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この夏行きたい!SDGsを体現する地域拠点「南アルプスユネスコエコパークミュージアム」 開館


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに 11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を
この夏行きたい!SDGsを体現する地域拠点「南アルプスユネスコエコパークミュージアム」 開館

7月12日(土)、静岡市の井川地区に「南アルプスユネスコエコパークミュージアム 」、愛称 M:I(エムアイ)が開館しました。閉校となった旧静岡市立井川小学校の施設を活用したこのミュージアムには、
南アルプスパノラマシアターなどが常設され、地元食材を楽しめるレストランも併設されています。

この施設は、環境と文化を守りながら地域の人と訪問者をつなぎ、学びと体験を通して人々の行動を変えることができる、まさにSDGsを体現する地域拠点となりそうです。 

ユネスコエコパークの理念を発信!新たな発見、学びの場を提供するミュージアム

「南アルプスユネスコエコパークミュージアム M:I(エムアイ)」は、「南アルプスの自然環境保全」
「地域資源の利活用」「井川地域の活性化」の3つのテーマを軸に、南アルプスの自然の雄大さを紹介するシアターや井川地域の歴史文化を伝える展示でユネスコエコパークの理念を発信し、研究発表や特別展、
学習イベントなどを通じて、来館者に新たな発見、学びの場を提供する施設です。

閉校となった旧静岡市立井川小学校を活用して誕生したこの施設の愛称M:I(エムアイ)は、「南アルプス」と「井川」の頭文字からとったもの。南アルプス・井川地域の自然と文化を、M(未来へ向けて)
1(一歩ずつ)、守り伝えていきたい、という思いも込められています。

M:Iの目玉となるのは、美しく雄大な南アルプスの自然と、この地で暮らす人々の営みが体験できる大型のパノラマシアター。標高3,000m級の山々の壮大な景色や、井川地域の美しい風景の映像は感動的で、その貴重な地域資源を持続可能にしていくための、さまざまな課題を提起します。

展示以外にも、今後南アルプスのトレッキングやE-BIKEツアー、ガストロノミー体験などの地域体験コンテンツが展開される予定です。

また施設2階には、「赤石岳」にちなんで名付けられた「レストラン赤石」もオープン。大きな窓からは、美しい井川湖の風景を眺めることができ、「ジビエバーガー」や、井川在来作物を使ったプレートなど、地域の名産品を使ったフードが味わえます。

生態系の保全と持続可能な利活用の調和を目指す”ユネスコエコパーク”

井川地区が認定されている”ユネスコエコパーク”は、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)を目的として、ユネスコが開始した事業。地域の自然と文化を守りながら地域社会の発展を目指す取り組みです。

ユネスコエコパークは、生物圏保存地域(BR:Biosphere Reserves)とも呼ばれ、これまで、136か国、759地域が登録されており、日本では10地域(志賀高原、白山、大台ヶ原・大峯山・大杉谷、屋久島・口永良部島、綾、只見、南アルプス、祖母・傾・大崩、みなかみ、甲武信)が登録されています。(令和6年7月現在)
このうち、井川地区を含む山梨、長野、静岡の3県10市町村にわたる地域が、南アルプスユネスコエコパークとして登録承認されています。

「自然」「文化」「食」を地域資源として循環利用、SDGsを体現し、未来に繋がる場所に

SDGsの目標15は「陸の豊かさも守ろう」。まず「ユネスコエコパーク」の理念そのものが、SDGsのこの目標と一致しています。自然保護と持続可能な利活用の両立を掲げる南アルプスのモデル地域として、訪問者に豊かな自然の大切さを伝えます。

パノラマシアターなどの展示は、南アルプス地域の環境課題を伝え、来館者に問題意識を促す構成となっており、気候変動や生物多様性への関心を高めることで、行動変容につなげる教育効果が期待できます。これは、目標13「気候変動に具体的な対策を」に繋がります。

そしてミュージアムは、自然環境や地域文化に関する学習の場として、子どもから大人まで誰もが楽しみながら学べる施設です。特に「パノラマシアター」や特別展、学習イベントは、体験型の環境教育・地域学習に最適です。このような施設の存在は、SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」に寄与します。
元小学校の校舎を再活用して「教育の場」として蘇らせた点も象徴的だと言えるでしょう。

さらに、閉校した小学校をリノベーションし、観光と教育の複合施設として活用し地域の拠点を再生したことは、目標11「住み続けられるまちづくりを」にも繋がります。「オクシズ」地域に人を呼び込み、地元資源を活かした地域活性化ができるだけでなく、まちの記憶を継承しながら地域の未来を支えるインフラとしての役割ももつことができます。

また、ジビエや在来作物など、レストランでの地域資源を無駄にしない食の活用は、持続可能な消費と生産を意識しており、この点は目標12「つくる責任 つかう責任」に繋がります。
「南アルプスユネスコエコパークミュージアム」 は、「自然」も「文化」も「食」も地域資源として循環利用している場所として非常に良い事例で、まさにSDGsを体現したような施設と言えるでしょう。

また、この施設のある井川地区を含めた静岡市の山間地域は「オクシズ(奥静岡)」と呼ばれ、「ユネスコ無形文化遺産」に登録された41件の「風流踊」のうちのひとつ。「有東木の盆踊」や、日本三大銘茶として名高い静岡茶を使ったかき氷「茶氷」などもあり、日本の文化を感じることのできる魅力的な地域です。
地域を未来に渡って持続可能にするための「学び」と「体験」が詰まったこの施設は、全国の地域活性や自然保護のモデルにもなり得ます。
この夏、オクシズ観光と合わせて、M:Iにぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

・南アルプスユネスコエコパークミュージアム
所在地:静岡市葵区井川708-1(旧静岡市立井川小学校)
連絡先:054-347-3600(株式会社FIEJA)
開館時間:10:00~16:00
https://www.facebook.com/mi.ikawa.museum


執筆/フリーライター Yuki Katagiri