「飼育」から「傾聴飼育へ」今問われる飼い主のペットへの向き合い方
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現在、日本のペットの飼育頭数は犬・猫をあわせて1500万頭を超えています。あなたの身の回りにもペットを飼っている人は多いはず。ペットを飼う人が増加する中で、ペットは大切な「家族」としての立ち位置になりつつあります。今一度、ペットとの向き合い方を見直してみるのも良いのではないでしょうか。ペットも飼い主もどちらもが仲良く楽しく幸せに暮らしていくためのヒントとして今回ご紹介するのは、単なる「飼育」ではなく「傾聴飼育」という考え方です。
「飼育」から「傾聴飼育へ」
ペットの置き去りに関連するニュースなどを目にすることも多い昨今、社会的に飼い主は愛情と責任を持ってペットと暮らすことが求められています。そこで考案されたのが、動物の発するサインをよく観察し、その本当の意味を理解しながら一緒に暮らしていく「傾聴飼育」です。
傾聴飼育」の考え方や実践方法を社会に広げるための活動を行う「傾聴飼育推進委員会」を立ち上げたエリエールPet キミおもいの調査では、約9割が「今よりももっとペットの気持ちや想いを知りたい」と感じている一方、約4割の飼い主が「ペットの表情や行動(鳴き声・ボディランゲージなど)をよく観察し、メッセージを読み取ることや、動物の行動や習性を理解することができていない」と回答しており、ペットとどのように向き合い、一緒に暮らしていくべきか悩みを抱えている人が多い状況が明らかになりました。このような日常生活での悩みを抱えている飼い主は、ぜひチェックしておきたいですね。




傾聴飼育の実践ポイント


さて、傾聴飼育とは実際にどのように実践していくべきものなのでしょうか。
ここでは、傾聴飼育推進委員会をエリエールPet キミおもいと共同で立ち上げた獣医師・獣医行動診療科認定医・伴侶動物行動カウンセラーの藤井 仁美先生のお話のもと、ポイントに分けてご紹介します。
①生態・習性・動物特性を学ぶ
「ペットが何を考えているのかわからない」という悩みを解決する第一歩は、動物別の習性、持ち合わせた能力、学習の影響など、ペットの行動について知識を深めることが大事です。ペットに合わせた付き合い方をするためには、種類やルーツを知ることも役立ちます。
②表情・姿勢・行動を観察してサインを読み取る
ペットは人の言葉を話さない代わりにボディランゲージや表情、そして行動などを通じて、日々飼い主に色々なことを伝えてくれています。わんちゃんははパーツに加え、体全体も見るようにし、さらに正しく気持ちを理解するためには、犬が置かれている状況と照らし合わせて考えることも大事です。ねこちゃんは顔のパーツや体、声に感情が現れるほか、ニオイをつかった嗅覚的なコミュニケーションも重要となります。
③サインの意味を考えて接する
犬は、年齢や性格などによって、自分の気持ちをどう表現するか、どれだけ表現できるかが異なります。猫の場合は、甘えたい気持ちと警戒心が同居していることが多く、距離を詰めすぎないことがポイント。ペットが何をどこまで求めているかを見極めることがとても大切です。それらをしっかりと観察し読み取り、何を意味しているのかを考えながら接すると良いでしょう。
以上が、傾聴飼育の主な3つのポイントです。
この「傾聴飼育」の考え方や実践方法を広めるため、傾聴飼育推進委員会では、小冊子「傾聴飼育のススメ」の配布、専門家によるペットオーナーさん向けセミナーの開催などを行っているそう。ペットとオーナーさんの“より幸せな暮らし”を実現し、ペットと人の共生社会の充実につなげることを目指して活動しているんだとか。
ペットと飼い主、双方の想いが通じ合う暮らしを
「傾聴飼育」を実践することでペットと信頼関係が深まり、問題行動の減少や正しいマナーを教えるしつけのしやすさにもつながり、ペットと人の共生社会にも貢献できます。
ここまで見てきたように、飼い主がペットの本当の気持ちを理解した上でその意思を尊重しつつ、飼い主の想いもきちんとペットに伝えてあげることが大切です。人だけではなく、家族・パートナーであるペットも尊重し、より良い関係性を築いていくことは、持続可能な社会への実現に不可欠です。飼い主のマナーや責任が問われる昨今、理想的なペットとの共生社会を目指すためにあなたも今日から傾聴飼育を実践してみてはいかが?






