワクが必要なんですよね。みんなが加わり『ワクワクして面白いぞ』という雰囲気ができてくれば、本当に素晴らしいことだと思います」と期待した。

ちなみに、番組でこの直後に流れたのが英ロックバンドColdplay(コールドプレイ)の「Orphans(オーファンズ)」だった。コールドプレイは、同曲が収録された最新アルバム「Everyday Life(エブリデイ・ライフ)」のプロモーションのためのコンサートツアーを、環境に及ぼす影響を懸念して中止にすると発表。これがSDGsの「17のゴール」のうちの2つ「12.つくる責任、つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」にもつながる決断として、世界的に注目を集めた。リーダーのクリス・マーティン氏は英BBCに「向こう1、2年をかけて、どうすれば自分たちのコンサートツアーが、持続可能なだけでなく環境に利益をもたらすものになるかを模索する」とコメントしている。そんな中、世界保健機関(WHO)と国連財団が設立した「COVID-19連帯対応基金」を支援するためライブ映像配信を行った。

今年1月にスイスで開催された世界経済フォーラム・ダボス会議では、目先の利益ばかりを考えている企業は顧客や社会からの信頼を得られず、持続できないとする「ステークホルダー資本主義」が世界の大きな流れになっているとの見解が示された。今や、SDGsの掲げる理念は、あらゆる経済活動、文化活動と切り離せないものになりつつある。番組の後半では、さらに新型コロナウイルスという「今」の世界的な課題克服におけるSDGsの意義に話が及んだ。