アップサイクルで生まれたデニーズのカップ、ほんのりコーヒーの香りも楽しめる?
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墨田区内のカフェや企業から発生したコーヒー豆かすをもとに、最新技術を用いてコーヒーカップへとアップサイクルする活動、それが「すみだCoffeeloopプロジェクト」。今年で創業50周年を迎え、さらなる盛り上がりを見せている人気ファミレスチェーン・デニーズも、この取り組みに参加しているそう。コーヒー豆かすの回収は墨田区内に存在するデニーズ3店舗から。そして出来上がったコーヒーカップについては、2024年2月29日より、全店で設置を開始しているのだとか。今回は、アップサイクルによって誕生したカップに着目しながら、デニーズの取り組みを見てみました。
コーヒーカップから資源の循環を考える
持続可能な社会の実現において、当然ながら廃棄物を削減することが求められています。ゴミが出た分だけ焼却処理を行っていたら、CO2排出量増加にも繋がります。だからこそ、たとえばリデュース、リユース、リサイクルを意識することが大切。今回取り上げるプロジェクトにおけるアップサイクルも、重要なことのうちの一つに含まれますよね。抽出されたコーヒー豆に新たな付加価値を与え、カップとして生まれ変わらせるこのプロジェクトは、SDGs17の目標の中の「12.つくる責任、つかう責任」と特に密接に関わっています。一度立ち止まって、今あるものを活用しようとする姿勢が改めて必要と言えるでしょう。
また、コーヒー豆かすの回収を担っているのは、墨田区内の福祉作業所の方々なのだとか。資源の循環と同時に、多様な就労機会を生み出している点からは、環境面以外の持続可能性も見えてくる気がしました。8つ目の目標である「働きがいも経済活動も」という面においても、「すみだCoffeeloopプロジェクト」は誰一人として取りこぼすことなく、豊かで安心できる社会づくりの第一歩を踏み出しています。
完成したカップには、このようにデニーズのロゴと、プロジェクトの内容が刻まれていました。ドリンクを口に運ぼうとカップを顔に近づけるたび、文言が目に入ってくるので環境へのやさしさとともに味わうことができそうですね。また、カップからは、ほのかにコーヒーの香ばしいアロマが漂ってくるのもポイント。カップになる前の姿が思い起こされるような体験も、資源循環社会に興味を持つきっかけとなりそうです。
デザートメニューとともにほっと一息
コーヒー豆かすの回収だけでなく、全店でカップの導入も進めているデニーズ。基本的には、ドリンクバーのアメリカンコーヒーサーバーの横に、このカップが用意されているとのことです。食後の締めとしてはもちろん、充実のデザートメニューのお供としてコーヒーを楽しむ際に手に取ってみたくなりますね。
なお、現在デニーズでは創業50周年の記念として有名シェフが監修したメニューが続々と展開されています。5月下旬からは、サダハル・アオキ・パリ監修の抹茶デザートも期間&数量限定で登場。実はこちらの一品、スッキリとした味わいを持ったコーヒーとの相性も抜群なのです。アップサイクルで誕生したコーヒーカップは、容量たっぷりに飲み物を注ぐことができるので、デザートタイムをより深く堪能できるのではないでしょうか。
企業間での協力、その先で私たちができることとは?
今回は、デニーズが参加している「すみだCoffeeloopプロジェクト」の話題を中心にご紹介しました。一企業だけでは資産や技術などの点から、なかなか環境に配慮した取り組みを行うことが難しい場合がありますが、こうしたプロジェクトを通してそれぞれの企業や団体が協力し合えば、できることの幅が格段と広がることが分かります。SDGsの目標の一つ「17.パートナーシップで目標を達成しよう」は、このように企業や、はたまた国の間など大規模に取り組まれる印象も強いかもしれません。しかし、私たちにできることも色々とあります。取り組みそのものを知ることはもちろん、そこから生まれたもの(今回でいうとコーヒーカップ)を手にとって環境について思いを馳せること、SNSなどを使って周囲に情報を広げていくことなども大切なことの一部です。一人で店舗を利用してじっくりコーヒーカップと向き合ってみたり、家族や友達などと訪れてSDGsに関する会話のきっかけとしてみたり、様々な関わり方がありそうですね。
今回のプロジェクトは、原料、そして生まれ変わったものともに、私たちにとって非常に馴染み深い存在であるコーヒーに関わっています。身近だからこそ、自分事として、一見難しそうなテーマ(資源循環社会や就労機会の創出)に触れてみようと思えそう。現時点では、デニーズに導入されているカップの数はまだ少ないものの、見つけたらぜひ使ってみてください。
執筆/フリーライター 黒川すい