イマドキストローは、飴にパスタに肥料に七変化
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ここ数年、街でよく見かけるようになった紙ストロー。日本でも、大手コーヒーチェーンが2020年に紙ストローでの提供を始めたことが大きな話題となりました。世界的に加速する脱プラスチックの動きや、消費者のサステナブル志向の高まりによって、紙ストローを導入している飲食店は増えています。しかし、これまで使っていたプラスチックのストローと比べると、耐久性や味の変化、口当たりといった点で否定的な意見もよく聞かれます。事実、2018年から紙ストローの提供を始めているイギリスのマクドナルドでは、その不満からプラスチック製に戻してほしいという署名が3万人以上も集まったそう。
環境保全に貢献できるのは紙製だけではありません。今回は食べられるストローや、ちょっと変わったゴミが出ないストローを紹介します。
1.食べられる甘いストロー「キャンディーストロー」
お菓子メーカーのカンロが実用化を進めているのが、キャンディータイプのストロー。使い終わったらそのまま飴として食べられる、楽しくて美味しいストローです。ほんのりと感じる甘みがドリンクに深みを与えてくれ、また、飴らしいカラフルなデザインもその魅力のひとつです。カンロはこれまでも工場で排出される規格外の飴を飼料や肥料として活用するなど、食品ロスを始めとした環境問題に積極的に取り組んできました。こちらのストローも脱プラスチックを実現するために作られ、この取り組みはTV番組「ガイアの夜明け」でも特集されました。ミルク味やレモン味など、キャンディーのフレーバーに合わせて飲み物を選ぶのも楽しそうな新しいキャンディーのカタチとしても注目度の高いストローです。
2.トッピングにも使える「クッキーストロー」
アイスやパフェに刺さっている、くるくるした筒状のシガレットクッキー。これを応用した、ストロータイプのクッキーがブルボンから業務用として販売されているのをご存じでしょうか。環境問題を楽しく、ユニークな発想で解決していると、2020年のグッドデザイン賞も受賞したこちらの商品。クッキーが故に、クリーム系のシェークやミルク系のスムージーなど飲み物を選んでしまう点はありますが、最後まで美味しく食べられるというのは、飴同様に使うのが楽しみになります。思わず噛んで割ってしまわないように、最後まで大事に飲みたくなるストローです。
3.食品ロス削減になるか?「お米のストロー」
プラスチックの代替として植物由来のものを使っているストローは、紙をはじめ多くありますが、その中でも注目したいのがお米からできたストローです。こちらの商品の原料はお米とコーンスターチと天然着色料のみで、使った後は茹でてパスタのようにして食べることもできます。もちろん食べることを目的としたストローではないのですが、食品ロス問題の観点からも環境に配慮されたストローになっています。原料には精米の際に出る砕米を使用しており、また、使用後は堆肥として活用したり砕いて家畜の餌にしたりすることも可能です。賞味期限が切れてしまった災害用の備蓄米は廃棄されることも多いといいます。今後そのようなお米もストローに生まれ変わる日が来るかもしれませんね。
4.海外発「ココナッツストロー」
こちらは発酵したココナッツウォーターのみで作られたストローです。以前からココナッツの葉や繊維を原料としたストローはありましたが、液体のココナッツウォーターから出来ているとは驚きです。4時間水の中に入れたままでもふやけることなく使え、当日中であれば何度でも使えるとのこと。また、堆肥化も生分解も可能で、使用後は庭に埋めてしまっても問題ありません。原料となるココナッツはベトナムの農家から直接入手されているので、ストローを通して農家のコミュニティを支援することにも繋がっています。
5.こんなストローもある!「シート型のストロー」
ステンレスや竹、シリコンなど捨てないストローは色々な種類がありますが、こちらはシートを丸めて使うタイプの珍しいストロー。販売しているのは味噌やレモンティーを製造している会社です。なんと、子どもの自由研究がきっかけで商品化されたというから驚き。シートは独特な形状をしており、台が無くても手だけでストロー状にすることができます。そして何より、洗いやすくて乾燥も早く、お手入れが楽なのも嬉しいポイント。小さいころ、新聞を端からくるくるとまるめて遊んだ方もいらっしゃると思いますが、その経験が子どもの自由研究に繋がり、そして理解ある大人の力で商品化され環境にやさしいストローが生まれるなんて、素晴らしいですよね。ちなみにこちらの商品は原料にプラスチックを使用していますが、捨てずに何度も使うことでリデュース(減らす)やリユース(再利用)に貢献しよう、というコンセプトで販売されています。
紙ストローだけが脱プラじゃない。新しいストローの広がり
プラスチック製に代わり広く普及してきた紙ストローですが、使用感や耐久性の面でまだまだ課題はあります。また、子どもの使用には注意も必要です。噛み潰してふやけた先端を子どもが誤飲してしまう事例も発生しています。紙ストローもコスト面などで他の代替品より優れている部分はありますが、ある一定の利用者はより使い心地のいいストローを求めています。飲み物に合わせてストローを変える、逆にストローに合わせて飲み物を選ぶ、なんて楽しみ方も当たり前になるかもしれませんね。