• トップ
  • 記事一覧
  • セイロンティーから始まる社会貢献の循環。    「セイロンティー茶園品評会 2025」イベントを通して感じた、一杯に込められた女性たちの物語
SHOW CASE

セイロンティーから始まる社会貢献の循環。    「セイロンティー茶園品評会 2025」イベントを通して感じた、一杯に込められた女性たちの物語


この記事に該当する目標
1 貧困をなくそう 5 ジェンダー平等を実現しよう 8 働きがいも経済成長も 12 つくる責任つかう責任 17 パートナーシップで目標を達成しよう
セイロンティーから始まる社会貢献の循環。    「セイロンティー茶園品評会 2025」イベントを通して感じた、一杯に込められた女性たちの物語

2025年9月、グランドプリンスホテル大阪ベイで開催された「CEYLON SPECIALITY ESTATE TEA OF THE YEAR EXPO OSAKA 2025(セイロンティー茶園品評会 2025)」。
フランス発の紅茶ブランド「Janat Paris」が主催の一員として深く関与した本イベントは、スリランカの紅茶文化と生産者支援を世界に発信する、国際的なチャリティーオークションです。

この取り組みでは、紅茶の品質や希少性だけでなく、その一杯が育まれる背景、つまり生産地の人々や環境、そして持続可能な未来への支援が重視されました。オークションの収益はスリランカ小児病院や茶園コミュニティに寄付され、医療・教育・女性の自立支援へと繋がっていきます。

世界最高額の紅茶が語る価値

この日、ひときわ注目を集めたのが、Janat Parisが125万円で落札した特別な紅茶ロット。
これは「オークションで販売された紅茶として世界最高額」としてギネス世界記録に認定されました。
紅茶一杯に込められた想いが、国境を越えて評価された瞬間でした。

駐日スリランカ大使 ピヴィトゥル・ジャナック・クマーラシンハ教授、スリランカ紅茶局会長 R.K. オベイセケレ氏、日本紅茶協会会長 片岡 謙治氏といったキーパーソンも来場し、国際的な広がりを感じることができました。

自然が育む紅茶の個性と文化

紅茶の風味は「土地」に宿る。スリランカでは、ヌワラエリア・ディンブラ・ウバなど7つのアグロ・クライマティックゾーン(気候農業地帯)ごとに、標高・降雨・気温差などの条件に応じて異なる香りと味わいが生まれます。
その背景には、年間を通じて行われる収穫作業や、毎日2万点を超えるサンプルから最良の茶葉を選定するティーブレンダーの技術、自然との共生を大切にする生産者の姿勢があります。紅茶はまさに、自然と人の営みが重なり合って完成する“文化”なのです。

紅茶産業を支える女性たちの力

フランスの紅茶ブランド「Janat International」代表のベジット・イデアスさんは、「紅茶産業は多くの女性の働きによって支えられている」と語ります。
家族を支える母たちの手仕事は、味や香りだけでなく、社会全体の循環をも支えています。Janat Parisは、Femmes du Monde財団を通じて、教育や起業支援、経済的自立に向けた継続的な支援を展開してきました。

紅茶は嗜好品でありながら、社会貢献の入り口でもある。そんな視点が、参加者に感動を呼び起こしていました。

“体験としての紅茶”を語るリーダーの声

スリランカ最大級の紅茶取引企業である「Siyaka Group」の会長であり、同時に紅茶産業の発展に大きく貢献してきた紅茶業界のキーパーソンであるアニール・クックさんは、紅茶の本質を「体験そのもの」と話します。紅茶の品質は、単なる数値や等級では語りきれず、「その土地に立ち、空気を吸い、土を踏みしめることでようやく本当の価値がわかる」といいます。

クックさんによれば、スリランカの紅茶産業には、栽培から輸出までのバリューチェーンに約200万人が関わっているとのこと。紅茶を取り巻く“命の循環”を持続可能にすることが、地域の経済、教育、環境のすべてを支える鍵になります。

SDGsに向けて——選ぶ一杯が、社会を変える

このイベントの本質は、「一杯の紅茶を選ぶことが、誰かの未来を支えるアクションになる」という気づきです。紅茶を味わい、知り、選ぶこと。そのすべてが、社会課題の解決へとつながっていく可能性を秘めています。

日々の何気ない選択が、遠く離れた誰かの暮らしとつながっている。そんな循環を、紅茶を通じて実感できたひとときでした。
Janat Parisが取り組むこうした活動は、SDGsが目指す社会に向けたひとつのヒントにもなりそうです。