”誰一人取り残さない”ために普及が進む「ワクチン接種休暇」とは?
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現在のSDGsを捉えるうえで、切っても切れないのが新型コロナウイルスの影響です。「誰一人取り残さない」というSDGsの原則に沿ってさまざまな活動を進めていく中で、世界や社会を大きく分断しているウイルスが障壁となっているのは、まぎれもない事実でしょう。
新型コロナウイルスという、長く続く薄暗いトンネル。その出口を照らす一筋の光とも言えるのが、「ワクチン」の存在です。
日本国内では、65歳以上の高齢者に続いて、基礎疾患を持つ方や一般向けには今年6月中にも始まる見通しとされているワクチン接種。ただ、平日を就業日とする大多数の会社員層の接種希望日が休日に集中することが予想されており、「全国民への速やかなワクチン接種」を叶える環境制度づくりが企業側にも求められているのが現状です。
そうした中、河野行政・規制改革相は5月11日の記者会見で、経団連などの経済4団体に「ワクチン接種休暇」の導入や職場での接種を要請する考えを示しました。
河野氏はワクチン休暇について「打つ時のみならず、副反応が出た時にきっちり休めることが大事」と強調。職場での接種については、「産業医がいるところは産業医に打ってもらうのが望ましい」とコメントし、職場単位で接種を受けられる体制づくりを求めました。
この「ワクチン接種休暇」の推進に伴って、導入企業も徐々に増えつつあります。
IT企業のヤフー株式会社では、社員が新型コロナワクチンを就業時間内に接種する際、接種時間も就業時間に含むことに決定したと発表。接種後の痛みや体調不良で就業が難しくなった場合は、特別有給休暇を取れるようにするとのこと。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2021/05/12a/
PR会社の株式会社サニーサイドアップでは、独自の福利厚生制度である「32の制度」にて「ワクチン接種休暇制度」を導入。ワクチン接種1回につき1日分の特別休暇を付与し、ワクチン接種を希望する社員が躊躇することなく、安全で速やかな接種ができる環境を整備したそうです。
https://www.ssu.co.jp/news/2021/04/12/4922/
こうした動きは海外でも見られ、台湾当局では、新型コロナウイルスのワクチンを接種した人が当日と翌日に仕事を休むことができる「ワクチン接種休暇」を導入。
これは、接種したことを示すカードを持っていれば、接種の当日と翌日に仕事を休むことができるというもの。職場側が休暇の申請を拒否したり、解雇などの不利な扱いをしたりすることを禁じているそうです。
さまざまな環境変化の要因が重なったことで生まれたともされる新型コロナウイルス。
これまでの”当たり前”が一気にヘ変化している今、「気候変動に具体的な対策を」「働きがいも経済成長も」「人や国の不平等を無くす」など、SDGsが掲げる目標達成に向けた活動をどう進めていくか、経済活動の一端を担う企業自身も真摯に向き直す時がきているのかも知れません。
新型コロナウイルス感染の早期収束への一助になるとも言える、ワクチン接種休暇。一見SDGsとはかけ離れたものにも見えましたが、SDGsにも通じる「少しでも社会を良くしたい」という企業姿勢から生まれた取り組みでもあるようです。
今後もこうした休暇制度を導入する企業が増え、誰もが安全に働ける環境が拡がっていくと良いですね。