茨城県境町で「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」開催決定! スポーツを核としたまちづくりの未来にあるものは?
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世界レベルのスペックを有したスポーツ施設が相次いで整備されている茨城県境町。若手トップ選手をはじめ、世界を目指す子供と家族が“スポーツ移住”するケースも増えているといいます。
そんな茨城県境町で、ローラーフリースタイル、スクータリング、BMX、ブレイキンの国際競技イベント「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」が11月に開催されます。本大会に出場予定の若手トップアスリートも登壇した記者会見を取材してきました。
世界最高レベルのアーバンスポーツ施設が充実の境町
ストリートスポーツやエクストリームスポーツとも呼ばれる「アーバン(都市型)スポーツ」。東京2020オリンピックや昨年のパリオリンピックで、スケートボードやBMX、ブレイキンなどの競技種目が注目されたのは記憶に新しいところです。
茨城県境町には、世界大会が開催可能なレベルの常設アーバンスポーツ施設「境町アーバンスポーツパーク」が2021年3月に完成。同年5月には自転車競技BMXフリースタイルの全国大会「マイナビJapan Cup」を開催し注目を集めました。
2023年9月にはフランスのモンペリエ市と友好都市協定を結び、同年11月には第1回目のBMXローカル大会「SAKAI CUP」を開催。2024年3月には、東京オリンピックで使用したBMXコートを移設した世界最高レベルの全天候型アーバンスポーツパーク「境町アーバンスポーツパーク2nd」が完成しています。今回の「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」は主にこれらの施設を活用して開催されます。
会見の冒頭で登壇した茨城県境町の橋本正裕町長は、
「境町には安床武士選手をはじめ多くの世界チャンピオンやトップ選手が移住してきている。そんな選手たちを間近で見ることで、地域の子どもたちの未来に、そして町民の皆さんのシビックプライドにもつながる大会になることを期待したい」と挨拶をしました。


また「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」実行委員会の野口富太郎委員長からは、
「境町ではスポーツを核としたまちづくりを4、5年前から推進してきて、ようやく世界大会ができるまでになった。安全安心な大会を目指し、世界各国から来る選手に境町のおもてなしを見せたい」と、開催に向けての豊富が語られました。


オリンピックを彷彿とさせるようなイベントが9日間開催
続いて「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」の実行委員会プロデューサーを務め、インラインスケートの世界チャンピオンとして数々の大会での優勝経験を持つ安床武士氏が登場し、大会概要を説明しました。
☆「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」イベント概要☆
主催: 「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」実行委員会
後援: 茨城県境町
日程: 2025年11月21日(金)~30日(日)
会場: 境町アーバンスポーツパーク(茨城県猿島郡境町上小橋 560-3)
境町アーバンスポーツパーク2nd(茨城県猿島郡境町上小橋 560-3)
SAKAI Tennis court 2020(茨城県猿島郡境町上小橋 560-1)
実施競技種目: ・World Skate 世界選手権大会
ローラーフリースタイル パーク/ストリートスクータリング パーク/ストリート
・FISE
UCI BMX フリースタイルワールドカップ – パーク/フラットランド
FISE SAKAI ブレイキンコンテスト
大会カテゴリー: 男子部門、女子部門、ジュニア部門


今回の「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」は、会期前半が「World Skate」の世界選手権大会、後半は「FISE」の「2025年ワールドカップ第3戦目となり、「World Skate」と「FISE」という2団体が開催する世界大会を同時に開催する史上初めてのイベントとなります。
オリンピックを彷彿とさせるようなイベントが9日間を通して開催され、現段階では20カ国を超える国々から約400名の選手の参加が見込まれています。詳しい日程は以下の通りです。
・World Skate世界選手権大会
11月21日~26日 スクータリング世界選手権 (ストリート種目・パーク種目)
11月21日~27日 ローラーフリースタイル(インラインスケート)世界選手権(ストリート種目・パーク種目)
・FISE
11月26日~30日 UCI BMXフリースタイルワールドカップ (フラットランド種目・パーク種目)
11月26日~30日 インターナショナルブレイキンバトル


「ローラーフリースタイル、インラインスケート、スクータリングという、あまり馴染みのない競技に目を向けてもらえるチャンス。それぞれのスポーツが持つカルチャーも知ってもらえる大会にしたい」と安床氏。実は自身も境町地域おこし協力隊の隊員として、今年3月まで境町在住だったといいます。
「世界の選手たちの中では、日本に来たら境町に行こう!くらいの勢いで(境町が)浸透してきている。ここで世界大会を開催するんだ!という実感が湧いてきた。町民の方はもちろん、多くの皆さんにアーバンスポーツの楽しさがしっかり伝わる大会にしたい」(安床氏)
HIRO10選手と明賀芽泉選手が登場してクロストークも


会見の後半には、パリ五輪 ブレイキン日本代表のHIRO10(大能寛飛)選手と、インラインスケート界の新星・明賀芽泉選手が登場し、全日本フリースタイルBMX連盟理事長の出口理事長や、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟の門脇睦ブレイキン事務部長、そして安床武士プロデューサーとのクロストークが行われました。
HIRO10(大能寛飛)選手は、ブレイキンの見どころは?の質問に、
「やっぱり華やかさというかダイナミックなパワーブーム。プラス音楽で楽しめるところ。ブレイキンを通して色々な人と繋がれる。僕もいろいろな国に友達がいるが、その人脈をブレイキンで作れることが魅力」と回答。
今後のビジョンと本大会に選手として出場する意気込みを聞かれると、
「自分がもっと活躍して、次の世代のB-boy、B-girlたちに影響を与えられるようになりたい。今は海外を飛び回っているので日本のブレイキンの良さをもっと広めたいと思っている」とし、「前回のモンペリエで優勝できたので(境町でも)また優勝したい」と笑顔で答えていました。
また2023年1月に境町に移住している明賀芽泉選手は、
「この前の大会は中学校の子が応援に来てくれたりして、街全体で応援してくれる感じがあってうれしい」と境町在住ならではのコメントも。
さらに「学校や地元の皆に実際に見てもらえるのが楽しみ。ストリート種目、パーク種目のダブル優勝を目指して頑張りたい」と意気込みを語っていました。
最後に全日本フリースタイルBMX連盟の出口理事長は、
「アーバンスポーツの力は強いと感じつつも、ひとつずつの競技に関してはまだまだ力は弱い。しかしこれだけカルチャー、リスペクト精神など色々なものを共有できるアーバンスポーツの仲間たちが集まる大会は楽しいと思うので、ぜひ見に来ていただけたら。日本からアーバンスポーツが素晴らしいものだということを発信していきたい」とアピールしました。
子どもたちの夢を後押しする「スポーツを核としたまちづくり」は街全体の活性化へ


アーバンスポーツパークのほかにも、オリンピック基準のホッケー場や人工サーフィン場など、国際レベルのスペックを備えたスポーツ施設が充実している境町では、ナショナルチームが町を訪れたりとスポーツを通じた国際交流も盛んです。
また、プロの指導を参加費無料で受けられる「放課後スポーツ教室」を実施したり、全公立小・中学校にALT講師を複数派遣するなど先進英語教育にも力を入れています。
こうした取り組みによって子育て世帯の満足度が上がり、境町の転入人口は増加傾向にあるといいます。少子高齢化や首都圏への人口一極集中などが進んでいるなか、境町が行っているような魅力的なまちづくりは「地方創生SDGs」にもつながります。
11月に開催される「IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.」は、さらにその動きを加速させるものになりそうです。
執筆/フリーライター こだまゆき






