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戸田建設が手掛ける「浮体式洋上風力発電」とは   後編 行政や地域住民と連携して実現する「五島モデル」を深掘り


この記事に該当する目標
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
戸田建設が手掛ける「浮体式洋上風力発電」とは   後編 行政や地域住民と連携して実現する「五島モデル」を深掘り

当WEBメディアと連携し、パーソナリティの新内眞衣さんとともに未来の地球をより良くするための17の持続可能な開発目標からなるSDGsを楽しく分かりやすく学べるニッポン放送のラジオ番組『SDGs MAGAZINE』。
9月14日の放送では前週に引き続き、戸田建設株式会社(東京・中央区、大谷清介社長)が手掛ける「浮体式洋上風力発電」を取り上げた。目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に加え、目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標8「働きがいも経済成長も」にもつながる、この取り組みを、「地域とのかかわり」を中心に掘り下げた。

■若い世代も参画する五島のプロジェクト

前回は、戸田建設が手掛ける「浮体式洋上風力発電」に注目し、その仕組みや歴史を紐解いた。
後編では、来年1月に「浮体式洋上風力発電」の大規模発電所としては国内で初めて運用が開始される予定の長崎県五島市にある「五島ウィンドファーム」を実例とし、目標11「住み続けられるまちづくりを」などにつながる要素にフォーカス。前回に続き戸田建設九州支店・五島洋上風力プロジェクト部部長の野又政宏さん、また若手社員を代表して関東支店・土木工事部の高橋大和さんをスタジオに招き、地元・五島列島の行政や住民との連携にまつわる話や、プロジェクトに携わった若い世代の社員の思いを聞いた。

新内 「よろしくお願いします」

野又 「よろしくお願いします」

高橋 「戸田建設の高橋です。よろしくお願いします」

新内 「高橋さんは普段、どちらで働いているんですか」

高橋 「私は長崎の現場の五島のほうで働いております」

新内 「関東支店だけど、今は出張で?」

高橋 「そうですね。所属は関東支店ですけれども、配属先が五島の現場になります」

新内 「若手っていうことですけど、おいくつですか」

高橋 「今年、27歳になりました」

新内 「若い! ちなみに出身は」

高橋 「出身は埼玉です」

新内 「一緒ですね」

高橋 「埼玉の川越です」

新内 「あ~近い! じゃあ、今日はよろしくお願いします」

高橋 「よろしくお願いします」

新内 「高橋さんも、この『洋上風力発電』のプロジェクトに参加されているということですか」

高橋 「そうですね。2022年の4月から五島の現場に配属されまして、浮体、風車の建設の工事の担当として参画しています。赴任した当初、ちょうど1基目から3基目の浮体の建造工事と海上工事がまだ始まったばかりだったのを覚えています」

新内 「じゃあ、まだ本当に駆け出しの頃から見守ってきたっていう感じですね」

高橋 「そうですね。本当に始まったばっかりだったのを覚えています」

■「五島モデル」を実現した協力体制

新内 「先週は、SDGsの目標7『エネルギーをみんなに、そしてクリーンに』につながる浮体式洋上風力発電のお話や『五島ウィンドファーム』のお話をうかがってきたのですが、今回はさらにそこから目標11『住み続けられるまちづくりを』にもつながる『地域とのかかわり』についてうかがっていきたいと思います。今回の洋上風力発電事業は、ただ風力発電を設置するだけではなく、地元との協力体制が築かれていたとのことなのですが、こちらをちょっと詳しく教えていただけますか」

野又 「初めから地元との関係が築けていたっていうわけでは当然なくてですね…」

新内 「はい」

野又 「例えば再生可能エネルギー事業の重要性や、漁業との共生、地域創生の可能性に共感していただけて、五島市さんをはじめとする地元の自治体や漁協をはじめとする漁業者の方々、商工会議所の方々などが応援してくださったおかげで今があると思っています」

新内 「建設するにあたって、地元の建設会社の方との協力とかでやられているんですか」

野又 「そうですね。陸上と海上というふうにわれわれは分けているんですけど、先週ちょっとお話しした浮体部分は、陸上でものをつくるのですが、そこに関しては基本的に地元の産業でやれることは全て地元にお願いしてやっています」

新内 「おぉ! 地元とタッグを組むって、すごく大変だったと思うんですけども」

野又 「われわれは、もともと陸上でやる部分は、どこででも同じようにつくれるというコンセプトで計画をしています」

新内 「はい」

野又 「ですので、その計画をしている時点で、『地元の産業と共にやる』っていうところの計画ではあったのですが、五島は離島なので、建設業界だと離島でものをつくるっていうのは割高という概念がやはりあって、当初は長崎の本土の方でつくる計画にしていました。もともと実証機も長崎の本土でつくったんですけど、その時と同じ場所で、と考えていたんです。
ただ、五島で事業をやるにあたって、地元の方といろいろ話していく中で、ぜひ陸上の工事も五島でやってほしいっていう熱意・要望もあって、そこから検討を重ね、メリットがあることもわかり、五島でつくることに変更しました」

新内 「今、浮かんでいるものは五島でつくられたものっていうことですね」

野又 「といって過言ではないです」

新内 「実際にやってみて、いかがでしたか」

野又 「われわれはものをつくるために管理する立場なんですけど、管理面での効率化というのは確かにかなりあって、特に今回の『ウィンドファーム』のプロジェクトに関しては、工期が遅れるような課題の発生とかもあってかなり苦労したんですけど、そういった時に長崎と五島で工事が別々だったら、その時の対応というのは、かなり大変だったろうなぁっていうふうに思っています。やっぱり離れていると、対応も遅れたりするんですね」

新内 「うんうん」

野又 「そういった意味でも、地元の方に声を掛けてもらったことに、今は感謝しています」

新内 「地元でつくるということで、地元に対しての雇用が増えたりとかもするっていうことですよね?」

野又 「はい」

新内 「となると、『住み続けられるまちづくりを』にもつながっているということですね」

野又 「そうですね。そこは五島市さんも、もちろん期待して『やっぱり五島でやってほしい』っていうところがあったんだと思います」

新内 「結構、見に来る人とかもいますか」

野又 「そうですね。今までだと視察者だけで1万人以上の方が来られています。当然、外部から来られるんで、宿泊だったり、食事をしたり、お土産も買ってもらって…」

新内 「ふふふ(笑)」

野又 「さらには、五島で地元とのつながり、協力体制もでき、うまくいっているっていうことです。やっぱり評判というのは伝わっていって、いろいろなところの自治体だったり、企業の方だったりが視察に来て、洋上風力の地域振興につながる良いモデル、『五島モデル』っていうのができたのかなっていうふうに思っています」

新内 「じゃあ、五島に行ったら、自然とか、いろいろな観光地がある中の一つのシンボルとして洋上風力を見に行くっていうのもあるのかもしれないですね。これから、また」

野又 「そうですね。地元の観光協会とかも、そういったツアーだとかをやっていただいています」

新内 「だって、日本でそこしかないんですもんね、まだ」

野又 「そうです」

野又「来られるなら今ですね!」

新内 「そうですね」

■風車の名前にも地域の色

「五島ウィンドファーム」には8基の風車があり、その名前を募集。五島市と新上五島町の小中学生が地元の文化、豊かな自然をイメージし、方言を用いるなどしてそれぞれ命名した。
1号機が「かぜてらす」、2号機が「かめりあぶりーず」、3号機が「ぎばるかぜ」、4号機が「ごとっかぜ」、5号機が「しーちょっと」、6号機が「ばらもんかぜ」、7号機が「みじょかぜ」、8号機が「むげんかぜ」と名付けられた。

新内 「風に関するお名前が多いと思うんですけども、全部ひらがなで、3号機の『ぎばるかぜ』の『ぎばる』とかは、方言ですか?」

野又 「そうですね。『ぎばる』というのは『頑張る』『きばれ』っていうような方言ですね」

新内 「へ~。『ばらもんかぜ』の『ばらもん』って、何ですか」

高橋 「これは地元の『ばらもんだこ』が由来です」

新内 「あっ、たこなんですね」

高橋 「そうです。たこです」

新内 「海の生物ですもんね」

高橋 「いや、揚げるほうの…」

新内 「あ、そっちか! ごめんなさい(笑)」

高橋 「(笑)」

新内 「そういうことか…5号機の『しーちょっと』は」

野又 「『しーちょっと』は『好いちょっと』
   福岡でも『好いとう』って言うじゃないですか」

新内 「はいはいはい。『好きですよ』ってことですか」

野又 「いやぁ(照)」

新内 「あっ、そうなんですね。さらに、そこから発電した電気を地元・五島で使用することで、2030年までに島の二酸化炭素排出量50%削減を目指す『ゼロカーボンシティ計画』というものを公表されているんですけど、こちらはどういった事業なんですか」

野又 「これは、五島市さんのほうで計画されているものなんですけど、われわれがこれまで五島で取り組んできた洋上風力事業が、これらの一助になっているのかなっていうふうには思っています」

新内 「なるほど。高橋さんにも少しお話をうかがっていきたいのですが、実際に高橋さんは、現場でどういった仕事をされているんですか」

高橋 「工事担当ということで来ておりますので、先ほど野又部長からもありましたけど、実際、現場では陸上と海上で工事が分かれているのですが、主に私は海上工事のほうを担当しておりました。海上工事というのは、陸上で建造した浮体を実際に海に設置して、風力発電をするための風力発電施設として完成させるための工事なのですが、それを担当しています。浮体を海上に設置して流されないようにすることを『係留』と呼んでいるのですが、特に私は浮体をその場で係留するためのチェーン、アンカーを海底に設置して実際に浮体と接続するという作業を担当していました」

新内 「それ1基を海に建設するのに、どれぐらい時間がかかるんですか」

高橋 「海上だけでいいますと大体1カ月かかるか、かからないかかなと思います」

新内 「えっ!? 1カ月ずっと海に居っぱなしってことですか」

高橋 「まあ、各工事で担当が分かれていますので、実際、担当ごとに交代して工事は行っています」

新内 「すごいですね。“海なし県”から海での生活に(笑)」

高橋 「そうですね(笑)」

新内 「大丈夫ですか? 海、慣れました?」

高橋 「そうですね。3年経ちましたけど、なんとか慣れました(笑)」

新内 「(笑)。その3年で、地元の方との交流もあったと思うんですけど、深まった実感はありますか」

高橋 「もう、当初来た頃はなかなか打ち解けるのが難しいかなぁという感覚があったのですが、今では休日にゴルフにお誘いいただいたり、夜も飲みに誘っていただいたりだとか、かなり打ち解けることができたと思っています」

新内 「埼玉を背負って…本当に…」

高橋 「はい(笑)」

野又 「埼玉、背負ってた?」

高橋 「背負っていたんじゃないですかね(笑)」

新内 「(笑)」

■若い世代もSDGsを「自分事」に

そして番組の最後、新内さんは2人に恒例の質問、「今、私たちにできること=未来への提言」を聞いた。

野又 「『浮体式洋上風力』の導入っていうのは、カーボンニュートラルだったり、地域創生においても期待をされているっていうのは、すごく感じています。まだちょっと開発途上の部分もあって、これからも課題に直面する機会が多くあるとは思いますが、これまでと同様、さまざまな関係者とともに取り組んでいけたらなと思っております」

高橋 「私のような若い世代は、どうしてもテレビやネットのようなメディアで流れる、環境に関するさまざまな情報に対して、ちょっと他人事になってしまう節があるかなと思います。そういったところを他人事とせず、自分事として興味を持つことが大切かなと思います。そうしたアンテナを育んでいくことで、将来、会社や社会を背負って立つ立場になった時、あらゆる事柄に対して、環境を配慮した考えや判断ができていくのではないかと思います」

新内 「はい」

高橋 「SDGsの目標は、短期間で達成できるものではないと考えておりますので、私たちの世代が、こうした小さな積み重ねを行っていって、またこれを次の世代につなげていくことで、より良い未来をつくれるのではないでしょうか…と考えております」

新内 「ありがとうございます」

野又 「素晴らしいですね。安心して未来を任せられます」

新内 「ぜひ、来年1月からの『浮体式洋上風力発電』の運用、楽しみにしています」

野又 「はい! ありがとうございました」

高橋 「ありがとうございました!」

政府は2030年までに1000万キロワットという洋上風力の導入目標を掲げている。戸田建設が主体となって進める、この長崎県五島市の浮体式洋上風力発電所「五島ウィンドファーム」は、そうした未来への重要な一歩として期待されている。新内さんは、今回の放送で五島を身近に感じ、「浮体式洋上風力発電」の今後に興味が深まった様子。「楽しみにしています」と、来年1月に迫る運用開始に期待感を高めていた。