未利用魚が地産地消サステナブルハンバーガーに変身!「勝浦ブルーバーガー」をおいしく食べて、「海の豊かさを守ろう」
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千葉県勝浦市は、暖流と寒流の潮境に位置し、沿岸でも水深が深く海藻が根付いた岩礁が多いことから多種多様な海洋生物が存在しています。しかし、昨今の地球温暖化による海水温の上昇や、海水温上昇に伴う植食性魚類の増加により、良質な藻場が減少する磯焼けの深刻化が問題となっています。この問題を解決すべく、新勝浦市漁業協同組合、勝浦漁業協同組合、勝浦市、東急不動産、東急リゾーツ&ステイは、関係機関とともに「勝浦市藻場保全対策協議会」を設置し、藻場保全活動として、植食性魚類の駆除を開始しています。
さらに、東急不動産と東急リゾーツ&ステイは「勝浦市藻場保全対策協議会」と連携し、捕獲した植食性魚類を活用し、勝浦の新たなご当地グルメとなる可能性を秘めた「勝浦ブルーバーガー」を開発しました。この「勝浦ブルーバーガー」をきっかけに、ゲストに楽しみながら海洋問題について知ってもらい、食を通じて藻場保全に貢献してもらうことを目指します。
地球温暖化で生き物が育まれる「藻場」が減少


かつて勝浦の海には、アワビやサザエ、イセエビ、ヒラメなど多くの生き物が育まれる豊かな“海の森”=藻場が広がっていました。藻場は海の生き物たちの隠れ家であり、エサも豊富で稚魚が安心して育つことのできる場所。さらにヒジキやテングサなど海藻の採取も盛んで、地域の漁業と深く結びついた重要な環境でした。
ところが2018年頃から、この藻場が急速に失われています。その背景には「磯焼け」と呼ばれる現象があります。磯焼けとは、海藻が減少して岩礁がむき出しになり、生き物のすみかが失われてしまうこと。地球温暖化による海水温の上昇で海藻が枯れたり、ブダイやアイゴなど海藻を食べる魚が増えたりすることが原因の一つと考えられています。千葉県の調査では、内房で藻場の面積が2017年度に約43%まで減少し、外房でも同様の傾向が進んでおり、勝浦の海も例外ではありません。
植食性魚類が未利用魚だったのはなぜ?
植食性魚類であるブダイは、クセがなく食べやすい味ではあるものの、ウロコが大きくかたいなどの理由で一般家庭にて調理するのは難しく、また、増えてきていると言っても市場にまとめておろすほどの量はとれないため、そもそも流通させにくいこともあり、これまではうまく利用することができていませんでした。


この問題を解決すべく、「勝浦市藻場保全対策協議会」が開発したのが海の藻を食べてしまう植食性魚類のブダイなどの未利用魚を食材とした「勝浦ブルーバーガー」。一般に流通させるのが難しい植食性魚類をおいしく食べることができるよう環境を整えました。
海の森の救世主!「勝浦ブルーバーガー」をおいしく食べて持続可能な海に貢献しよう


最初の「勝浦ブルーバーガー」として、10月1日(水)から勝浦東急ゴルフコース内レストランで月替わりにて提供されるのが、勝浦の郷土料理「さんが焼き」をベースに、山椒キャロットラペや獅子唐・茗荷を合わせた薬味ペーストを加え、郷土の味わいに新しい風味を取り入れた「さんが焼きバーガー」と、未利用魚の持ち味を活かしながら、まるで肉のような香ばしさと食感を表現し、王道の照り焼きソースを合わせることで子どもから大人まで幅広く楽しめる味わいに仕上げた「フィッシュ照り焼きバーガー」。
調理は難しいものの、味は他の魚に劣らない未利用魚が、シェフの技により非常に美味しいバーガーになっています。
今後「勝浦ブルーバーガー」は、勝浦を起点に、コンセプトに賛同する飲食店がそれぞれの個性を生かした独自のバーガーを提供することで、海を軸とした循環と地域活性化の広がりを目指します。また、将来的には、地元飲食店で植食性魚類を使用したフィッシュバーガーの提供を進め、「勝浦タンタンメン」に次ぐ新たなご当地グルメとして定着させることも目標の一つです。
温暖化などにより、海の生態系は日々変わり続けています。こうしたメニューを実際に食べて、学んで、私たちも持続可能な海や地球環境に貢献していきましょう。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri






