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東⽇本⼤震災からまもなく15年、依然として震災リスクの⾼い⽇本で⼦どもの安全を守るには?


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を
東⽇本⼤震災からまもなく15年、依然として震災リスクの⾼い⽇本で⼦どもの安全を守るには?

近年、能登半島地震をはじめとした震度6を超える⼤型地震が発⽣しているほか、30年以内には南海トラフ地震、千島海溝・⽇本海溝の地震、⾸都直下地震など多くの⼤型地震の発⽣が予測され、災害発⽣リスクが年々⾼まっています。

こうした状況下での家庭の防災意識の実態を調査すべく、国内No.1※1 の⼦ども⾒守りGPS「BoT トーク」を展開するビーサイズ株式会社が、全国の20代〜50代の⼩学⽣の⼦どもを持つ保護者約1,200⼈を対象に「⼦どもの防災対策に関する意識調査」実施。調査の結果を受けて、防災スペシャリストの和⽥隆昌先生に防災対策のコツなどを伺いました。

※1︓株式会社アイディエーション調べ
「⼦供⾒守り GPS サービス(GPS 端末をアプリで⾒守るサービス)」で Google 検索上位 10 サービスを⽐較対象にし、全国の 4 歳〜⼩学 6 年⽣の⼦供を持つ 30、40 代の男⼥ 19,195 ⼈を対象に実施インターネット調査(2025 年 1 ⽉ 6 ⽇〜1 ⽉ 10 ⽇)
https://www.ideation.co.jp/column/child_gps2025

⽔や⾮常⾷など物資の備蓄はできているが、「家族の合流場所の確認」や「避難経路の共有」はできていない現状

調査の結果、各家庭で、防災対策が「できている」と回答した保護者は 29.3%にとどまり、「⼦どもの防災対策」にまで意識を向けられている⼈はわずか 19.9%であることが明らかになりました。
また、「できている」と回答した家庭の多くが、「⽔の備蓄をしている」(67.6%)や「⾮常⾷の備蓄をしている」(64.2%)といった物資の備蓄をしている⼀⽅で、「家族の合流場所の確認」(31.3%)や「避難経路の共有」
(21.9%)といった災害発⽣時の実際の⾏動に関わる備えは7割近くが未実施であることが明らかになりました。

備蓄は重要ですが、それだけでは万全とは⾔えません。無防備な就寝時の対策や、家族間での避難経路や合流場所など具体的な⾏動の確認・共有を⾏い、総合的な防災対策を進めましょう。

欠かさず行っておきたい、学校など、保護者と離れている際の子どもの防災対策

ここで注目したいのが、家族間の連絡手段についてです。

「避難場所の共有」(47.7%)や「帰宅経路の確認」(43.8%)といった基本的な⾏動については⼀定の対策が⾒られる⼀⽅、「⾮常時の連絡⽅法を決めている」保護者はわずか 21.3%、「通信端末を⼦どもに持たせている」と回答した保護者は 12.2%にとどまり、連絡⼿段の確保はほとんど進んでいないことがわかりました。全体を通しても、⼦どもに特化した防災対策の実施率は家庭全体の防災対策率と⽐較しても12.2%※2 低く、⼦どもの防災対策が⼤きく後れをとっている実態が浮き彫りとなりました。

※2︓「家庭の防災対策ができている」と回答した保護者の中で、いずれかの対策を実施している割合から算出(n=352)

調査の結果を⾒ると、⼦どもの防災対策については特に連絡⼿段の整備が不⾜しているようです。⼦どもが学校にいる時間に災害が発⽣する可能性もあります。事前に学校との連絡体制(連絡網、ホームページの確認など)を明確にし、家庭内でも『災害時の連絡⽅法』について共有しておくことが極めて重要です。学校には管理する⼤⼈がいるため⽐較的安全と考えがちですが、実際にどこまで学校側が対応可能なのかを、保護者は事前に確認しておく必要があります。

子ども⾃⾝に対して防災⾏動を教える際は、『⾛り出さない』『頭を枕で守る』といった、シンプルで具体的な⾏動指⽰を2〜3個に絞って伝えることが効果的です。複雑な指⽰は混乱やパニックを招く恐れがあります。また、混乱を避けるという点では、「単独⾏動をさせない」意識も⼤切です。保護者と連絡が取れない状況で、⼦どもが勝⼿に⾃宅へ向かってしまうと他の児童の避難⾏動に悪影響を及ぼす可能性もあります。このようなケースを避けるためにも、家庭でのルールづくりと、学校との情報共有が⽋かせません。

加えて、共働き家庭の増加により、放課後も習い事や学童など、とくに平⽇においては⼦どもと離れて過ごしている保護者が増えているため、学校外での場⾯も含めた防災対策や安否確認のルールを確認しておくことも大切です。

⼦どもを守る!防災グッズとしてのGPSの活用

続いて、⼦どもとの⽇常的な連絡⼿段について保護者に聞くと、「スマートフォン」を持たせている家庭は20.6%、「⼦ども⽤携帯電話」は12.7%という結果でした。⼀⽅で、コミュニケーションツールを持たせていない保護者は 60.4%にのぼり、多くの家庭で⽇常の連絡⼿段が確⽴されていない実態が明らかになりました。

学校への持参や使⽤が制限されていることもあることから、スマートフォンや⼦ども⽤携帯電話を「⼩学校に持って⾏く」と回答した保護者はわずか2〜3割程度にとどまる⼀⽅、⼩学校にGPS端末を持って⾏く⼦どもは85%と⾮常に⾼く、⽇常的に持ち歩くツールとして活⽤されていることが分かりました。

災害時における⼦どもの居場所の把握は、保護者にとって極めて重要です。近年ではスマートフォンのアプリを利⽤する⽅法もありますが、学校にスマホを持ち込めないケースや、まだ⼦どもにスマホを持たせていない家庭では、GPS端末の活⽤が⾮常に有効です。中でも⾳声や⽂字を使った双⽅向のやり取りができる「BoT」のような⼦ども⾒守りGPSは、信頼性が⾼く、安⼼感を提供します。

⽇本では「地震」が代表的な災害として思い浮かびますが、2025年は豪⾬・⽔害・⼟砂災害といった気象災害に加え、停電、熱中症、豪⾬被害の拡⼤など、複数の災害が同時に起こる「複合災害」のリスクが⾼まっています。⽇本は世界でも有数の災害多発国であり、家族全員で⽇常的に防災に取り組むことが⼤切です。また、特に都⼼部での⼤規模災害時には治安の悪化や「保護者の代理」を名乗る不審者の出現も懸念されます。こうした危険から⼦どもや⼥性、⾼齢者を守るためにも、平常時から学校や施設との連携、災害時にすぐ使える連絡・⾒守りの⼿段を確保しておくことが効果的です。これから想定される様々な災害に備え、家族全員の防災⼒を⾼められる取り組みを⽇常の中に取り⼊れましょう。

GPSのほかにも、⼦ども向けの防災グッズとして、気持ちを落ち着けるためのおもちゃやお菓子、ヘルメットや帽子、医療情報カード、家族の顔写真、発光グッズなどを準備しておくのも有効です。

こうして日頃から災害に備えておくことは、安心して暮らせる環境をつくることとなり、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」にもつながります。GPSを持ち歩くなど日常の小さな安心が、災害時の大きな命綱となり、ひいては社会全体のレジリエンスを高めることにもつながります。

災害時の備え、あなたとあなたの家族はできていますか?

              和⽥ 隆昌(わだ たかまさ) 先生

災害危機管理アドバイザー。感染症で⽣死をさまよった経験から「防災⼠」資格を取り、⾃治体や企業の災害対策コンテンツを作成。専⾨誌編集⻑を歴任。アウトドア、サバイバル術も得意。
2020 年 6 ⽉ 9 ⽇発売中後年のための『読む防災』(ワニブックス)他、講演会、各種セミナー(リモート可)TV などマスコミ出演多数。All About 防災 ガイド。

執筆/フリーライター Yuki Katagiri